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2023年上半期ベストアルバム記事を箱根駅伝の総括っぽく書く

今年も上半期ベストの時期になりました。が、正直ダーッとタイトルやレビューが並んでる記事があんまり好きではない(というか読みづらくて印象に残らない)のと、自分らしい書き方でもないなとぼんやり思ったので、音楽と並ぶくらい好きな箱根駅伝に例えて書くことにしました(暴挙)。
1区間=1ヶ月として、その月毎に聴いたアルバムについてレース展開になぞらえて書いていきます。ではスタート!

1区(1月)

今年も始まった箱根駅伝(音楽シーン)。近年1区は様子見の展開となることが多いが、スタートから飛び出したのがIggy Pop大学 - Every Loser。今大会最年長の75歳(リリース時点)だが、年齢を感じさせないイキの良さと鋭い走りで後続を引き離す。さすがに年齢的に記録は伸びなかったものの、そのまま区間賞(月間トップ)を獲得した。
後続集団からはSam Smith大学 - Gloriaが自信を高めたスパートで抜け出し(他のLGBTQ+コミュニティへ)タスキリレー。昨年飛躍したMåneskin大学 -  Rush!も終始目立つ走り(パフォーマンス)で話題を攫った。
一方で、サプライズを狙ったBelle and Sebastian大学 - Late Developersは走り(内容)が伸びず、下位でのスタートとなった。

2区(2月)


エース区間でまず先頭に躍り出たのは、RAYE大学 - My 21st Century Blues。1年次から注目されていたが、首脳陣(レーベルetc)との確執等により9回生になってようやくの箱根デビュー。長年の悔しさを晴らす快走を見せる。
そんなRAYE大学を上回る走りを見せたのが、Paramore大学 - This Is Why。「When We Were Youngグループ」と呼ばれるエモロック系大学(バンド)の集団の後押しを受ける形で勢いをつけると、これまでの経験を活かした逞しい走りで終盤の権太坂もクリア(アルバム後半の楽曲が特に素晴らしかった、の意)。これまでも実力を証明するレース(アルバム)は何度も演じてきたものの、部員(メンバー)の造反など苦しい時期が何度もあったParamore大学。それらの経験をバネにして、エース区間で見事に区間賞を獲得した。
結果的に、RAYE大学やParamore大学など、総じて苦労の多かった大学が活躍する"反逆の2区"となった。
区間3位はAndy Shauf大学 - Norm。美しいフォーム(サウンドデザイン)で多くの沿道の観客を魅了した。
また、世界中の大規模レースを転戦中であったはずのJohn Frusciante大学 - Ⅱが突如この区間に登場し、1時間43分かけてやりたい放題走る、という珍事もあった。

3区(3月)


時代錯誤かと思いきや実は未来志向の走りを見せたYves Tumor大学 - Praise a Lord Who Chews but Which Does Not Consumeや、本来のロマン溢れる走りを取り戻したM83大学 - Fantasy、どこまで行ってもわたしはワタシなLana Del Rey大学 - Did You Know That There’s A Tunnel Under Ocean Blvdなど、個性的な選手たちが鎬を削る展開となった3区。特に湘南の海沿いのコースに入ってから(3月中旬から)はより一層激しい争いに(すなわちリリースラッシュ)。
その中から一際個性的で、頭ひとつ抜け出したのが100 gecs大学 - 10,000 gecs。諸先輩たちから受け継いだ技術を詰め込めるだけ詰め込みつつ、それでいて破綻しない絶妙な芸術的走法は"hyper running"と称されるシーンの代表格。湘南大橋を過ぎてからの'I Got My Tooth Removed'→'mememe'の2段スパートで一気に勝負をかけ、区間賞を獲得した。
また、ライブ作品のためオープン参加だが、全曲新曲のため事実上の正規エントリーともいえるBlack Country, New Road - Live at Bush Hallも、高い才知を見せて気を吐いた。

4区(4月)

