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ヴェルディがひっそりとクラブ記録を更新しそうな件

※4月11日追記有り

色々としっちゃかめっちゃかとなり精神をズタボロにされた年末年始を経た分、開幕戦でなんとなく快勝してしまったがために「なんか、もしかして、ちょっと行ける…?」「少なくとも…降格はあまり心配しなくても良さ…げ…?」などと夢見たヴェルディサポーターも少なからずいるのことでしょう。
しかしそこは我らが東京ヴェルディ。第2節以降はしっかりと”らしさ”を披露し、サポーターの心をかき乱してくれております。

そのような中でしばしば話題に上るのが、昨今のヴェルディの逆転勝利の少なさです。
本記事を書いている2021年3月26日時点で、ヴェルディが最後に逆転勝利を果たしたのは2019年7月23日に開催されたJ2第23節愛媛FC戦のこと。実に612日間に渡って逆転勝利をしておりません。そのため2020年半ば頃からは対戦相手に先制される度に「逆転チャレンジキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」のようにサポーターたちが(自虐的に)盛り上がる様子がそこここで見られました。

そんな日々を過ごしている内に次第に気になり始めたのが、
「具体的に何試合逆転勝利がないのか」
「現在の逆転勝利の少なさはクラブ史的にはどの程度の状況にあるのか」
ということです。

私は2012年頃からヴェルディを見始めているのですが、確かに当初から逆転勝利が多いチームではないという認識でした。とはいえここまで逆転から遠ざかったのは記憶もありません。ただ、ググってみても逆転チャレンジ失敗記録などは出てきませんでした。

そこでみんな大好き「Jリーグデータサイト」を利用し、ヴェルディの歴史を遡り「逆転チャレンジ」に関する記録を根性マイニングで調べてみました。
わかったのは、どうやら現在のヴェルディが歴史的な状況にいるっぽいことがわかってきました。

逆転チャレンジとは

まずは「逆転チャレンジ」に該当するのはどのような試合なのかを定義します。
今回は、リーグ戦における以下のような試合が「逆転チャレンジ発生試合」と定義しています(カップ戦やプレーオフ等については対象外としています)。

・相手チームが先制する
・ヴェルディが先制した後に逆転され、相手にリードを許す

つまり、わずかな時間でも対戦相手にリードが生じた場合は「逆転チャレンジ」が発生したものとしています。このような試合において、勝利した試合は「チャレンジ成功」、敗戦、あるいは引き分けでも「チャレンジ失敗」としています。
便宜上このように線引きをしているので、例えば0-0のまま後半アディショナルタイムに先制されて敗れるなど、「逆転できなかった」という印象は薄い試合であっても、逆転チャレンジ失敗と定義しています。

一方で、以下のような試合は対象外としています。

・ヴェルディが先制し、相手にリードを許すことなく(※)勝利
※一度同点にされても、リードを許していない限りチャレンジは発生していないものとします。

・スコアレスドロー
・ヴェルディが先制した後、追いつかれて引き分けに終わる

さらにJリーグでは、1993年の開幕から1998年までPK戦が、2002年まで延長戦とサドンデス(Vゴール)方式が導入されていましたが、いずれも「90分以内に相手にリードを許した時間」があれば、逆転チャレンジ発生とみなしています。
整理すると、以下のような形で記録を見ています。

①90分以内に対戦相手にリードを許す機会があり、その後ヴェルディが同点に追い付いてPK戦で勝利=逆転チャレンジが発生&成功
②90分以内に対戦相手にリードを許す機会があり、その後ヴェルディが同点に追い付いてPK戦で敗戦=逆転チャレンジが発生&失敗
③90分以内に対戦相手にリードを許す機会はなくPK戦にもつれ込む=勝敗に関わらず逆転チャレンジは発生せず
④90分以内に対戦相手にリードを許す機会があり、その後ヴェルディが同点に追い付いて延長戦で勝利=逆転チャレンジが発生&成功
⑤90分以内に対戦相手にリードを許す機会はなく延長戦にもつれ込む=勝敗に関わらず逆転チャレンジは発生せず

