りかさとりか短文妄想(2021/8/19)

お題『りかさとうぉーず~おふざけver~』

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「沙都子のわからず屋!!!」
「梨花の頑固者!!!」

朝、雛見沢分校の教室では、二人の少女の怒鳴り声が響いていた。

「朝から騒がしいな、何かあったのか?」
「あ、圭一くん。おはよう」

今日は寝坊してしまい、いつもの待ち合わせに間に合わず、遅れて登校してきた圭一が教室内を覗き込みながら、廊下から様子を見ているレナに声をかける。

「それが梨花ちゃんと沙都子ちゃんが…」

そう言いながらレナは教室内で取っ組み合いながら睨み合う梨花と沙都子に目を向ける。

「みぃ…沙都子、もう少し素直になった方が可愛くていいと思いますですよ…?」
「をーっほっほっほ!梨花の方こそ、その頑固頭をどうにかした方が、魅力的なレディになれるのではございませんこと?」
「余計なお世話なのです。いいから沙都子はボクの言い分を飲み込めばいいのです!」
「それはこちらの台詞ですわよ!」

レナも登校してきた頃には既にこのような状況であり、二人が何を原因として喧嘩をしているのか分からないでいた。

「もうそろそろ知恵先生も来ちゃうかな?かな?」
「確かにそろそろ1時間目が始まっちゃうねぇ」

レナの心配の声をきいて、掛け時計に目を向けた魅音が同調する。

「よし、しょうがねぇ!俺が二人を落ち着かせてくるぜ!」
「あっ、圭ちゃん…!それはやめたほうが…!!!」

魅音が圭一を止めようとした言葉も虚しく、気付いた頃には教室内に入ったはずの圭一の身体は激しく廊下に飛ばされていた。その頬は思い切り殴られた跡でへこんでいる。

「圭一、邪魔すんななのです」「圭一さん、邪魔でございますわ」

梨花と沙都子の二人は、お互いに目線を外さず、そう呟く。

「圭一くん!?大丈夫!」
「圭ちゃん…おじさんは止めたよ?」
「ぐぉぉ…梨花ちゃん、沙都子…恐るべし…」

圭一はそう言うと、意識を失った。

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その日、一日中梨花と沙都子は一言も会話をしなかった。いつもは隣同士、机もぴったりくっつけているのに、極限まで離し、お弁当の時間もいつもの部活メンバーで食べることはせず、二人は別々に食べていた。
そして放課後。いつも通り、部活をするような雰囲気では当然なく、相変わらず梨花と沙都子の間には気まずい空気が流れていた。
しかし、二人とも仲直りしたい気持ちはあるのか、圭一が「俺たちにちゃんと話してくれ」と真剣に言ったのが響いたのか、二人は帰らずに教室に残ってくれた。

「とりあえず…梨花ちゃん、沙都子、一体何があったんだよ?」
「レナも、いつも仲良しな梨花ちゃんと沙都子ちゃんに戻ってほしいかな、かな」
「おじさんたちに何でも相談してみなよ」

親身になってくれる三人に心苦しくなったのか、最初に梨花が、重く閉ざしていた口を開き始める。

「みぃ…ボクの方が…………なのです」

かなり小さい声だったので、三人の耳には届かず、三人とも梨花の口元に耳を近づける。

「…っ…ボクの方が、沙都子のことを愛しているのです!!!」

今度はすごく大きい声だったため、口元に近づけた耳にダメージを受ける三人。近付けていた方の耳を抑えながら、改めて梨花の発言を思い返す。

「「「…え?」」」

「違いますわ!!!私の方が梨花のことをもっとも~っと愛しているんですの!梨花には負けませんのよ!」
「みぃ、まだ言いますですか…じゃあ沙都子の好きなところを今から上げていくから、これで分かりなさい」
「むぅ、それなら私も同様に梨花の好きなところをあげていきますわ。先に途切れた方が、負けでよろしくて?」
「望むところなのです!」

「「「ちょっと待ったー!!!」」」

梨花と沙都子がまた二人の世界を始めようとしたところを、なんとか三人が制止する。

「えっと…なに…喧嘩の理由ってそれ?」

「そうなのです」「そうでございますわ」

二人は声を揃えて返事をする。
圭一はやれやれと首を左右にふり、レナは「はぅ~かぁいいよぉ…!」とかぁいいモードが発動しそうになり、魅音はわなわなと震え…。

「今日一日の私たちの心配を返せー!痴話喧嘩なら他所でやれー!」

魅音の怒鳴り声が、放課後の雛見沢分校の教室内に響いた。


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