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FUJI ROCK FESTIVAL '24 day3

2024/07/28

昨年は3日間行きましたが、今年はスケジュール的に厳しいのとラインナップもやや弱いため「どこか1日だけにしよう」と家族と相談の上決定。
当初はSZAがヘッドライナーだった金曜に行く予定でしたが、SZAキャンセルのため第2候補だった日曜のチケットを取りました(そのあとまさかのThe Killersが金曜ヘッドライナーの代打に決まり、そのままでも良かったかも…とちょっと逡巡しましたが、日曜も楽しみなアクトが多かったのでまぁこれはこれで良し)。
通しで行けない代わりに、「朝から翌朝までフジロックを味わい尽くす‼︎」をテーマに、1日愉しんできました。

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苗場までの道のり
今回、苗場までの交通手段は、シャトルバスではなく路線バスを使ってみました。シャトルバス料金が2000円と昨年比2倍になり、路線バスの700円と大きな差が出来たからです。
路線バスはとにかく安いというメリットの一方、
・時間が限られる(1日9本しかない)
・フジロック以外のお客さんもいる(主に登山客)→座れない可能性あり、また各停留所に止まるためシャトルバスより若干遅い
・現金しか使えない
といったデメリットもあります。それでも1300円浮くのは大きいです。おかげで酒を躊躇なく呑めました(笑)。
ひとつ失敗したのは降りる停留所の選択。同乗したお客さんが「白樺口」バス停でゾロゾロ降りていくのでついて行ったのですが、自分は入場ゲートより遠くにあるピラミッドガーデンに行きたかったので、その場合さらに進んで行った「西武クリスタル前」で下車するのが正しかったらしいです。やっぱり情報少ないから難しいです、路線バス。

ピラミッドガーデンへの入口

到着後はピラミッドガーデンでグッズ物色したり子供の遊び場下見したり早速一杯やったりして、忙しくなるライブの開始前に少しまったりしました。

クロワッサンサーカスのワークショップ(体験会)。いつか子供たちを連れてきてやらせてみたいです。

森大翔 @Red Marquee 10:20-
ギターの世界大会で優勝経験がある若きヒーロー。華麗にステップ踏んだり、ステージ上を縦横無尽に暴れ倒したりしながらギターソロをきっちりキメる姿は、まさしく次世代のロックスター。
楽曲がブルースだったりラテン風だったり直球J-ROCKだったりと、一貫性がなさすぎて聴いてる側としては乗りこなしづらい部分はありましたが、サポートメンバー含めて全員器用にこなしているのは流石だなあと思いました。サポートで特に気に入ったのはベースの月川玲さん。派手さはないけどよく馴染むプレイ。ペールグリーンの髪も映えてました。

No Party For Cao Dong @Green Stage 11:00-
From 台湾。これまでも度々来日していますが、今回はメインステージであるグリーンステージへの抜擢。これまで出演してきた日本のフェスはどれも小さいステージばかりでしたが、ようやく本国台湾での評価に見合うステージがフジロックで用意されることに。
当初は11:30からbetcover!!が始まるのでまぁ前半だけ観て移動するか…と考えていたのですが、静と動を活かした緊張感のある楽曲展開と、ハードロックからマスロックまで多様なジャンルを飲み込んだサウンドに完全にハマってしまい、気づいたら1時間フルで観ていました(betcover!!ごめん!!)。
周囲は台湾をはじめとする中華圏から来たと思しきお客さんがたくさん。シンガロングも当然できるし、曲が完全に染み付いているのか楽曲が激しくなる瞬間に即モッシュ即ヘドバンしていて、こういう激しいバンドが国民にしっかり浸透してるって改めてすごいな…と感じました。

ライブ終盤になって表示されたバンドロゴ。みんな撮るよね。

Jim West @Blue Galaxy 12:00-
今年から復活したブルーギャラクシー。立ち寄ってみたら、Jim御大がUKオールディーズの7インチを丁寧に拭きながら回していて、さながらUKの老舗ミュージックパブの雰囲気。ハイソな感じもなく気軽に乗れるので、少しの時間でしたがすごく楽しかったです。復活ありがとうBlue Galaxy、来年以降も続けてほしいです。

