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JAPAN JAM 2024 day1 よかったもの

2024/04/28

春の蘇我ーソニック、JAPAN JAMに1日だけ行ってきました。

よかったもの

TOMOO

最初の音源発表は2016年、しかしその後なかなか芽が出ず。2023年にSpotify Early Noise選出・アルバム『TWO MOON』のヒットでようやく陽の目を浴びたTOMOOさん。この経歴と同じ女性シンガーであることから、個人的には勝手に「日本のRAYE」と呼んでます。

他のアクトを差し置いて今日の私的ヘッドライナーだ!!と思っていたくらい期待していたTOMOOのライブですが、いやー、大きく予想を超えてこられてしまいました。

まずは音源でも感じられる"豊かさ"がライブでもそのまま発揮されていたこと。1曲目の「Super Ball」から例の中性的な声質で他のアクトとは全く異なる巧みな歌を聴かせ、「Grapefruit Moon」では暗くなった空に大きな月を浮かべるような深みと広がりを与えてくれる。前半からこの歌世界にどっぷりでした。
バックバンドの演奏も同様に豊か。特にドラムスがBREIMENのSo Kannoさんで、他のロックバンドが一様に力任せなパターンドラムだったこともありますが、柔軟かつ安定感のある演奏がTOMOOさんの歌をしっかり支えていたと思います(MCで喋りすぎたTOMOOさんを制するようにリズム刻み始めた点も含め。笑)。

もうひとつよかったのは”軽やかさ"。とにかく歌うまい、だけだと重くて固い雰囲気にもなりがちですが、「あわいに」や「Present」といった楽曲の持つポップで自然体な魅力、それらをステップ踏みながら歌いこなすステージングがフロアとの距離をグッと近づけていました。
この日はフェスのカラーにも合わせて、その名の通りの軽くてポップな初期の楽曲「POP’N ROLL MUSIC」も披露。『TWO MOON』以降の曲だけだとこの日のラインナップからは浮きすぎてしまうような気はしていましたが、この楽曲のいい意味での軽さと、タオル回しで観客を参加させたことががその辺の距離感を縮めてくれた気がします。

この"豊かさ"と"軽やかさ"のおかげで、本当に胸のすくような、モヤモヤを吹き飛ばして新鮮な風を送ってくれるような、そんなライブだったと思います。ダントツのベストアクトです。

シンガーズハイ

ヘッドライナーの[Alexandros]が終わり、花火も上がったあとでのクロージングアクト的扱い。個人的にもいわゆるJ-ROCK畑のバンドだろうとあまり期待していなかったのですが、演奏聞いて180度変わりました。やたら早口でまくし立てるボーカルや「愛してるぜ!」を連発するMCなんかは確かに邦ロック的なんですが、ハードロックやパンク、パワーポップetcを丁寧に解釈して自分たちのものにしている演奏は目からウロコでした。

特に左利きギタリストのほりたいがさんの演奏、あれは相当いろんな古今東西のギタリスト研究して練習しないとあんなプレイはできないと思いました。ぶっちゃけ、中盤以降はいつギターソロが来るかソワソワしながら待っていたくらい。

周りの客層見るとやはりJ-ROCK畑では受け入れられてるんだろうなーとは感じましたが、できれば他の層にも幅広く受け入れられてほしいバンドだと思いました。

Enfants

元LAMP IN TERRENの松本大さんの新バンド。ただし音楽性としては前バンドと異なりダークかつエッジの効いた、日本というよりUKのライブハウスシーンにいそうなロックサウンド。ラストの「Play」にはThe Bends期のRadioheadっぽさも感じたりしました。

松本さん自身も「フェスにはあんまり似合わないかもしれないけど…」と言っていましたが、こういう暗さやエグみもあってこそ音楽フェスは面白くなるはず。今回は前バンドでのコネクションがあったからJフェスにも呼ばれたのだと思いますが、できれば次回はdowntやTEXAS 3000、ANORAK!みたいなソリッドなロックバンドや、maya ongakuとか幽体コミュニケーションズみたいなディープ&ドープなバンドも呼んでほしいと思いました(し、そういう土壌を作るのがメディアの役目ですよrockin'onさん)。

フレデリック

フェスバンドとしてはお馴染みのフレデリックですが、個人的に観るのは初。元々絶対お祭り野郎なだけのバンドじゃないだろう、とは思っていましたが、実際に見てみると40分程度のライブでもいろいろな表情のあるバンドだと思いました。まあYMOやナゴム系にも影響受けてるなら一筋縄で行くわけないわな。

特にニューウェーブ味の強い「他所のピラニア」を突如ぶっこんできたのが印象的。毎回新しいフレデリックを見せたい、とMCで語っていましたが、この楽曲にそのへんが表れていたように思います。
「オドループ」も初期の楽曲を未だにやることへのエクスキューズを予め伝えていたり、自分たちの現在の立ち位置にかなり自覚的でありながら未来に向かおうとする意志の強いバンドでもあると思いました。

Chilli beans.

知的財産権の敵・Vaundyが関わってるために食わず嫌いしていたChilli beans.ですが、いざ演奏聞いてみるとどうにも抵抗できない上手さ。なんか「Welcome」がK-POPっぽかったり、全体的にどっかで聞いたことがあるような感じも否めないんですが、でもやっぱりあのうねりと安定感のあるボトムの演奏を体感してしまうと、どうやっても拒絶できません。

omeme tenten

Vo/Gt.の灯さんは、絶対羊文学の塩塚モエカさん辺りに並び立つことができる才能の持ち主だと思います。生み出される声と言葉は唯一無二、あとはバンドとしてどこまで成長できるか。それだけ。

よくなかったもの

今回のJJは「普段聴いたり観たりしないものもチェックしてみる」がひとつのテーマでした。上記のとおり、その中から予想以上に良いアクトを発見できたりもしましたが、逆にこれは無理…というものも当然ありました。

sumika。日本の音楽特有のシャリシャリした音像に耐えられず1曲で退散。でも人気ある理由は分かりました。なぜならトラッドミュージックだから。あいみょんが内実旧いフォークミュージックでもあるように、日本人ってこういうトラッド/フォークに弱いですよね。でも個人的には全くハマれません。

ももいろクローバーZ。集客力は流石でしたが、いきなり日本一番!みたいな曲で無理〜!となりました。キャリア長い割に歌の安定感も微妙。やっぱりファンとの共犯関係みたいなものに加われないとこれは愉しめないな、と思いました。

ちゃくら。若いのにギターロックで頑張ろうとしてえらいですね!ただそれだけで、特にピンと来るところはなかったです。

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