No.5 - 谷元フスマ工飾株式会社

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一緒につくりたいもの

人の気配や四季の移ろいなど、感じるものに心地よさを見つけるプロダクトアイデア

どんな会社ですか?

日本の住まいにおいて「空間を区切る」重要な役割をしてきたふすまや障子、引き戸などの建具。開け閉めによってパブリック・プライベートの切り替えが簡単にできる点や、障子のやわらかく光を通す特徴などは、近年の住環境にも大きなニーズがあります。谷元フスマ工飾株式会社は「間仕切による空間価値の向上」をコンセプトにふすまや建具、そこから応用して引き戸などを製造・販売している会社です。新築住宅はもちろん、リノベーション物件やホテルなど、さまざまな空間に機能的で美しい間仕切りを提供しています。

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ここがスゴイ

1.紙を張る職人の技術が継承されている
インテリア専門業者ではなく、長年ふすま・建具を専門としてきただけあって、谷元フスマ工飾株式会社は職人技術の高さが特徴。現在20人ほどの職人を抱え、上は79歳、下は18歳と幅広い世代が製造に従事しています。ベテランが長年培ってきた、美しく紙を張る技術などの継承がきちんとされています。

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2.現場での施工技術も持っている
製造だけではなく現場での施工もできるのが強いところ。マンションや団地などは、同じ間取りでも、ふすまや引き戸は歪みやひずみに影響され、部屋ごと・配置ごとに微妙にサイズが変わってくるものなのだそう。谷元フスマ工飾株式会社では、現場で自らが採寸し、自分たちで取りつけまでもおこなうことができます。「たまに無理難題がきて修羅場になるんですが、僕たちはなんとかする力があります」と代表の谷元さん。

3.現代のライフスタイルに合わせた商品も開発
近年の住環境の変化にともなって、ふすまや引き戸も進化。芯材にハニカム素材を用いて軽量化したり、ふすまを木の縁から軽くて強度のあるアルミに変えたり、壁紙クロスを用いて、壁と一体化してみえるふすまなど、現代の住環境にマッチした商品開発も盛んです。

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持っている技術

・手仕事に長け、ムラのない紙の張り合わせができる
・厳密な寸法で木材の加工ができる
・新しい素材と古くからの技術を掛け合わせた商品提案ができる

自社が苦手とすること、できないこと

・デザイナーが自社にいないため、斬新なふすま紙などはつくれない
・間仕切り以外のプロダクトは専門外

近年つくっている主なプロダクト

1. やぶれない障子紙の障子
木質繊維を圧縮成型した中密度繊維板(MDF)に、特殊な和紙を貼った軽くて丈夫な障子。樹脂フィルムあいだに和紙を挟んでいるため破れません。ペットのいる家庭などにも人気です。

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2. 華引手
日本の伝統柄を用いた装飾性のある引き手。約600種類ほどを展開しています。

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3. アルマジ
アルミフレームと樹脂パネルでできた間仕切り。素材は異なるものの、ほどよく光を通す点など障子のイズムを受け継いでいます。

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工場の様子

1.ふすまを解体して張り替えなどの補修をおこなう
長年、大阪の公営住宅のふすまの補修を請け負っている谷元フスマ工飾株式会社。解体したふすまは1枚ごと、木の縁の1本ごとにクセがあるため、解体した通りに再度組み直さなければいけません。それぞれがどこの部屋のふすまで、何にあたるパーツかを記載して元どおりにします。

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2.紙をシワなく張り合わせる
大きな紙をシワなく張り合わせるのは至難の業。四隅はとくにヨレやすいのだそう。紙に水を含ませて延ばし、フチの部分のみ糊づけ。紙は濡れると伸びて、乾くと縮む性質があり、その性質を活かして紙を張り合わせます。

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紹介映像

つくり手の思い

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「いわゆる一般的な家庭に向けたふすまや建具の製造、ホテルやマンションのエントランスなどに向けた装飾性の高い引き戸の製造など、「間仕切による空間価値の向上」をコンセプトに掲げて会社を運営してきました。空間価値の向上をさらに大きなものにするため、最近は女性社員を中心にして「waccara」というインテリア雑貨のブランドを立ち上げ準備中です。女性社員たちが欲しいものを等身大の目線でリサーチし、彼女たちと同世代である30〜40代の働き盛りの女性をメインターゲットに据えています。

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「ふすまや建具などの間仕切りが持つ機能性は、現代の住宅のなかでも再評価されるものだと思っています。空間として区切られているけれど、外の気配や光を程よく取り入れられる。そして可動性があり人の暮らしに応じて区切り方を変えることができる。日本の暮らしに、壁ではなく間仕切りが多く使われてきたのは、ウチとソトの曖昧な領域に利便性と美しさを求めてきた証拠なのかもしれません」。

「人の気配や四季の移ろいが、現代のライフスタイルのなかで感じられる。そんなプロダクトがつくれたらいいなと考えています。家に帰った時に一息つきたい働き盛りの方、より住環境を向上させたいファミリー層・シニア層まで、いまの生活に窮屈さを感じている人を心地よくできるようなアイデアをお待ちしています」。

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公式HP
https://t-f-kosyoku.com/

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