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絵の世界に飛び込めそう 【コンスタブル展】三菱一号館美術館

先日、三菱一号館美術館に初めて足を運んだので、現在開催中の「コンスタブル展」レポを書いていきます。

「人と自然」の風景画

コンスタブル初心者の私にとっての感想として、彼の絵の印象を一言で表すと「飛び込みたくなる絵」です。

というのも、彼の作品たちはまるで映像のようだと感じたからです。
彼は風景画で有名ですが、展示の序盤では人物画が並んでいます。どの人物も肌の血色感や表情筋がリアルで、今にも動き出しそうな気がしてきました。

風景画の方は、近くで見ると木の葉一枚一枚が繊細に書き込まれている緻密さに驚きました。

ここで気になったのは、風景画の中にも人間がたびたび描かれており、しかもその人間も細かく描き込まれているというところです。風景画でありながらも、人間をデフォルメもしくは消去せず、しっかり描いていたのが印象的でした。あと、人物には赤い服を着せることが多かった気がします。風景と同化させない為でしょうか。


《雲の習作》

そんなことを考えながら、展示会も終盤になったその時目に飛び込んで来たのは「雲の習作」。
雲の習作というタイトル通りの絵なので当然といえば当然ですが、キャンバス一面に、本当に雲しかない絵画です。確かにコンスタブルの風景画にはいつも雲がありました。彼の作品はどれも決して晴天ではないのです。

私が小学生の時に出会った本の中に、重松清さんの「きみの友達」があります。その中に、「雲があるから空に表情が生まれる」といったようなセリフが出てきたのを思い出しました。当時はいまいちピンと来なかった感性でしたが、コンスタブルの作品を目の前にして、彼も、本の登場人物と同じ考えだったのだろうな、と納得しました。

コンスタブルの風景画を見ていると、居心地良さそうな田舎の風景、澄んでいそうな空気が素敵で、「この絵の中に飛び込んでしまいたい」と思えてきました。さらに、きらきら光る水面や、風を感じられる雲、音が聴こえそうな木々のようなリアルな表現によって「本当に飛び込めるのではないか」とさえ思えてしまいます。
これが、彼の作品の魅力なんだな、と感じることができました。

三菱一号館美術館

三菱一号館美術館でとても濃厚な時間を過ごさせていただきました。作品だけでなく、外装や敷地内の緑まで素敵で落ち着いた空間でした。
こちらの写真がそのお庭。ビルに囲まれた「都会の箱庭」という感じです。

ミュージアムショップでは開催中の展示「コンスタブル展」関連グッズはもちろんありますが、イギリスと縁のある美術館ということで、“イギリス推し“な面が見られました。英国好きな方はおすすめです。 (建物のレンガづくりもイギリス式のようですね)

おしゃれなカフェも併設されているので、今度はカフェ目当てで母と行こうと思います。

コンスタブル展は2021年5月30日まで開催とのことです。
場所は東京駅丸の内出口側から徒歩5分。
ちなみに、東京駅八重洲出口側にあるアーティゾン美術館と近いので美術館ハシゴが可能な位置関係にあります。(時間の都合上私は行けなかったのですが)

公式リンクは下からどうぞ。


帰り道・東京駅で寄り道

帰りに同じく東京駅丸の内側にある丸の内oazoの丸善に寄り道をしました。もともと洋書を読みたかったのでインターネットで洋書を多く取り扱っている本屋さんを探していたところ、こちらに辿り着いたというわけです。このビルの4階の半分のスペースは洋書コーナーとなっていました。こんなにたくさんの洋書の本棚を見たのは初めてで感激しました…
丸善を訪れる機会が滅多になかったので、「檸檬」を買って梶井基次郎を感じておけば良かった、とは思いましたが、それはまた別の機会にします。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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