りかさとりか短文妄想(2021/8/24)

お題『オヤシロパワーでどちらかが小さくなり、あまりの可愛さにいつも以上にベタベタする沙都子または梨花。元に戻った時に小さい方が好きなのかと嫉妬からの…』

※質問箱にて頂いたお題になります。ありがとうございました!

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「りかぁ!」
「な、なによこれは…!!!」

梨花が買い物から帰ると、先に晩御飯の準備をするために家にいるはずの沙都子がいない。いや、正確には沙都子はいるのだがいつもの沙都子ではなかった。

「りかぁ!りかでしゅの~!」

そこにいたのは、小さい沙都子…年齢でいうと5歳くらいだろうか。
いつも以上に無邪気な表情で、少し拙い発音で梨花の名を呼ぶ沙都子の手足はとても小さく、その身長も梨花の腰くらいまでしかない。

(ふぅ…羽入は…いないのよね。でもこの子は間違いなく沙都子…そう、これはオヤシロパワーね)

もはや説明のつかない事象が起きた時はオヤシロパワーによるものという梨花の判断であった。

「りかぁ?どうしたの…?」
「ふぅ…そんな細かいことはまぁいいわ…沙都子、可愛い~!!!」
「はわ、りかぁ!いたいでしゅ~」
「あっ、ごめんね、沙都子」

思わず強く抱きしめてしまい、幼い沙都子が呻く。梨花は抱きしめる手を緩める。

「そんなことより、りかぁ…」
「ん、どうしたの?」
「ばんごはん、つくらないといけないのに、できなくて…ごめんなさい」
「そんなこと…そんなこといいのよ…!!沙都子が可愛いから何も問題はないわ…!一緒に作りましょう」
「わぁい、りかといっちょにつくる!」

どうやら沙都子は小さくなる前の記憶は若干あるものの、精神年齢はかなり幼くなっているようだった。
梨花は沙都子のために、台所の足場をいつも以上に高めにして、沙都子が台所に立てるようにすると、二人で一緒に料理を始める。
といっても、幼い沙都子に包丁を使わせるわけにもいかず、沙都子には少し野菜を洗ってもらったりするくらいでほとんどは梨花が進めたが、それでも沙都子には梨花と一緒に料理しているという感覚があるのかずっと幸せそうな笑顔を見せてくれていた。

(何よこの状況…天国じゃない…沙都子の笑顔、まさに天使のそれだわ…)

「りーかーといっちょにおりょうり♪りーかーといっちょにおりょうり♪」

沙都子が上機嫌に謎の歌を歌いながら、梨花と料理を楽しんでいる。
梨花はそれを見て何度も鼻血が出そうになるのをぐっと堪えていた。

「ごちそうさまでした」
「ごちちょうちゃまでした」

一緒に作った晩御飯を食べ終えると、次はお風呂の時間。
さすがに小さい沙都子を一人で入らせるわけにもいかないので、一緒に入ることにした。
沙都子の身体を洗ってやり、梨花も自分自身の身体を洗うと、一緒に湯船に浸かる。

「えへへ~りかぁ~」
「もう沙都子ったら、甘えん坊ね。でも可愛い!!」

梨花の膝の上に乗り、梨花と向き合うようにして座った沙都子は思い切り梨花に抱きつく。
幼い沙都子とはいえ、衣服を身につけない姿で抱きつかれるのは梨花にとって破壊力は抜群で、一瞬意識が飛びーーーーー。

「…あれ、沙都子…?」
「えっ、あっ、り、梨花…?」

気付くと湯船に浸かっているのは、梨花と、今の梨花と同い年の小学生の沙都子。しかし体勢はさっきまでと変わらず、沙都子が梨花を抱きしめる形に。

「さ、沙都子…」
「あっ!ご、ごめんなさい!」

沙都子も正気を取り戻したようで、梨花に抱きついていた体勢から飛び退き、梨花に背を向ける。

「沙都子…さっきまでの覚えてる…?」
「え、えぇ…いちおう…?」
「そ、そう…」

二人の間になんともいえない空気が流れる。その沈黙を破ったのは沙都子の方で。

「梨花…その、梨花は今の私より、昔の小さい私の方が好きなんですの…?」

梨花は首を傾げた。梨花にとっては小さい沙都子も今の沙都子も変わらず大好きな存在で、どっちが好きなんてことはないのに。

「だって、あんなに抱きしめてくれたり、こうやって一緒にお風呂に入ったりも…今の私にはあまりしてくれてない…」
「沙都子…そんなこと気にしてたの?こっち向いて」

梨花は沙都子の名を呼び自分の方に顔を向かせると、ちゅっ、とその柔らかい唇にキスをする。

「なっ、り、梨花…」
「私は、今の沙都子も、さっきまでの小さい沙都子もみんな大好きだけど、今私とともに同じ時間を生きる、目の前の貴女が一番好きよ。キスしたくなっちゃうくらいに」
「梨花ぁ…梨花、大好き!」

今度は沙都子から梨花の唇へキス。二人の甘い時間は、二人がのぼせるまで続いた。

お風呂上がり、「でも小さい沙都子もたまにはいいかもしれないわ」という梨花の呟きに沙都子が再び不貞腐れることになった。

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