りかさとりか短文妄想(2021/8/4)

お題『ピロートーク』

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私の名を呼ぶその声に余裕がなくなっているのを察して、私は既に知り尽くした彼女の弱いところに指を持っていく。すると彼女は私の名を呼び、大きく身体を仰け反らせて果てる。その姿は普段の無邪気な彼女からは想像もつかないくらい、色っぽい…今までも、これからも私だけが知っている姿ーーー。

いつの間にか翌日がお休みの日は、どちらかの自室で、身体を重ねることが多くなっていた。最初のうちは沙都子も戸惑っていたが、今は素直に私からの愛撫を受け入れ、感じてくれる。

私は、お互いに激しく求めあった後、生まれたままの姿で抱き合うこの時間が心から幸せで、このまま沙都子と二人で永遠の時を過ごしたいと思うのだ。

「梨花ぁ…」

乱れた呼吸を整えてようやく落ち着いた沙都子は、この時にしかきけないような甘い声で私の名を呼び、私の肩に頭を押し付け、ぎゅっとしがみついてくる。
いつもであれば、手を繋いでお互いに見つめ合うのだが、今日の沙都子は少し様子が違うようだ。
私は胸元にある沙都子のその綺麗な髪をそっと撫でる。すると、ぐすっ、と鼻をすする音がきこえて彼女が泣いていることに気付く。

「沙都子…どうしたの…?」

さっきまでの行為で、どこか痛くしてしまっただろうか、知らぬ間に自分自身の欲望だけをぶつけて彼女の感情を無視してしまっただろうか…臆病な私は沙都子のその様子を見ただけだ不安な気持ちでいっぱいになる。

「ぐすっ…いえ…なんでも…いいえ、幸せすぎて怖くなっただけですわ」

沙都子の回答は私にとって予想外のものだった。

「私、こうして梨花と…梨花をたくさん感じる度に幸せすぎて…でもいつか梨花がいなくなってしまったらって不安になって…」
「沙都子…」

私もそうだ。沙都子との時間はとても幸せで、でもその時間がいつか終わってしまうんじゃないか、と。その不安を拭うために、こうして沙都子を求め、沙都子の身体に私という存在を刻みつけてしまう。

「沙都子…顔、あげて?」
「梨花…っ」

私の言葉に素直に顔を上げる沙都子の目元に溜まった涙を舌ですくい上げる。そのしょっぱさですら愛おしい。
そして触れるだけのキスをその唇に。

「私も同じよ。沙都子のことがずっとずっと大好きで、これからもずっとずっと離したくない。だから私は、貴女のことをずっと抱きしめておくわ。だから、沙都子も私を離さないで」

言葉なんて気休めでしかないけれど、こうして抱きしめたぬくもりを感じながら、誓うことで沙都子の不安が少しでも拭えればいい。

「梨花ぁ…梨花ぁ…私も、絶対に離しませんわ…」
「沙都子…愛してる」
「私も…梨花を愛していますわ」

少し不安が和らいだのか、ふわっと微笑む沙都子にもう一度キスをし、私たちは、眠りについた。

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