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「秋山とパン」に見るロバート・秋山の笑いの才能【「秋山とパン」次回、最終回…!】

・はじめに

 みなさんは「秋山とパン」という番組をご存知でしょうか。テレビ朝日、バラバラ大作戦枠にて毎週木曜1時56分(水曜深夜)から放送中のバラエティ番組です。
 筆者はこの番組がとても好きで、毎週、録画して見ていたんですが、実は3月25日の放送をもって終了するそうです…。
 なので今回は番組が終了する前に、その魅力を存分に語っていきたいと思います!!

・「秋山とパン」とは?

 番組の基本的なコンセプトは、ロバート・秋山が街で愛されるパン屋を訪れ、店員との会話を楽しみながら、美味しいパンに舌鼓を打つというもの。
 しかし、それはただの建前で、実際は、秋山がパンそっちのけで全く関係のない話を、嘘を交えながら(というか、ほぼ嘘)、延々と一方的に話し続け、店員を置いてけぼりにする超絶シュールな番組なのである。

 これだけではおそらく、詳しいことが伝わらないので、第一回目の放送を例にその内容を深掘りしていこう。
 その回では、東京都港区麻布台にあるパン屋「メゾン・ランドゥメンヌ」を訪問。その店で人気のパン、「玉葱コーンフォカッチャ」を食べることに。早速味見をして、感想を伝えてくれるのかと思いきや、秋山はそのパンを手に取ったまま、「玉葱コーンフォカッチャ」の名前が漢字+カタカナの組み合わせであるということから、同じく漢字+カタカナの名称である「高輪ゲートウェイ」に関するトークをし始める。
 なんと、秋山は「高輪ゲートウェイ」のネーミングに1枚噛んでいるというのだ。秋山の話によれば、彼は駅名の選考会議に招待され、出席したとのこと。
 途中、パンのインサートが入り、ナレーターの齊藤ちはるアナが「秋山さん、お味はいかがですか?」と問いかけるも、そんなことはつゆ知らず、トークの脱線はエスカレートし続ける。
 実は「高輪ゲートウェイ」という駅名は一般投票ランキングでは130位くらいの名前だったという。なぜ、そんな名前が駅名に決まったのかというと、椎名林檎の「丸の内サディスティック」が影響を与えているからだそうだ。
 それに続けて、秋山は、椎名林檎が漢字とカタカナを組み合わせるシステムのパイオニアだと語る。「北海道バター」という言葉だって椎名林檎のアルバムに入っていても、違和感がないのだとか。
 こういったシステムの爽快感に魅了された、90年代の音楽好きが、「1位よりも130位のほうがなんか語感的に気持ち良くない?」となり、「高輪ゲートウェイ」に駅名が決定したのである。
 また、秋山は、漢字+カタカナの名前が新たな駅名に決まりそうなことを、システムの創始者である椎名林檎本人にわざわざ直接確認しに行ったのだという。
 すると、秋山の話は本当なのかを検証するVTRに切り替わる。そこに映し出されたのは、椎名林檎。一瞬、偽物だと疑ったが、紛れもなく本人だ。椎名林檎は秋山に相談されたという話が事実であることを激白。正直、その話を持ちかけられたとき、「良くないな…」という心情だったことを打ち明けた。
 さて、ようやく秋山がパンを食べ、感想を言ったかと思えば、番組は残り数分。最後に、「この番組はフィクションです。秋山は高輪ゲートウェイの名前に一切関係していません。」とのテロップが表示され、番組は幕を閉じる。つまり、話はまるまる全部嘘で、椎名林檎も秋山の嘘話に全乗っかりしていたというわけだ。

 そして、この構成はその後も変わらず、毎週毎週、秋山ワールドに色んな芸能人を巻き込んで、嘘話をし続けている。

・秋山の着眼点のスゴさ

 この番組の魅力の1つは、秋山の着眼点のスゴさが如何なく発揮されているところだ。
 先に紹介した、「漢字とカタカナを組み合わせる名前の心地よさ」について言えば、そんなこと今まで考えたことなかったけど、言われてみれば確かにそうだなと思わせてくれている。
 また、前回の「秋山とパン」では、駆け足ミュージックについてトークを展開。運動会などでよく流れている駆け足用に落とし込まれたヒットソングは、駆け足するのに最適なBGMとなり、駆け足は日々の生活をする上で、非常に便利な移動手段だということを熱弁した。
 これを聞いたとき、筆者はそういえば運動会とかでグラウンドに入場する際、そういう音楽流れてたなぁと懐かしくなるのと同時に、そこに目をつけるのかと驚き、なんだか笑えてきた。

・ゼロからイチを生み出す天才

 また、秋山は全く現実にないことをさもあるかのように面白く話す才能がずば抜けているように思う。
 それはロバートが繰り広げるコントの設定が証明している。大体コントは現実にある場面や設定(警察官、ピザの配達、コンビニに強盗が入ってくるなど。)に、面白い事件が起こり、話が展開していく。しかし、ロバートのコントは設定からして、異質なものが多い。例えば、邪念ゼロ研究会や、小学生が版画で掘りそうなタッチを体で表現する部活など、どれもおそらく現実にはないものばかりだ。だからといって全くとっつきにくくはなく、むしろ、どんどんとその秋山ワールドに引き込まれていく。
 「秋山とパン」でも全くの大嘘話を毎週毎週話している。しかし、なぜかその話には説得力があり、面白く感じてしまうのだ。

・まとめ

 以上のように、「秋山とパン」は秋山の笑いの才能がたくさん詰まったガチガチのお笑い番組です。
 なので、次回で最終回なのは非常に残念としか言いようがありません。まだ見たことがないという方は是非最終回だけでも見てみてください!
 そして、また秋山ワールドにどっぷり浸かれるバラエティ番組が地上波で放送されることを願うばかりです。

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