cero『e o』語彙メモ

先日リリースされたcero『e o』。大傑作です。
大傑作なのは間違いないのですが、「難しい」という意見もチラホラ。サウンドに関しては正直人によるかな?という感じですが、歌詞に関しては難解な語彙も多くて確かに「難しい」。
というわけで、自分用メモも兼ねて、各楽曲に出てくる難語彙の意味を並べておきます。

1.Epigraph - エピグラフ
・『エピグラフ』…建物、立像、墓などに刻まれる碑銘、碑文。また、本の巻頭などに付される独立した詩、文。題辞。音楽作品だと「イントロダクション」などと名付けるのが通常ですが、このアルバムのこの曲に関しては「エピグラフ」としか言いようがない。そのくらいふさわしいタイトルです。
・裸のモナド…ライプニッツの提唱した実体論・モナドロジーのうち、裸のモナドは"物質"を指す。まだ精神等を持ち合わせていないモナドが丘の上に立っている、という表現はこれからアルバムをまっさらな状態で聴いていくうえで効果的な表現だと思います。
・オールトの雲…太陽系を取り囲む球殻状の微惑星群のこと。

2.Nemesis - ネメシス
・『ネメシス』…ギリシア神話に登場する女神で、人間が神に働く無礼に対する、神の憤りと罰の擬人化。
・タペストリー…風景、人物などの絵模様を織り出した綴織(つづれおり)、またはその壁掛け。これが"絡み合う"こと、そして宇宙空間を漂うような楽曲と詩世界、さらには"ネメシス"というタイトルによって、人間世界を淡々と俯瞰しているような1曲になっていると感じます。

3.Tableaux - タブローズ
・『タブローズ』…フランス語で「絵画」の意。この曲はあまり難しい語句は登場しませんが、ぶつ切りの単語やイメージしずらい形容詞が多く、まさに"リンクの切れた言葉たち"によってバラバラに散らばった絵画のようです。

4.Hitode no umi - 海星の海
・まつろわぬ…帰順しない、従わない等の意。
・アノマロカリス…5億4200万~5億100万年前のカンブリア紀最大の生物。 歯が円形に並んだ口と、口の両脇から伸びるトゲで覆われた触手が特徴。海星と合わせて「海洋生物のふしぎ」的なテイストがこの曲の雰囲気を決定づけています。

5.Fuha - フハ
・『フハ』…水木しげる作品によく出てくる驚愕や興奮の表現「フハッ」から取られていると思われます。高城さんもシングル配信リリース時に水木さんからの影響を仄めかしています。
・人新世…人類が地球の生態系や気候に大きな影響を及ぼすようになった時代。アントロポセン。
・テラ・インコグニタ…ラテン語で「未知の大地」の意。

6.Cupola - キューポラ
・『キューポラ』…イタリア語で屋根に取り付けられている、小さな屋根の構造体のこと。 形状は半球や円すい、四角すいなど様々で、屋根裏の換気をするためや、飾りとして付けられている。
・エピファニー…突然の目覚ましい理解の感覚。一般に、この用語は科学的進歩や、宗教的または哲学的発見を説明する際に使用される。
・潮溜まり…潮が引いたあとも海水が残っている岩礁上のくぼみ。タイドプール。
・あえかなる…弱々しいさま、かよわくなよなよとしたさま。

7.Evening News - イブニング・ニュース
・'夜明け前はブラックアンドブルー'…単純に夜明け前の空の色を表しているだけのようにも見えますが、戦争のニュースが報じられていることを示す歌詞の後に置かれているため、戦争が終わる直前のボロボロに傷ついて'アザだらけ'になっている兵士たちの状態を示しているような気もします。

8.Fdf - エフ・ディー・エフ
・レザリアム…レーザーを使用した光のショー。この楽曲がCDをテーマとして扱っていることに由来していると思われます。

9.Sleepra - スリプラ
・『スリプラ』…"寝具"のことでしょうか?ちなみに1987年発売のゲーム「ファイナルファンタジーⅠ」には「スリプラ」という魔法が登場しています。織物でありながらドット絵のようなアルバムジャケットとも繋がりあり?
・短絡した機械…短絡は一般的に言う「ショート」のこと。

10.Solon - ソロン
・『ソロン』…ギリシャの七賢人のうちの一人。家柄によらず資産によって市民に参政権を与えるなどの改革を行い,平民と貴族の調停をはかった。
・アポリア…ギリシア語で解決のつかない難問のこと。
・はまゆう…ヒガンバナ科の花。

11.Angelus Novus - アンゲルス・ノーブス
・『アンゲルス・ノーブス』…パウル・クレーがモノプリントで描いた絵画のタイトル。ここから派生して多くの文学、音楽、映像作品が生まれている。


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