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夜のせせらぎ街道

会社に新卒で入社してしばらく経った頃の話です。

部長のお父さんが亡くなられたとのことで総務部だった私は、飛騨の神岡町という山奥にある立派な部長の実家に1人で一般道を車を走らせて向かいました。

寒さが厳しくなり始めた11月始め。
やけに重い合皮のコートを来て、弔問に訪れる人から御霊前と書かれた香典袋を受け取ります。

無事に葬儀が終わった頃には辺りは完全な闇。
高速のない時代、国道ではなく普段使わないせせらぎ街道を使って帰ることにしました。

道路は真っ暗闇。
後にも先にも車は見えず。

そんな状態が30分は続きました。

気のせいか後ろに気配を感じる。


怖くなって少しスピードをあげる。


何か助手席にいる?!


視界の左端に何かの影が写る。


気のせいだ。
口に出して自分を落ち着かせる。


車の速度をさらにあげ、
右カーブにさしかかった次の瞬間。


左手に掴みかかるような衝撃。



うわぁぁぁ・・・



な・・・に・・・?


それは

助手席に無造作に立て掛けていたコートの袖でした。

硬くて重い合皮のコートの袖が

カーブで覆いかぶさってきたのでした。

ちゃんと畳んでおけばよかったw

ちゃんちゃん!


終わり


こちらの企画に参加させていただきました。


#1分マガジン


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