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ふたりの惑星

よう、私だ。久しぶりだな。あの女と離れて何ヶ月経っただろう。もう思い出せない。後ろを振り返るように過去を思い出してみても、細かく揺れて歪んでいく陽炎のように曖昧で朧気で、わかるのはその途轍もない温度だけだった。誰よりも近くにいながら、一度も交わることがなかったね、私たち。悲しみはもう通り過ぎて、どこまでも並行に続いていく私たちの生活とか人生とか愛し方とか生き方とかの、途方もなさに呆然としてしまう。私たちはずっと一人なんだと思い知らされる。この長く長く続いていく険しく美しい人生を、たった一人で歩んでいかないといけないのかと、思い知らされるんだよ。

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