現在のヴェルディの逆転チャレンジ状況

では現在のヴェルディの逆転チャレンジ状況についてです。
冒頭に記載したように、2021年3月26日時点で612日間に渡って逆転勝利から遠ざかっています。最後に逆転勝利したのは2019年7月23日のJ2第23節愛媛FC戦。その前節に2019年からヴェルディの監督に就任したギャリー・ジョン・ホワイト氏が解任されことによって急遽就任し、現在もチームを率いる永井秀樹監督の初陣となった試合です。前半に2点を奪われたものの後半一挙に3点を挙げて逆転勝利を遂げ、「もしかしたらここから行けるかも!?」と思わせてくれた試合でした。
(思わせただけでしたが)

この後、2019年8月4日の第26節京都サンガF.C.戦から2021年3月20日のJ2第4節ツエーゲン金沢戦に至るまで、実に30回もの逆転チャレンジが発生しましたが、見事にそのすべてに失敗しています。

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逆転チャレンジのデータから見えた当然の答え

ではこの30回連続逆転チャレンジ失敗はヴェルディの歴史の中でどのような位置づけにあるのでしょうか。
1993年のJリーグ開幕戦から2021年第4節までのデータを調べてみたところ、以下のようなことがわかりました。
まずは全体像と、良いところを見てみましょう。

●累計逆転チャレンジ発生回数
554回

●逆転チャレンジ成功回数
79回(成功率約14.2%)

●逆転チャレンジ最多連続成功
6試合(1993年JリーグNICOSシリーズ第3、4、6、12、14、18節)

●逆転チャレンジ決勝得点者ランキング(上位5選手)
1位:三浦知良(6ゴール)
2位:ビスマルク(5ゴール)
3位:平本一樹(4ゴール)
4位:アラン・ピニェイロ(3ゴール)
    永井秀樹(3ゴール)


ヴェルディはこれまで1079試合のリーグ戦に臨んでいますので、おおよそ2試合に1回ペースで逆転チャレンジが発生していることになります。
そのうちチャレンジに成功したのは79回です。
今回はヴェルディの記録を調べるだけでかなり骨が折れたので他チームについてはほぼ調べていませんが、印象的にはなかなか少ないように思えます。

逆転チャレンジに連続で成功した回数が最も多いのはJリーグ開幕初年度の1993年NICOSシリーズ(2ndステージ)でのことです。
これはヴェルディが初めてステージ優勝をした年であり、この他にも13回の逆転チャレンジが発生し、計7回逆転に成功しています。

なお、直近で最もヴェルディが強かったであろうロティーナ監督時代(2017年〜2018年)においては、39回の逆転チャレンジが発生して8回成功しています。当時の粘り強さを知っているサポーターからすると少なく感じるかもしれませんが、先制され、あるいは先制後に追いつかれてからも引き分けに持ち込んだ回数が9回ありますので、敗戦回数自体はさほど多くはありません。

当然と言えば当然ですが、強いチームほど逆転チャレンジの成功率が高くなり、同時に敗戦の可能性も低くなるのですね。

また、逆転チャレンジにおいて決勝ゴールを決めた選手も見てみました。
見紛うことなきレジェンドが並んでいますが、逆転チャレンジに失敗続きの現監督がランクインしているのは不思議で面白いポイントとも言えますね。

逆転チャレンジ失敗のクラブワースト記録は?

さて、触れるのが嫌で脇道にそれてきましたが、そろそろ本題である「逆転チャレンジ失敗記録」について見てみましょう。
上述のように現在ヴェルディは30回連続で逆転チャレンジに失敗していますが、これはクラブ史上どのような位置づけなのかというと、歴代ワースト2位の記録でした。

栄えある1位は、2004年途中から2005年シーズン一杯までのこと。実に31試合に渡って逆転チャレンジに失敗し続けました。2005年シーズン最終戦の柏レイソル戦で見事31回目の逆転チャレンジ失敗を記録し、同時にクラブ初のJ2降格を経験します。ある意味とても美しいフィニッシュですね。

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この頃はまだヴェルディサポーターではなかったので、記録上でしか当時のことを窺い知ることはできないのですが、31回の逆転チャレンジの中で5失点以上の試合が6度あることからも、当時の崩壊っぷりが想像できてしまい背筋が凍る思いになりす。
ちなみに、J2降格初年度の2006年シーズンの開幕戦で徳島ヴォルティスに逆転勝利を果たして連続記録を止めております。

