見出し画像

FUJI ROCK FESTIVAL '23

2023.7.28-30
いよいよほぼ完全復活を遂げたフジロック。わが家においてもフジロックに対する理解が"復活"し、昨年は1日だけの参加でしたが今年は当日朝出発からの3日間参加が許可されました(歓喜)。


・ヘッドライナーが3組とも良かった!!

今年のHeadlinersは1日目:The Strokes、2日目:Foo Fighters、3日目:Lizzo。昨年は急なブッキングを強いられたため海外の大型フェスと比べると若干オルタナじみているというか、正直小粒なメンツでしたが、今年は役どころにしっかり見合った3組に。個人的には、この3組が発表された時点で「今年のフジ、完全復活させるつもりなんだな」とはっきり感じました。

そして、その3組のライブが三者三様でありながらもどれも素晴らしかったんです!!

1日目のThe Strokesはとにかく質の高いロックンロール。相変わらず活動前期の曲が多いものの、正確さと音の良さにずっと聴き惚れていました。今、ロックンロールリバイバルをやる意義とは?とか問われがちなストロークスですが、そんな瑣末な問いをねじ伏せる逞しいライブを魅せてくれました。アンコールで最新作から「Ode to the Mets」をやってくれたのも嬉しかったなあ。

2日目、涙と笑いのFoo Fighters。Taylor Hawkinsの急逝で一時はもうダメなんじゃないか・・・と危惧したフーファイですが、沢山の人たちと想いを共有した追悼ライブ、渾身の新作、新ドラマー・Josh Freeseの加入を経て、フジロックまで戻ってきてくれました。Joshのドラムはツーバスを活かしたパワフルなもので、Taylorのものとは確かに違う(コーラスもしないし)。けれど、新しいフーファイの確かな一歩が感じられて、終始ワクワクしていました。Taylorの好きな一曲、ということで奏でられた「AURORA」のとき、ふと空を見上げると綺麗な月と星々。空を突き抜けてこの音がTaylorまで届くといいな…なんて思ったら、自然と涙出てきました。隣の人も泣いてました。

3日目のLizzoは終始楽しいディスコポップの幕間に自己愛のプレシャス感が加わるパワフルなライブ。インタールード的に挟み込まれる映像ではLizzoがストイックにFitnessしていたりメディテーションしていたりする姿が映し出されていましたが、これこそ自己愛の真髄だよなあ、と感じました。デブだけど別にいいじゃ〜ん!と雑に開き直るのではなく、自分の体格や見た目を誇りに思いながらしっかり磨いていく、それこそが自己愛なんだと。だからこそ、ステージングも洗練されたものになっていました。格好良かった!

そしてLizzoのライブで満たされて思ったのが、「フェスはやっぱりヘッドライナーが良いと締まる!」ということ。会期中は苦労したことやちょっと期待外れだったこともあるにはあったんですが、メインステージで最も長い時間を使って流れを締めるヘッドライナーのライブが素晴らしければ、細かいことはさておいて、フェス全体がとんでもなく良かったものになる。フジは割と雰囲気だけで最高じゃ〜んみたいな人も多いですが、あくまで"音楽フェス"なのだから、音楽が最終的な愉しみを左右してくれたほうがやっぱり良いですね。

・各日の印象深いアクト(Sudan Archives、GoGo Penguin、black midi)

1日目のSudan Archivesは昨年リリースの『NBPQ』が良かったので特に楽しみにしてましたが、こんなにエッジの効いたライブをしてくれるとは思いませんでした。客席を指差して煽りながら、歌とバイオリンを駆使して独特の世界観を構築。何度もハンド弓矢で撃たれました。

2日目はヘブンのGoGo Penguinが極上。ドラマーが替わり、新作も正直もう一歩…という感じなのでやや不安だったのですが、ライブは素晴らしい完成度。「Friday Film Special」や「Parasite」といった新作の楽曲も、立体感が加わってしっかりライブ映えしていました。スタンディングでガッツリ踊りながら観れたのも嬉しかったです。

3日目はblack midiが、個人的にはLizzoを上回ってのベストアクトです。演ってる曲は一応全て既存曲なのですが、フリーキーに弄りまくっているせいで新曲だらけのようにも聴こえる不思議。ボケっとしてるとどんどん置いていくぞ!…そんな風にも思えるバンドのスタンスに終始やられっぱなしでした。しかも凄いことやってるのに、マイクに止まり続けるトンボを弄ったり、メンバー間で戯れあったりする遊び心も健在だったりするのもまた凄いところです。


・いくつもの素晴らしい瞬間(Denzel Curry、BENEE、Carolline Polachek × Weyes Blood、OKI DUB AINU BAND、Yard Act、FKJ)

今回のフジロックで唯一モッシュに巻き込まれたのが初日のDenzel Curryのとき。しかもガタイの良い欧米人だらけなので超キツい(苦笑)。そんなカオスな状況の中でもDenzelは「次は政府不信の曲だ!中指おっ立てろ!」「G's Up! G's Up!、だぞ!歌えるか!?」「ウォール作れ!ウォールだ!」と、いちいち丁寧に指示してくれる(笑)。ラストがRATM「Bulls on Parade」のカバーだったことも含め、ハードだけど理性的で文脈のしっかりしたライブだったと思います。

いきなりGREEN STAGEに抜擢されたBENEE。SMASH攻めすぎじゃない!?と思いましたが、サッカー日本代表のユニフォームを着て飛び跳ねまくる彼女のパフォーマンスは巨大なステージを突き破るくらい元気でした。日本、そしてGREEN STAGEで演る「Green Honda」はめちゃくちゃ盛り上がりましたね。

2・3日目はあまり前夜に眠れなかったこともあって夕方くらいに眠気のピークが来ていて、2日目のWeyes Bloodのときなんかはほぼ立ったまま夢の世界に旅立ちそうになってました。そんな中でも彼女の自信溢れるパフォーマンスは光り輝いて見えました。また、この後のWHITE STAGEでのCarolline Polachekとのコラボは、今回のフジで最も美しく、ときめいた瞬間でした。

3日目のFIELD OF HEAVENにはOKI DUB AINU BANDが登場。フジ常連と思われているOKIさんですが、個人的にはなかなか観る機会がなくて今回密かにかなり楽しみにしていました。OKIさんの鳴らすトンコリの音色に加え、ドラムに沼澤尚さん、キーボードにHAKASE-SUNが居れば、もうズブズブに踊るしかありません。「サハリン・ロック」は欧米の方と一緒にブチ上がりましたね。

Yard Actは「ロック時事放談」的な音楽だと思っているので、もしかして歌詞きちんとチェックしながら観たほうが面白いのでは?とふと思いついて、Geniusで歌詞確認しながら観たら案の定爆ウケ。UKロック版ザ・ニュースペーパーズ。こういう楽しみ方もアリだと気づきました。

今回のフジの音響は全体的に低音モリモリで、世界のスタンダードではあるけれどそんなに盛らなくてもいいよ!お腹いっぱいだよ!と思ってしまう場面も。そんな中で訪れた最終日のFKJの時間は、繊細な音の構築美が光る滑らかでバランスの良い音がRed Marquee全体に溢れていました。度重なる機材トラブルによる中断がなければ、今回のフジロックで最も"超気持ちいい"アクトでした。

・数少ない残念(100 gecs)
・通信状況とFUJI ROCK PLUSに左右される飲食
・キャンプは安いがキツい
・FUJI ROCK RUNはマスト
・フレディーノにまた会いたい

時間のあるときに随時更新したい…完成するのかこのレビュー?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?