Esne Beltza @White Stage 12:40-
フジ恒例のいわゆる賑やかし枠ですが、活動終了を決めているにも関わらずこの枠に呼んでくるのはスマッシュの愛情を感じます。バンドもそれに応えてしっかり賑やかしの役割を果たしていました。もちろんお客さんもにぎにぎ。一生懸命腕振ってスウェイしていた小さい子どももいて可愛かったです。

CHO CO PA CO CHO CO QUIN QUIN @Field of Heaven 13:20-
近年注目度を高めているバンドで個人的にも楽しみにしていましたが、実際観てみると「もう一歩かな…?」という感じでした。
世界旅行をする感覚で楽しんでほしい、とMCで語られており、確かにキューバから沖縄まで様々な土着の音楽が取り込まれてはいますがそれだけでは世界旅行感は出ず(なぜならダイナミズムがないから)。ベースが音を置いていく感じであまりグルーヴしないのもマイナス。ただしまだまだ若いバンド。これから色んな音を作りだして愉しさを見出してほしいです。

WEEKEND LOVERS 2024 "with You" @Red Marquee 14:00-
CHO CO PA CO終わりと同時にダッシュでマーキーへ。オアシス入口のポカリのブース辺りまで来ると、遠くから「CISCO!」の大合唱が。'CISCO'といえば、かの伝説のFUJI ROCK '98におけるthee michelle gun elephantのオープニングナンバー。それを2024年のフジでやるとは!
マーキーへ着くと、ちょうどLOSALIOSからThe Birthdayへ転換するタイミングでした。3人のみでのThe Birthday、いったいどんなライブを?と思っていましたが、結果的には色々と試しつつもとにかく"前向き"な内容でした。
3人のみの「月光」で始まり、チバユウスケの歌声を同期させた「サイダー」、THA BLUE HERBのBOSSを招き新たな感性が吹き込まれた「ハレルヤ」、LOSALIOSとYONCEを加えてrockin' partyを繰り広げた「ローリン」。それぞれの楽曲でやり方はバラバラですが、ヒライハルキさんのMCでもあったように「悲しむよりも、愉しんでいこう」というメンタリティは共通していたように思います。
今後ライジングサンでも同様の形態で開かれるWEEKEND LOVERS with You。その場に集まった全員が辛さを乗り越えて笑顔でパーティーを続けてくれればいいな、と心から願っています。

片想い @苗場食堂 15:00-
今年はカクバリズムからの出演が彼ら1組のみで、意図せず「フジロック'24カクバリズム代表」になった片想い。カクバリズムらしいラフでフレンドリーな音は苗場食堂の雰囲気にはぴったり。
ただし集まった観客の数は苗場食堂のキャパには全く見合ってませんでした(自分も木の影でステージがほぼ見えない位置までしか行けず)。以前出演したときよりステージサイズが下がったことは本人たちもネタにしていましたが、せっかく久々の本格再始動を果たしただけに次はレッドマーキー以上のサイズを期待したいです。

視界の限度

The Jesus And Mary Chain @White Stage 16:10-
フジの客層にはピッタリ合うのか、ほぼフロアが埋まり切っていたジザメリ。でも個人的には"古さ"が際立って聴こえてしまってダメでした。早々に立ち去って、混雑が目立っていたトイレへ。レジェンドよりトイレを優先してしまうのは、贅沢というかなんというか…。

RAYE @Green Stage 17:00-
さてここから個人的に楽しみなアクトが続く本気タイム。まずは昨年リリースの『My 21st Century Blues』がべらぼうに良かったRAYEから。
アルバムの世界観を日本までどの程度持ってきてくれるかが若干不安でしたが、全員白を基調とした正装で登場したバックバンドの姿を見て一安心。そしてRAYEはエメラルドグリーンのドレスで登場!ゴージャス!でもちょっとスケスケすぎな気も?(ほとんど乳首しか隠せていないトップスのせいで、胸が飛び出さないように手で押さえながら走ったりジャンプしたりしていたのがカッチリとしていた雰囲気の中でコミカルかつキュートでもありました)
オープナーは「The Thrill Is Gone.」、やはり抜群に歌上手い。テンポのアップダウンを繰り返すこの曲はRAYEの声の張り、伸び、どちらもよく主張されていて1曲目のパンチにぴったりです。その後も「Worth It.」や性差別・性加害に触れた「Ice Cream Man.」など、1曲1曲丁寧にMCしながら『21st〜』の世界観を展開していきます。この世界観に触れられただけで、今回のフジに来られて良かった!と心から思いました。
中盤は長尺の「Genesis.」やJames Brown「It's A Men's Men's Men's World」のカバーで深みを聴かせてから、Jax JonesやRegardらとのコラボ曲が続くパーティタイムへ。個人的には『21st〜』の世界観をもっと味わいたい気もしましたが、MCで語っていたとおり個人で作品をなかなか出せなかった厳しい7年間を支えてくれたのがこのパートの楽曲でもあるので、楽しそうにぴょこぴょこ飛び跳ねる彼女を応援する気持ちでこちらも楽しみました。
ラストは「Escapism.」。困ったことに次のFontaines D.C.との空き時間が0分のためジワジワ後ろに下がりながら観ましたが、最初は埋まりきっていなかったフロアに沢山の人がいてハンズアップしながら愉しんでいる様子が見えたので、これはこれで嬉しかったです。


