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他者との競争から、社会との共創へ

ルネ・ジラールというフランスの文芸批評家によると、人間の活動はミメーシス(模倣)の理論によって説明できるとのことです。幼児が母語を獲得するところに始まり、人間の文化的活動には模倣が通底している。それは人間の特徴であり、効果的な学習方法でもある。ただ、それが行き過ぎると、世界は嫉妬で満ち溢れ、不毛な競争に明け暮れる。

ジラールを信奉するピーター・ティールの説明が分かりやすいのですが、(米国の例えですが)みんなスタンフォードに行きたがって、みんなゴールドマン・サックスで働きたがる(ちょっと一昔前の例えのような気もする)。要は、みんなが欲しがるものを、あなたは欲しがっているでしょ、と。

フレームワークで整理してみると、

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人間ってのはナチュラルにはこの左下の同質競争に巻き込まれる。そして、生存と繁栄をすべく、そこでめちゃめちゃ頑張る。恐怖と欲望に駆り立てられて、強大なエネルギーを創出する。

ところが、そこに明け暮れていると、ふと、「私は一体日々何をやってるんだろう。。意味ねー、、」って境地に至ったりする。スティーブ・ジョブスに「毎朝鏡を見て、己に問うてみろ:今日が人生最後の日だとして、今からやろうとしていることは本当にやりたいことなのか」って言われると、返答に窮する。

で、行きたいのは、こっち。

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ただ、如何せんナチュラルに同質競争が埋め込まれているので、そう簡単には行けない。かなり意識的に取り組んでいかないといけない。

左下から右上への登り方として、一旦、左上を経由するというのも考えられる。

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気の合う仲間と何か一緒にやろう!ってご機嫌に始める。でも、本質的に自分と他者は違うので、どこかで意見の違いが出てくる。「同じ気持ちだよな!」って言ってたのは自分の勝手な思い込みだったりする。他者と協働するにあたって、人間の包容力が試される。自分の思うようにいかないから怒っているだけの自分に気づいて、自分の器の小さに愕然とする。

結局、人間に対する包容力を高めていかないと、コトは成せない。

同質競争においては、お金も重要な役割を果たしています。「お金」という統一された評価基準によって、異質なものが、同じ土俵に乗せられてしまいます。

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個人の幸せのあり方が見直されていることと、ESG投資など、非金銭的な評価基準やKPIの導入が進んでいることは、深く関係しているように思います。

目指すべきは社会との共創、しかしそれは決して簡単な道のりではない。

というようなことを、同質競争の引力を日々感じながら考えてみました。


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