クラブ記録を更新してしまうのか

ということで、現在30回連続逆転チャレンジ失敗中のヴェルディは、もう一度逆転チャレンジに失敗すると2004年〜2005年に記録した31回連続逆転チャレンジ失敗というクラブ記録に並び、さらにもう一度失敗すると記録更新となるようです。

本日(2021年3月27日)の対戦相手は、第4節終了時点でJ2首位を走るアルビレックス新潟。ヴェルディにとってはこれまでリーグ戦で敗れたことがないお得意様とも言える相手ですが、現時点での調子はまさに真逆。アルビレックスが対ヴェルディの未勝利記録に終止符を打つのか、それともヴェルディが逆転チャレンジ失敗記録を止めて巻き返しのきっかけを得るのかでしょうか。

「クラブ記録を更新したらしたでちょっと美味しいな〜」と思う部分がなくはありませんが、どのような結果になるにしろ、記録の上でも楽しみな試合になりそうです(まあ、ヴェルディ的には別に逆転勝利じゃなくてもいいわけですが)。

最後に。
本記事のメインビジュアルに使用しているのは2015年4月11日に開催されたJ2第7節FC岐阜戦の試合後のもの。
ヴェルディサポーターにとっては伝説とも言える、残り10分で3点差をひっくり返した試合時の写真です。
私はあの試合を現地で見てしまったがために、どれだけ劣勢でも逆転を信じざるを得ない身体になってしまったのです。ヴェルディは責任とってよね。


※なお、根性マイニングすなわち手作業での集計になっていますので、間違えがあったらごめんなさい。
というか、たぶん色々間違えている気がする。

※4月11日追記
その後東京ヴェルディは、2021年3月27日のJ2第5節のアルビレックス新潟戦で、詳細は覚えていませんが逆転チャレンジに失敗し、逆転チャレンジ連続失敗記録をクラブワーストタイの31回に伸ばしました。
「記録更新と共に現体制の終焉か…?」と思わせたものの、4月4日第6節の水戸ホーリーホック戦で勝利(逆転チャレンジは未発生)し、さらに翌週の第7節レノファ山口FC戦でついに逆転チャレンジに成功。逆転チャレンジ連続失敗記録を31で止めてくれました。
2021年はたくさん逆転勝利できるといいですね!


おまけ

■ヴェルディの逆転チャレンジお得意様は?
ヴェルディが最も逆転勝利を決めているチームを調べたところ、以下の2チームには、それぞれ7度ずつ逆転勝利をあげているようでした。
・ジェフユナイテッド千葉(市原時代含む)
・名古屋グランパス(グランパスエイト時代含む)
やはり #ジェフだけが癒やし の言葉に偽りなしなのかもしれません。


■Jリーグ最多の逆転チャレンジ失敗記録は?
はじめ、「ヴェルディがひっそりとJリーグ記録を更新しそうな件」というタイトルで書いた方が受けそうだったので、リーグの逆転チャレンジ失敗記録を調べようとしたのですが、ググっても出てこないし全チームのチャレンジ失敗記録を調べるのはあまりにも大変なので、自クラブの歴史のみ調べることでお茶を濁しました。

ただ、リーグの連続未勝利記録保持クラブの、その期間近辺の逆転チャレンジ失敗記録だけでも調べてみようかなと思いたち、調べてみました。
対象となったのは現在J2に所属するギラヴァンツ北九州。同クラブはJリーグ昇格初年度の2010年第4節から2011年の第9節まで実に35戦未勝利という記録を持っています。
ではこの近辺でギラヴァンツの逆転チャレンジはどうだっかというと、この表の通りでした。

北九州

どどんと33試合連続逆転チャレンジ失敗。
実はギラヴァンツに昇格後初にして2010年唯一の勝利を提供したのは我らがヴェルディでした。それから1年ほどが経ち、そのヴェルディによって33試合目の逆転チャレンジ失敗突き付けられ、しかも10年の時を経てこの記録にヴェルディが迫ろうとしているのは、とても不思議なめぐり合わせですね。

この33試合連続逆転チャレンジ失敗という数字がJリーグ記録なのかはわかりませんが、それなりに上位には位置する記録ではありそうです。ヴェルディもこの記録に着々と近づいています。
繰り返しになりますが、いい加減逆転チャレンジ失敗は避けたいので、そろそろ頼む…!という思いを新たにして、この記事を終わりにしたいと思います。

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