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【中国動向観察】20年前の今日起きた事:米中軍用機接触事故ー王偉の殉死・中国海軍パイロット〔動画〕

 「81192了解。帰還はできない。前進を続けて」。動画はこのように機体に81192と書かれた戦闘機が飛ぶ様子を映している。

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 2001年の4月1日の出来事だ。

  米海軍のEP3偵察機が海南島の南東約110キロを飛行していた際に中国海軍の戦闘機2機がスクランブル発進し、米軍機を追跡。パイロットの王偉が操縦する91192機が墜落し、EP-3は海南島に強制着陸させられるという事件があった。「911同時多発テロ事件」が9月に起きたことでこの事件の記憶は薄れてしまっていたであろうが、この後、夏頃まで交渉が続き、連日報道された米中関係を揺るがした衝撃的事件だった。

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 王偉は、といえば接触後に前述のような一言を残し、パラシュートで緊急脱出し、中国軍は2週間でのべ10万人で彼の捜索をしたが、彼が見つかることはなかった。

 王偉が所属したのは当時の中国海軍南海艦隊航空兵所属の第9師団25団。海南島の陵水、楽東の2箇所に飛行場を有する殲撃機師団だ。海南島にはもう一つ海軍航空兵部隊の師団があり、海口市に海軍航空兵の第8師団が置かれていた。王偉が所属していたこの部隊は現在、三沙市が置かれるウッデイ島(永興島)に駐屯しているとされ、南シナ海島礁の領有権をめぐる紛争の最前線にいる部隊となっている。

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 その後、王偉は中央軍事委員会から「海空烈士」の称号が授与され、「英雄」に祭り上げられ、彼の墓が建てられた。

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 そして今日、衝突事故から20年が経ち、中国国内の各メディアではプロパガンダが始まっている。

 この事件はふとしたことで事件が起こり、衝突にエスカレートしうることを示した象徴的事件だった。軍事衝突にまで発展させずにマネージメントをしてうまく危機管理をすることが外交当局、国防当局間で求められることを示した事件だった。しかし、今日この時も南シナ海では領土領海をめぐるせめぎあいは続き、国境をめぐるつばぜりあいは緊張感が高まることはあっても収まることはないのだ。

動画


 


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