落雪屋根・雪割棟とは?その特徴と気になるデメリットを解説
岐阜県でも雪が多い地域では、新築やリフォームの際、雪は悩ましいポイントですよね。
今回は積雪が多い地域向けの屋根として、人気が高い「落雪屋根」や「雪割棟」の仕組み、メリット・デメリットといった観点から、概要を解説します。
1. 落雪屋根・雪割棟とは?
それではまず、落雪屋根と雪割棟という屋根の種類から見ていきましょう。
「落雪屋根」とは、屋根の傾斜を急こう配にすることで、雪をわざと落雪させる屋根のことです。
白川郷の合掌造りを想像してもらうと分かりやすいのではないでしょうか。
屋根の勾配を高くし、雪が一定以上積もらないようにして、家にかかる荷重を減らす仕組みになっています。
そして、豪雪地帯で見られる屋根のもう1つは、「雪割棟(ゆきわりむね)」という屋根です。
豪雪地帯では切妻屋根と呼ばれる、左右にハの字型になった屋根形状が多いです。
しかし切妻屋根の場合、屋根の頂点で左右の雪が連結して落雪しにくくなり、溜まっていく傾向にあります。
家の屋根の頂点、いわゆる「棟」の部分に三角形の部材を取りつけることで、この溜まりやすい雪の塊を、「左右に割って」落雪しやすいようにする屋根のことです。
いずれも、豪雪地帯ならではの屋根と言えます。
2. 落雪屋根の種類とそれぞれの特徴
それでは、それぞれの屋根の種類と特徴を詳しくみていきましょう。
2-1. 落雪屋根
雪を滑り落としやすくするためには、3寸以上の屋根勾配が必要です。
3寸とは3/10の勾配のことを指し、角度で表現すると16.7度になります。
一般的な地域の住宅屋根では4寸~4.5寸程度の屋根形状が多いことを考えると、勾配が急になっています。
2-2. 雪割棟
雪割棟は、棟(屋根の頂点)にあります。
瓦で作る場合もあれば、板金などで作った部材を取りつける場合など、屋根の形状などに合わせて設計します。
2-3. 無落雪屋根
落雪屋根も雪割棟も、どちらも雪を落としやすくする屋根ですが、反対に平らな陸屋根(りくやね)で、落雪させない屋根もあります。
積もっている屋根の自然融雪や、ヒーターなどを併用しながら、徐々に溶かしていくことで落雪自体をさせないような屋根形状です。
ただ雪は相当な重さになるため、大雪時の荷重に耐える住宅設計が必要になってくることや、雨漏り対策をしっかりしないといけないため、ハードルが高い設計です。
3. 落雪屋根のメリットと注意点
落雪屋根や雪割棟のメリットは、なんといっても「雪下ろしの手間が減ること」です。
雪がある程度積もってくると、自重でドサっと落ちてくるため、わざわざ屋根にのぼって雪下ろしをする必要が減ります。
ただし、注意点としては落雪による事故です。家の周りに雪が落ちてもいい十分なスペースがあること、家のすぐそばを人が歩かないことなどの条件が必要です。
その地域の降雪量・敷地の広さなどで最適な対策方法が異なってくるため、実績豊富な業者に相談しておく必要があります。
4. まとめ
今回ご紹介した落雪屋根、雪割棟は落雪の手間を減らすことができる一方、安易に設計してしまうと、事故につながる可能性もあります。
家を様々な角度から、気候条件まで想定した設計を心がけましょう。
当社では、岐阜県内でも雪が深い地域での施工実績が豊富にございますので、雪おろしが毎年大変、大雪の時に荷重で家への負担が心配、という方はぜひお気軽にご相談ください。
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