Metallica大学やDinner Party大学、ヨルシカ大学など元々高い能力を持つ大学がなかなか攻めきれない展開になる中、活躍を見せたのが今回唯一関東以外(京都)から出場したHomecomings大学 - New Neighbors、そして共にルーキーのWednesday大学 - Rat Saw God、Blondshell大学 - Blondshellの3校だ。
ホムカミ大学は自らのルーツを見つめ直し、Wednesday大学はハードな練習(表現)にも制限を設けず、Blondshellは憂鬱さの中にも美しさを見出したことで、それぞれ自らの殻を破る走りを実現。全員これからの更なる活躍にも期待できる、希望の4区となった。
他方では、The National大学 - First Two Pages of Frankensteinが、スタート直後からずっと苦しい表情ながらも持ち前の粘りで区間上位をキープ。Jessie Ware大学 - That! Feels Good!もこの区間では話題を集めた(※でも個人的にはあんまり好きな作品じゃないんですよね…好きな方すみません…)。

5区(5月)


山(音楽)の神、ここに降臨!その名は、cero大学 - e o!(名アナウンサー河村氏の発声で)
神話や哲学、量子力学等のエッセンスを散りばめたストライド(リリック)と旧来のポップソングからは大きく逸脱したピッチ(楽曲構成)は難解そうでありつつ、時に遊びも感じられるフォームによって生み出される自由かつ圧倒的な走りは、今後何年も語り継がれるレース(生き延び続ける作品)となることを予感させた。
他には、この区間ならではのユニークな選手も多く登場。Arlo Parks大学 - My Soft Machineはロック要素も取り入れ新機軸を見せつけ、Tinariwen大学 - AMATSSOUもゲストコーチ(アーティスト)の力を活用して上手く勝負した。更にスピッツ大学 - ひみつスタジオも、らしさを生かしつつ遊び心もある走りで小気味よく山を登った。

6月(6区)

※すでに復路に突入しちゃってますがご容赦ください

山下りの6区、スタート直後から圧倒的な力を見せたのはFoo Fighters大学 - But Here We Are
昨年部員(ドラムスのTaylor Hawkins)が急逝し、立て続けにエースで主将のDave Grohlの母が亡くなるという悲劇に見舞われ、一時は廃部(解散)も噂されていたフーファイ大学。しかしなんとか立て直し、急拵えの走り(アルバム)だったが、その分元来の実力を混じりっ気なしで披露したその姿は多くの駅伝(音楽)ファンの涙と熱狂を誘った。
後方は混戦模様。Beach Fossils大学 - Bunnyがフレッシュな走りで飛び出したかと思いきや、Sqiud大学 - O Monolithがテクニカルながらも下り坂のスピードにも臆さないパンクな走りで追従。さらにはJanelle Monáe大学 - The Age of Pleasureが箱根の山を南国のビーチに変える振り切った楽しさ溢れる走りでスピードを上げ、後方からはQueens of the Stone Age大学 - In Times New Roman…、Kim Petras大学 - Feed The Beast、never young beach大学 - ありがとう、Cornelius大学 - 夢中夢なども上がってきて大混戦に。
その中で、最後の苦しい平地を何故か若干宙に浮いているような魔術的な走りでクリアしたSigur Rós大学 - ÁTTAが、フーファイ大学に次ぐ順位で小田原中継所に到達した。

◎現時点での金栗賞(MVP=年間ベスト)候補

1. cero - e o
2. Foo Fighters - But Here We Are
3. Paramore - This Is Why
4. 100 gecs - 10,000 gecs
5. Sigur Rós - ÁTTA
6. RAYE - My 21st Century Blues
7. Blondshell - Blondshell
8. Wednesday - Rat Saw Gold
9. Beach Fossils - Bunny
10. Homecomings - New Neighbors


はい、というわけで無茶な企画でしたがいかがだったでしょうか?
あえて月単位で振り返るのもなかなか有意義でしたが、このままだと箱根駅伝に11区と12区というありえない区間が発生するのでたぶん年間ベストではやりません(笑)
なお本物の箱根駅伝は、早稲田・城西の躍進と農大の予選突破、非関東の雄・立命館の奮戦に期待してます!まずは各大学、夏合宿を無事終えられるよう願ってます!!

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