Fontaines D.C. @Red Marquee 18:00
フジロック'22はキャンセル、昨年の来日公演は行けずじまいでようやく観れたFontaines D.C.。リリース間近の新作のタイトルトラック「Romance」で開幕したのち、いきなりの「Jackie Down The Line」そして「Televised Mind」。ヤバすぎる。クールに見えて熱量のある演奏、モニターに立って煽りまくるボーカルのGrian、尖りに尖った楽曲、全てが心に刺さりまくり。ようやく生のFontainesを観れた嬉しさも相まって、この時点でもうなんか泣けてしまいました。ヤバいヤバい。
その後も新旧の楽曲をとめどなく浴びせまくってマーキーを制圧するFontaines。特に中盤の「Nabokov」は圧倒的すぎて震えました。終盤に置かれた初期の代表曲「Boys In the Better Land」も攻めまくるバンドとお客さんの応酬で大変なことになってました。
最後は新作から「Favourite」「Starburster」を披露。この2曲は過去の代表曲ほどハードではないものの、ライブで聴くとバンドがより大きなステージに登っていく可能性をひしひしと感じました。次にフジロックに来たときは、間違いなくグリーンステージでしょう。

ずっと真夜中でいいのに。 @Green Stage 19:00-
Fontainesが良過ぎたあまり、放心状態でダラダラ鑑賞。
実験性とか先鋭性とかで語られることの多いずとまよですが、個人的には"模倣"を感じる場面もちらほら。ちょっと前にアルバム収録曲がフィッシュマンズにそっくりだと話題になったことがありましたが、音だけでなくステージングでも、電子レンジを叩いているACAね氏の姿を見て「Gang of Four…?」と思ったりしました。まぁオープンリールという"再生機器"をライブに用いている以上、何かをなぞる部分が幾らか出てくるのは当然なのかも?

Kim Gordon @White Stage 20:00-
姐さんスゴすぎっす。71歳にも関わらずゴリゴリにノイジーなサウンドに乗って鋭い眼光光らせながら歌えるのは、もはや健康かどうかの問題ではなくそれを超えて異常。なんだか自分も年齢を重ねていくのが楽しみになってきた、そんなライブでした。

Noel Gallagher's High Flying Birds @Green Stage 21:10-
次のTurnstileまで時間が空いていたのでとりあえずちょっと観てみましたが、まぁ退屈この上なかったです。ノエルとバンドはそれなりに上質なプレイをしているんですが、ヘッドライナーとして圧倒的なライブをしているかと問われると全くもってNO。ただ、それより退屈だったのはフロア。PA横からは椅子に座って"鑑賞"してるお客さんばっかりで、いくらOasisの曲待ちが多いとしてもこれはなぁ…という感じ。こんなつまらないお客さんばっかりのフジロックになっちゃったら今後どうなるんだろう…と、この時はすごく不安になったのですが…?

