りかさとりか短文妄想(2021/8/7)

お題『膝を擦りむいた沙都子の手当てをしてあげたら、泣き止んで笑ってくれたんだけど、何故かその笑顔が痛々しく思えて、そっと絆創膏の上から口付けちゃう梨花ちゃま』 

※質問箱にて提供頂いたお題です。ありがとうございました!

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「いたっ!!!」
「沙都子!大丈夫?」

梨花と沙都子は100年以上にわたるループを抜け、改めて小学生から人生を歩み始めた。
そこには変わらない部活メンバーがいて、いつも通り部活をしているのだ。
二人にとっては、その変わらない部活メンバーといつも通りの部活が何よりも尊いものになっていた。

そんなある日の部活、鬼がどんどん増えていく、「ゾンビ鬼」をしている最中であった。梨花と沙都子は一時共闘しようということになり、同じ方向に逃げていたのだが、沙都子が足元の小石に躓き、膝を擦りむいてしまったの
だ。その傷は大きなものではないものの、血が溢れてきていた。梨花は魅音に沙都子の手当をするため、保健室に連れていくことを伝え、沙都子と二人でゾンビ鬼から一時離脱することになった。

「っ…!」
「みぃ、沙都子。痛いのですか?」
「えぇ、少し消毒液がしみますわ…」

擦りむいたところを水で洗い流し、消毒液を塗る。消毒液がかなりしみたようで、沙都子の目に涙がたまる。
梨花は消毒液を塗った傷口に絆創膏を貼る。

「はい、これで大丈夫なのですよ」
「ふぅ…梨花、ありがとうですわ」

手当が終わると、傷口の痛みがひいたようで、沙都子の目に溜まっていた涙もおさまり、梨花に笑顔を向ける。

「…情けないですわね、100年以上繰り返して…あんなに罪を重ねてもこんなくだらないことで怪我をするし、消毒液がしみて涙も出てしまうなんて」

自嘲的に笑う沙都子をみて、梨花の胸が締め付けられる。
沙都子が罪を重ねてしまったのは、自分のせいだと梨花はずっと思っていた。沙都子は「自分が弱かっただけですわ」と言ってくれるが、そんな沙都子に寄り添うべきだったのに、それが出来なかった。だからこそ、もう二度と繰り返すことのないこの世界で、絶対に間違いを起こしたくない、沙都子のことを絶対に離さないと梨花は固く誓っていた。

「沙都子…」
「え…梨花…っ…!?」

梨花は、沙都子の絆創膏が貼られたその傷口を癒すように、また、傷だらけになった沙都子の心に寄り添うように、そして、これからの未来は永遠に離れないことを誓うように、絆創膏が貼られた沙都子の膝に口付けをする。

「沙都子の傷があっという間に治るおまじないなのですよ、にぱー」
「梨花…ありがとう…。おかげさまでかなり痛みも引きましたし、ゾンビ鬼に復帰ですわ!梨花、私たちは絶対ふたりで生き延びますわよ!」
「その意気なのです。ふぁいと、おーなのですよ」

二人はしっかりと手を繋ぎ、保健室から飛び出していった。


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