見出し画像

【現役競走馬烈伝】激闘のダービーを制した偉大なる王【シャフリヤール】

ーー全てのホースマンが夢見る舞台、
世代の頂点を決める戦い「日本ダービー」

そこで燃え尽きる馬も数多いる中で
大接戦の果てにレコードで勝利し、

世界にもその力を示した馬がいるーー

【現役競走馬烈伝】
シャフリヤール編

今回は2021年日本ダービーを制し、その後日本ダービー馬として史上初めて海外G1を勝利したシャフリヤールについて紹介します。

と、その前に。

改めて「日本ダービー」というレースについて説明したいと思います。

東京優駿(日本ダービー) G1
東京競馬場 芝 2400m 左回り
1着賞金2億円 3歳馬限定

日本ダービーは馬にとっては一生に一度しか走れないクラシック三冠競争の第二戦にあたるG1競争です。
日本では毎年7000頭以上のサラブレッドが生産されており、競馬界においてダービーを獲ることはその世代の頂点に立つことを意味します。

「ダービー馬のオーナーになることは一国の宰相になるより難しい」という言葉もあるほどその栄誉を得ることは難しく、全ての騎手、馬主、調教師の最大の夢とされています。

ダービーを勝った後に燃え尽きてその後勝ち星に恵まれない馬も多く、
まさしく全てを賭けて獲りたい称号である日本ダービー。
今回は昨年のダービー馬となったシャフリヤールの蹄跡を追っていきましょう。


最強の名馬の仔として、王の名を戴く

2018年4月、無敗でクラシック三冠を制した伝説の名馬ディープインパクトの仔としてこの世に生を受けた仔馬がいました。

後に授けられたその馬の名はシャフリヤール
ペルシャ語で「偉大な王」を意味します。

シャフリヤールがデビューしたのは10月、菊花賞当日の京都1800mの新馬戦。福永祐一騎手が手綱をとることになりました。
ここを1番人気で勝利すると次走は年明けを挟んでG3共同通信杯へ。

2番人気に支持されたこのレースで、後々まで続く因縁が生まれることになります。

共同通信杯の勝ち馬は後の皐月賞馬エフフォーリア

その後ダービーで激戦を演じることになる最大のライバルに勝ちを譲ることになりました。

続いて3月の毎日杯(G3)で勝利を収めると、皐月賞には出走せず日本ダービーにそのまま向かうことになりました。


日本ダービー レコード決着、ハナ差の激闘

さて、運命の日本ダービー。
1番人気には皐月賞を圧勝したエフフォーリアが推され、シャフリヤールは4番人気でレース本番を迎えました。

道中は中団、馬群の中を内側のエフフォーリアを見る位置でシャフリヤール。
最終直線に入ると横に広がった馬群にブロックされ、先にエフフォーリアが抜け出す展開に。
エフフォーリアが先頭に躍り出る中、なんとか馬群をこじ開けるとシャフリヤールは一気にエンジンを全開にします。

ゴール直前にエフフォーリアに並びかけるとそのまま並んでゴールイン。

長い写真判定の結果、わずかにシャフリヤールの先着で掲示板が灯りました。
その差わずか10
2分22秒5のダービーレコードで第88代ダービー馬に輝きました。

馬にとっては一生に一度の栄光、2021年日本ダービーは大接戦とレコード、福永祐一騎手による3度目のダービー制覇という歴史的な幕引きとなりました。


王は海を渡り、世界の玉座へ

次走の神戸新聞杯(G2)では一転して4着として菊花賞へは進まず、ジャパンカップ(G1)では道中内ラチ(コース内側の柵)に激突する不利を受けながらも3着に食い込みその能力の高さをアピール。
今後の飛躍を予期させながら3歳のレースを終えました。

陣営は4歳春の初戦にドバイで行われるG1・ドバイシーマクラシック(メイダン競馬場 芝 2410m)を選択。
レース自体は日本からの勝ち馬も出ているものの、日本でダービーを勝った馬で海外G1の勝ち馬は出ておらず、これを勝てば歴史的快挙という選択でした。

初の飛行機での長距離輸送への対策なのか、
一時は馬体重+49キロという報道も流れるなどしました。

その状態の変化にファンをヤキモキさせながらも
無事ドバイ入りし、調整は順調に進められました。

迎えた当日、鞍上には新たにクリスチャン・デムーロ騎手を迎え、日本国内では4番人気で本番に向かいます。

好スタートを決めると今までとは違いそのまま3番手の位置につける先行策を選択。
最終コーナーまで先頭すぐ後ろの好位置で進めると直線で抜け出し、最後は後続の追撃を振り切り見事1着でゴールしました。

これで新たな戦術の引き出しを見せると同時に
日本ダービー勝ち馬による初の海外G1勝利という偉業を達成。
また同日のレースでパンサラッサなど複数の日本馬が勝利を収め日本競馬界が大いに沸いた1日となりました。


その後のシャフリヤールの動向が注目される中、
今度は英国のプリンスオブウェールズステークス(G1へ挑戦することに。

秋には凱旋門賞出走も見据えているということで
シャフリヤールの欧州挑戦にファンの期待も高まりました。

レース当日は回避馬が続出し、5頭立ての少頭数のレースに。
ゲートを出ると道中は2番手を進みます。
ただレースが行われたアスコット競馬場は日本のコースに比べて非常にアップダウンが激しいコース。
最終直線まで好位を追走するも最後は急坂に体力を奪われる形でスタートで出遅れたロードノースにのみ先着の4着でレースを終えました。


秋の展望、王の帰還なるか

結局欧州遠征は振るわない結果になりましたが、日本のダービー馬として誇れる挑戦だったのではないでしょうか。

今秋の予定としては既に出走登録をしていた凱旋門賞は回避し、11月のジャパンカップを大目標とするとのこと。
あのダービーと同じ東京2400mのG1であり、最大のライバル・エフフォーリアとの再戦にも注目です。

大接戦のダービーを制したのち世界に挑戦し、
海外のトップホース達と堂々戦い抜いたシャフリヤール。
秋の凱旋勝利、ライバルとの決着と、
今後もその活躍から目が離せません!


次回、不治の病から復活しターフに舞い戻った三冠女王。取り急ぎ執筆します。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?