Turnstile @White Stage 22:10-
一体どこに潜んでいたんだハードコア野郎ども。冒頭の「T.L.C. (Turnstile Love Connection)」から暴発した花火のような大モッシュ大会。T.L.C! T.L.C!をもっと大合唱したかったのですが、それどころではない大騒ぎ。続く「ENDLESS」も予想以上のハードモッシュで転倒したり殴られたりでこりゃやべえ、と思い少しだけ危険地帯から退避しました。その後も続くハードコア祭り、(ダイブしてきたボーカルのBrendanを落っことす失態を犯しつつも)無限に盛り上がり続けるフロアのお客さんに囲まれている間にみるみるメンタルが超回復していきました。
バンドも今日のハードコアOSAHOを完全に掌握し切っていて、曲間のタメを取りながらフロアがしっかり爆発する流れになるようにライブを展開している感じがしました。アルバム『GLOW ON』がエレクトロ等によるゆるふわサウンドによってハードコアを更に強調する作用を果たしていたように、ライブでも「NEW HEART DESIGN」のダンスビートや「ALIEN LOVE CALL」のメロウなR&Bが上手いアクセントとして機能しながら"音楽的に面白いハードコア"が炸裂していたように思います。
ラストの「HOLIDAY」でのステージ登頂に関しては、あまりに大量の人間がなだれ込んでいくのにビビってしまった(苦笑)のと、FUJI ROCK RUNなどの機会で意外と簡単にWHITE STAGEに上がれるのを知っていたので、敢えて登らずにフロア暴動継続担当をさせていただきました笑。でも色んなメディアで書かれていた通り、今回のフジロックにおける最高のクライマックスかつ象徴的なシーンでした。

Kenya Grace @Red Marquee 23:15-
ミッドナイトへの入り口にしてネクストブレイク枠。シンセとサンプラーをいじるときは手元を映しつつ、歌うときはステージ前面に出てガッツリ歌い上げる珍しいソロプレイスタイル。しっかり踊らせるビートを保ちつつ「Strangers」や「Only In My Mind」といった単曲でも魅せられる名トラックも持っているので、クラバーだけでなくポップリスナーも幅広く取り込んで、次はより大きなステージで観てみたいです。

kurayamisaka @Rookie A Go-Go 0:00-
内藤さちさんの歌うメロディがエモーショナルな叙情を誘いつつ、バンド全体としてはシューゲイズ/ポストロックの轟音系。このバランスが絶妙でした。この音で歌詞が潰れずにちゃんと聞こえるのはすごい。将来、独特のポジションを確立できるバンドだと思いました。

250 @Red Marquee 1:00-
NewJeansの楽曲制作でおなじみの250。そのへんのわかりやすい自作曲をかけることはないものの、Blur「Song2」などの大ネタを使いながら自分らしいビートに繋いでいくあたりは個性的なトラックメイカーとしての表情が覗いていた気がします。
テンポが全体的にめちゃ速、おまけに深夜で疲れているのもあって、終わったあとのお客さんの動きが1.5倍速くらいに見えました。すごい錯覚。

Black petrol @Rookie A Go-Go 2:00-、SAKURA CIRCUS @Palace Arena 2:30-、Cumbia Kid @Crystal Palace Tent
このあたりは深夜のお遊び。色々観て回りました。サーカスが高難度の技に挑戦して何度も失敗しながら成功を目指す棒高跳びスタイルだったのは意外でした。

天国注射 @Rookie A Go-Go 3:00-
今年のルーキーNo.1なんじゃこれ大賞。キックボクサーみたいなボーカルとクール過ぎるバンド、その対比だけでも面白いのに、曲によってキックボクサーボーカルはトランペット吹いたりギター弾いたりする変幻自在ぶり。亜流のハードコアは先刻Turnstileで体験したばかりですが、こんなところにも。さながら延長戦のようで楽しめました。

Ken Ishii & DJ TASAKA @Red Marquee, Gan-ban Square 3:30-
テクノマエストロたちが別ステージで同時間帯にターン。
Kenさんはタフなテクノビートをひたすらストイックにプレイ、それに呼応してか深夜ならではのふざけたお客さんもあまり見受けられずガチ踊りの雰囲気。確かに、自分も思った以上に音に身体がハマっていくのを感じて心地良くフロアに留まることができました。
そんなわけであんまり立ち寄らなかったTASAKAさんのほうのフロアですが、こっちはこっちで色々とネタを使いながらTASAKAさんらしいプレイをしていてKenさんのフロアとはまた違った愉しみがあってよかったです。
明るくなり朝5時を回りましたが、マーキーのほうの音は鳴り止みません。結局5:20くらいまでプレイしていたでしょうか?長丁場、Kenさんもお客さんたちもホントにお疲れ様だし素晴らしかったです。

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