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【雨漏り修理の専門家が解説】板金屋根は縦葺きと横葺きのどちらがオススメ?

「板金屋根を葺くなら、縦葺きと横葺きどっちがオススメ?」とお客様によくご質問を頂きますが、板金の向きによって将来の雨漏りリスクが異なることをご存じでしたか?
今回は、「雨漏り回避を最優先に考えるなら、縦葺きと横葺きどちらが良いのか」を解説します。
新築または葺き替えをご検討されている方は、ぜひ、ご参照ください。

この記事のまとめ

【結論】縦葺きと横葺きなら「断然縦葺き」がオススメ!

早速結論からお伝えしますが、雨漏りのしづらさという観点から言えば、縦葺きに軍配が上がります。
ちなみに、横葺きの屋根はデザイン性が高く、おしゃれな外観にこだわりたい方に人気の高い葺き方です。
それでは、縦葺きがなぜ雨漏りに強いのか、その理由を見ていきましょう。

理由① 構造上雨水が逆流できない

屋根の一番高い所から垂直に下に向けて、縦縞(たてじま)に板金を配置しているのが縦葺きです。
縦葺きの場合、屋根にかかった雨水は屋根材を伝ってまっすぐ軒先まで流れ落ちます。
そのため浸水の主な原因となる雨水の逆流または滞留がなく、雨漏りが発生しづらい構造になっています。

理由② 雨水の侵入経路が少ない

屋根材のつなぎ目は雨水の侵入経路になる可能性が高い箇所です。
縦葺きは、横葺きに比べて屋根材のつなぎ目(浸水経路)が少ないため、雨漏りがしづらくなっています。

理由③ 防水立平葺きが使える

縦葺きは、雨漏りにめっぽう強い防水立平葺きという工法を用いることができます。
防水立平葺きの最大の特徴は、屋根の頂点から軒まで一枚の板金を使用することです。
板金が一枚になることで、雨水侵入の原因となる板金のつなぎ目がなく、雨水が滞留する場所がないため、雨漏りリスクを最小限におさえることができます。

板金屋根には二枚の板金を織加工して繋いだ馳 (はぜ)と呼ばれる部分があります。
防水立平葺きの場合、一枚板金を縦縞につなげる際の馳がすべて突起になっており、雨水が留まれないようになっています。
さらに、馳の内部には防水材が仕込まれており、毛細管現象により水を吸い上げて雨漏りが発生することもありません。
この防水立平葺きを使用できるという点が横葺きにはない優位点となっています。

雨漏り対策優先なら縦葺き。デザイン優先なら横葺き。

雨漏り対策を優先して考えるなら、間違いなく横葺きよりも縦葺きです。
とは言え、「せっかく新築・葺き替えをするなら自分好みにこだわりたい、おしゃれな
屋根にしたい」と思われる方もいらっしゃるかと思います。
そのようなご要望をお持ちの方は、見映えのする横葺き屋根がオススメです。

ちなみに、相対的に見ると縦葺きの方が雨漏り防止性能は高いと言えますが、決して横葺きが雨漏りしやすいという事ではありません。
また、施工不良がない限り、縦葺き、横葺きで屋根材の耐久性自体も違いはありませんのでその点についてはご安心ください。

横葺き屋根の注意点は「勾配」

横葺きを選択される場合、「屋根の勾配」については注意が必要です。
横葺きは、屋根材を階段状に重ねて葺く工法のため、横葺きを行うことで屋根の勾配は縦葺きよりも緩くなります。
勾配が緩い屋根に横葺きを施すと勾配がなくなるため、雨水が下に流れづらくなり、雨漏りしやすくなってしまいます。

まとめ

いかがでしたか?
雨漏り対策を重視して縦葺きか、またはデザイン性を重視して横葺きか。
ご紹介した内容を踏まえてぜひご検討ください。
なお、屋根によっては横葺きが不可能な場合もありますので、まずはしっかりと相談に乗ってくれる専門業者を見つけて相談してみることをおススメします。


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