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戦術メモリについて
現在鹿島アントラーズでコーチの任に就いている坪井健太郎さんの本に戦術メモリという言葉が出てくる。
この言葉は、私がサッカーにおける様々なシチュエーションを解説する上で、頻出すると思われるので、事前に説明しておく。
まずは動画を観ていただきたい。
現バルセロナ監督のシャビが、現役時代にどの脳を使ってプレーをしていたかを研究した映像である。(多分、フジテレビで放送したものをYoutubeにアップロードしたと考えられる。)
動画で内容は理解していただけたと思うが、一応説明しておくと、
凡人のサッカープレイヤーは、
①認知(Perception)・・・周りの状況を確認
↓
②’前頭前野を使って、最適解を考える
↓
③プレー実行
となる。(そもそも凡人のレベルだと①すらまともにできない。)
考えるというプロセスを踏むため、プレーまでの実行が遅くなる。
一方、シャビは、
①認知
↓
②’’大脳基底核(記憶)から最適解を呼び出す
↓
③プレー実行
となるのだ。
記憶から呼び出すだけなので、プレーまでの実行が速い。
つまりは、②’’の「大脳基底核(記憶)に蓄積された最適解」を戦術メモリという。
私の場合、この仕組みをパソコンの命令実行プロセスに例えるとわかりやすかった。(動画では棋士(棋譜)の例えがあった。)
HDDから情報を読み込み、コンパイルしてから実行するよりも、
コンパイル済みのプログラムを読み込み速度の速いレジスタメモリから読み込みそのまま実行してしまう。
そのようなイメージである。
さて、言葉の説明は以上だが、
一点だけ紹介した動画のタイトルに文句がある。
それはアンチオシム式という部分だ。
多分、哲人オシムのサッカーは考えるサッカーだと形容されていたので、タイトルにアンチオシム式というキャッチーなフレーズを盛り込んだのだろうが、実際、オシムがやっていたことは選手たちに戦術メモリを蓄積させていたのであって、動画の内容と決して相反するものではない。
これは私の感想だが、オシムのトレーニングにはケーススタディの要素が多分にある。
実際の試合で起こり得る状況を作り、どのように解決していくべきか、オシムは原則(判断基準)やアイデアを自身の経験に基づく塩梅で選手たちに提示し、選手たちを学習させている。トレーニングでは、選手たちは前頭前野を多く使用することになるが、それを反復することでオシムは選手たちの戦術メモリに原則を刷り込ませていたのではないかと私は考えている。
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