No.1 - アベル株式会社

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一緒につくりたいもの

暮らしにひそむストーリーに目が向くようなプロダクトアイデア

どんな会社ですか?

1965年からステンレス表面処理の会社としてスタートしたアベル株式会社。さまざまなステンレス表面処理のなかでも、現在は代名詞とも言える「アベルブラック」という加工技術で業界に名を馳せています。アベルブラックとは、アベルがもつ世界で唯一の発色技術。塗装でもなく、メッキでもなく、電気や薬品の酸化力で酸化皮膜をつくり「金属そのものを黒くしている」のです。建築・自動車・光学機器など、さまざまな分野でアベルブラックの処理を施したステンレスが使われています。

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ここがスゴイ

1.多方面からニーズを得る光を吸い込む独自の黒色
アベル株式会社の主な顧客は建築会社や自動車メーカーなど。さまざまな業界が「うちでつくるあの部分にアベルブラックの黒を採用したい」と求めています。たとえば、東京スカイツリーの展望エレベーター、その内部の壁は全面がアベルブラックが使われているんです。独自の黒は高級車であるレクサスの車体にも使われています。BtoBの業界ゆえに言えない部分が多いのですが、あのブランドの路面店にも、ハイグレードなあのホテルにも。「あそこの黒い壁カッコいいな」と思ったら、アベルブラックが使われているかもしれません。

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2.どんな黒でもつくり出せる特殊技術
アベルブラックの黒は酸化被膜によってつくられ、特殊な薬液に浸けた金属に電気を流し、金属の表面に膜を定着させることで生成されます。ゆえに「金属に黒い色がのっている」のではなく「金属そのものが黒色になる」というのが特徴。りんごが赤いのは、可視光線のなかで赤い光以外を吸収するから。アベルブラックはあらゆる光を吸収するのでどっしりとした黒になります。漆のように深い黒は、塗装やメッキと比べると美しさが一目瞭然。世界で類を見ないこの技術で、マットな黒、艶っぽい黒、求められたホンモノの黒をつくり出せます。

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持っている技術

・マット加工、表面研磨で凹凸があるものも黒に染められる
・4ミクロンから2mmまで、多様な厚さのステンレスに処理を施せる
・漆のようなツヤを持ったステンレスをつくりだせる
・4m×1.2mまでの大きさの板を加工できる

苦手なこと

・異素材との組み合わせは自社ではできない
・特殊研磨などの表面加工は自社ではできない
・複雑な造形の立体物をあとから加工するとムラになることがある
・一度磨耗して加工が剥がれてしまうとそこに処理を足すことができない

つくっている主なプロダクト

1. 東京スカイツリーのエレベーター壁面
東京スカイツリーの展望エレベーターは、地上から展望室までの350mを一気に駆け上がるもの。エレベーターで移動中の人々の視覚情報をアベルブラックの黒で遮断することで、エレベーターを降りて眼下に景色が広がったときのインパクトが格段に上がるそう。「アベルブラックの素材を使いたい」と名指しだったとか!

2. レクサスRC 350F SPORTのパーツ
自動車のレクサスRC 350F SPORT、そのドアモールおよびクォーターウィンドウ部分にアベルブラックが使われています。本体の塗装色をアベルブラックの黒が引き締める役割をしています。


工場の様子

ステンレス板を特殊な薬液に浸け、酸化被膜を育てる
薬品を調合した特殊な薬液にステンレス板を漬けて酸化被膜をつくります。自社の技術の結晶であるアベルブラック、つくり方は門外不出。見る人が見たらつくり方のキモがわかってしまうため、写真撮影はNGなのです。過去には身分を偽って海外の業者が見に来ようとしたこともあったとか……。

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紹介映像


つくり手のおもい

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「創業からずっとステンレスの表面加工を専門に技術を磨いてきました。以前は赤や青など、黒以外の色を出す処理もしていたのですが、酸化被膜をつくるというのは非常に小さな単位の調整が求められる技術です。メッキ加工が10ミクロン程度なのに対して、酸化被膜は3〜5ナノメートルの世界。色の再現性を安定して出せないことが長年の課題でした。『だったらいっそ黒に特化して、他のどこにも追随を許さない黒いステンレスをつくればいいのでは?』と思い立ち、10年ほどかけて唯一無二の黒だ、と自信を持って言えるまで研究を重ねてきました」。

「黒というのはデザインの面でも機能の面でも、恒久的なニーズをもった色になります。耐久性に強い酸化被膜で、他にはない黒さを出せる弊社の技術はほんとうに世界に誇れるものだと思っています。また、メッキや塗装と違ってアベルブラックは酸化被膜は腐食や熱に強く、屋外に長時間さらされても品質が劣化しません。化学処理によってガッチリと黒を固定しているので、プレスや成形にも耐えられます」。

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「アベルブラックは我が社の技術の結晶。でも、技術の研鑽って基本的に地味な作業なんですよね。その地味な作業をコツコツ真面目に積み上げ続けたからこそいいものができる。誰もが知っている建物や商品にアベルブラックが使われているのを見たり、「これってステンレスなんですか!?」という驚きの声をもらったりした時はやっぱり嬉しくなりますね。技術の後ろにある、社員みんなが積み上げてきた努力が評価されたような気がして」。

「酸化被膜づくりは『化学』の領域。薬液の配合などは門外不出の部分が多いので、この紹介文のなかでお見せできる部分が少なくてすみません……!公表できないことが多いぶん、可能性に溢れた素材なんですよ」。

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「美しい質感を活かして、高級感のあるプロダクトができたらなと期待しています。アベルブラックのコイル材は、成形品をあとから塗装するよりもコストは抑えられ、大量生産も可能です。こだわりの技術が今回のプロジェクトでどんなアイデアと組み合わさるか。いっしょにものづくりの面白さ、奥深さにふれるものを製作できたら。楽しみにしています」。

公式HP
https://www.abel-s.co.jp/


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