黄色い瓶に刺さったグリーン

朱夏、この季節は暑く眩しくあるべきで、チリチリ、ギラギラ、照りつける太陽が僕らのすべてだ、サマー! やけくそな暑さがくらくらと、色々な境界線を曖昧にして、僕たちは夏のトランスにはまり込む。そして、夜も尚、アスファルトに蓄まった熱が、ぼんやりと思考を鈍らせるんだ。
なんて! すばらしい! 季節なんだろう!

おっと、ビールについて考えていたら、思わず夏について書いてしまいました。夏でなくても、夜でなくても、ジャブジャブと飲めるビールは、気楽な友人たちとのテーブルに必要ですよね、ということが言いたいはずだったのに。

アイルランドの黒いビールも、ベルギーのフルーティなビールも、ドイツのストイックなビールも、もちろん違うシーンで登場してもらいますが、今日はジャブジャブ系のビールの話。
女性と同席するときは、もう少し気を遣いますが、それでもビールはカジュアルな若さを象徴している飲み物だと思います。

だから、僕は、タイランドやオーストラリアのように暑い国のビールが、浴びるように飲めてグッと好きです。こういうときは味も強すぎなくていいのです。どうせ夜は続くのだから。

そのカテゴリの中で、日本で一番ポピュラーなのはメキシコのビールでしょう。そう、あのライムが刺さっているヤツです。どこのメニューにもありますよね。まったくマニアックでないところがいい。


さて、僕はバーマンとして卓越した才能がないことを自分で知っています。あたりまえだし、プロと比べるのもおこがましいですが、情熱と努力で、ある程度まではいけるけれども、それでも炭酸をつぶさずにグラスに注ぐときなど、基本的な動作の一々が、一流のバーマンにはまったく敵わない。

でも、このビールは、そんな心配をしなくていいのです。ライムを押し込んでそのまま飲めばいいのだから。
そう! 乾杯も力強く、瓶から直接飲むビールのおいしさ!

飲む前に、緑を黄色に押し込んであげる、という小さなセレモニーも、次の一本を飲むための準備のようで、僕は気に入っています。

ああ、喉がカラカラだ。
ビールがきっと太陽を、連れてきたんだ。
そうだよきっと。





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