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【中国軍事動向】中国軍が越境しミャンマー領内に到着「ガスパイプライン防衛のため」

 中国軍の部隊が6日(5日の可能性大:筆者)、国境を超えてミャンマー領内のムセ(muse)に到着した。ツイッターの動画投稿によると装甲車や輸送車が道路の脇に一列に並んでいるのが窺える。軍用車両には中国の国旗・五星紅旗が掲げられ、ミャンマー国軍と思われる兵士が軍用車を警備しているように見える。

 ムセはミャンマーの深圳と呼ばれる国境の街であり、対岸は中国の雲南省瑞麗である。ここ数日新型コロナ感染者が出て封鎖された街だ。 

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 どうやら中国軍はガスパイプラインを防衛するためにやってきたといっているようだ。中国南西部とミャンマーを結ぶ原油・天然ガスの輸送パイプラインは全長793km、ミャンマー。ラカイン州の港湾都市チャウピューを起点に、6つのステーション・プロセス施設があり、ミャンマーのラカイン州、マグウェ地方域、マンダレー地方域、シャン州を経て、ナムカムを経由して中国の瑞麗市に入る。

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 実は中国軍の部隊がミャンマーとの国境の瑞麗に集結しているという話はすでに4月1日に報道されていた。タイに根拠を置く、ミャンマー英字ニュースネットである「エーヤワディー(The Irrawaddy:日本ではイラワジとの読み方もあり)」は1日、国境を流れる瑞麗川をわたる姐告大橋付近に集結していると伝えていた。

   中国がミャンマーに派遣した部隊は、その主張が正しいなら、そしてガスパイプラインを防衛するためであるなら、聯勤保障部隊所属の輸油管線大隊と称する石油・ガスパイプラインの防衛に特化した部隊の可能性が高い。

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 まさにこういう時のための部隊といえるかもしれない。中国軍がなんらかの下心があるというよりも本気でガスパイプラインの防衛が使命であると思い込んでいる可能性は高い。混乱に乗じてパイプラインが破壊されたり、正常なガス供給が妨げられることはなんとしても避けたいと考えるであろうことは想像できる。中国が守ろうとするパスパイプラインをめぐる地政学的状況についてもう少し掘り下げてみる必要がありそうだ。

 最後に中国語で恐縮だが、中国とミャンマーのパイプライン建設についての2017年の中国国内でのドキュメントがあったのでアドレスを貼っておく。

※いくつかの報道では軍がムセに到着したのは6日とされていますが、Twitterの日付などから5日の間違いではないかと思われます。 追記9日

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