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ごきゃごきゃ!っと今まで聞いたことのない音を耳より遥か内側で聞いた。
ほんの一瞬の出来事だったのだ。瞬きしたかしていないかくらい。頭部の左右に手を置いて、なんだかよく分からないけれどクルッと捻られたのだと思う。しかし音の激しさの割に痛みはない。

「はい、次は横向きましょうかー。右側が下になるように。はい、それで大丈夫です。」

あれよあれよと言う間に、体の各所の骨がゴキゴキバキバキと慣らされていく。言われるがままに姿勢を変えては間髪なしに進行していくので、もはや自分の体がどう使われているのかも分からぬうち、終わった。骨を元の位置に戻す施術の前、指圧してもらっている段階で、「すごい我慢してましたね、体だいぶ悲鳴あげてますよ」と言われた。これはまた予想だにしていない場所がべらぼうに痛かったのだが、正直、こっちの方がまさに「体が悲鳴をあげている」というやつである。ばきゃばきゃ言っているのなんて初めて聞いた。

次は電気を通して筋肉を解してもらうのだが、肩に電気を当てると腕が勝手に曲がる。曲げようとしてないのに、自分では制御が出来ない。これは以前も何度か受けているが、それでも見えないもので操られて自由が効かない感覚は面白い。

首が思うように曲げられなくて寝違えたように地味に痛いという状態から今日は整体院に来たのだが、こうして何某かのお医者さんにかかる度、果たして私は総体的に何%自分のことを分かっているのだろうかと思ってしまう。

自分の体という入れもののことも分からないし、中身も分からないけれど生きていけるのだから、人間ていうのつくづく不思議な生き物だ。

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