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「メッセージ」について

「メッセージ」は2016年の映画。監督はドゥニ・ビルヌーブ。テッド・チャンの短編小説「あなたの人生の物語」が原作。 

 ある日地球に宇宙からの生命体がやってくる。彼らは友好的なのか敵対的なのか、コミュニケーションをどうしても取らなければならない。そこで言語学者の(エイミー・アダムス)が政府に呼ばれる。あまりSF作品に言語学者が登場することはないので、面白いと思う。同僚の物理学者(ジェレミー・レマー)はエイリアンどうやって来たのか、光よりも早く移動できるのかについて興味津々である。


 エイリアンは言語(言葉、文字)を持っているのか、文字を持っているのならばそれをどうしても解明しなければならない。「地球に来た目的はなんなのか」
そのためにはエイリアンの言語を理解解明しなければならない。


 言語は貨幣と働きが似ているということが言われる。つまり、貨幣が商品の交換手段となるように、言語によって意味が交換される。言語学者のソシュールによれば言語は記号(シーニュ)であり、それは、シニフィアンとシニフィエによって構成される。シニフィアンは文字や音声であり、シニフィエはその意味である。今回、エイリアンは表義文字によってコミュニケーションを図ろうとしているが、墨の様な文字にどんな意味があるのか、それを解明する意味は?


 今回はまさに言語によってある能力が交換されるわけである。その能力とは予知能力であり、それは武器ともなりえる。しかし、未来のわが子の死を予知した上で結婚するということはつらいことだと思う。
 しかし、つらい未来が待っているとしても今この時を生きる意味はあるだろう。詩的なSF作品であると思う。

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