ありがとう、エヴァンゲリオン

『シン・エヴァンゲリオン劇場版』

3月9日に観てきました。以下感想。考察は色んな方がやっているので充分楽しめるので、私がどんな気持ちでこの作品を観たのか、せっかくなので文章に残します。ネタバレありますので、観賞後に読んで頂けたら幸いです。




全編通して私が一番嬉しかったのは、ワクワクしたということです。

「いい作品なんだからそんなの決まってるだろ」と疑問を抱く方、勿論大勢いらっしゃると思います。
だけれども、長くアニメや創作物を観ていると、段々と心躍るような作品って少なくなってしまうんじゃないかと。慣れもあるし、大人になるにつれてワクワクした気持ちが摩耗されていくような。理解もできるし感動もできるけれど、全身に電気が流れるような、衝撃が無くなっていくのではないかと、歳を重ねる毎に思うのです。
ましてや長年見続けてきたエヴァの最後となれば、どんな結末でも受け入れる覚悟こそ出来ていたものの、感情がクタクタになっていたらどうしよう、何も感じられずに終わってしまったらどうしようと、作品ではなく自分自身に怯えていました。
そんな不安に怯えつつ、劇場に足を運びました。私はまだエヴァに目を輝かせて、ワクワク出来るか?と。

それが蓋を開けてみたら、見事でしたよ。やられました。
第三村の存在で後頭部を殴られたような衝撃を受け目をかっ開き、綾波の涙で共に涙ぐみ、目を腫らしたシンジに「いけぇ!やったれシンジィ!」とエールを送り、どこかで聴き覚えのあるBGMが流れた艦隊戦では笑いながら泣いていました(上映中は何か忘れていましたが、このシーンにぶつけるには余りにも意表を突いたBGMだったので、心を鷲掴みにされました。)。マイナス宇宙突入手前のミサトさんとシンジの対話では、マスクがもはやウェットティッシュになりました。ユーミンが流れた時はもはやユーミンだということに意識は向きません。頭の中が「ああ、これは旧劇含めたすべての総決算なんだ」という感想に支配されて、静かに唇を噛み締めていました。

名シーンが数え切れないほどあります。語り切れません。
なによりも私が今回嬉しかったのは、冒頭に書いた通り、ワクワクできるということでした。
まだ小学生だった頃、母親が深夜に再放送していたTVシリーズをVHSに録画して観ていました。EDの回る綾波レイと流れるFly me to the moonが強く記憶に残り、しばらくしてから後追いで観た覚えがあります。
あの時代に感じていた、体が沸騰するような、心臓の奥が震えるような情動を持てたことが、何よりも嬉しかったんです。
他の作品でもそういうのは時たまあります。けど大切なのは、自分を形作る要素として余りにも大きい『エヴァンゲリオン』という作品の最後で、その感覚が自分に生まれたことに、何よりも安心したんです。そしてその感覚に導いてくれたことに、何よりも感謝しています。

恐らく今後も色んな作品を観ていきます。
しかし、ここまで人生を共にしたのは『エヴァンゲリオン』だけです。
この作品の最後を、かつての私と同じ心の鮮度で楽しめたことに、改めてお礼を。
ありがとう、庵野監督。
ありがとう、すべてのキャスト、スタッフの方々。
そして世のオタク達。劇場に足を運んで、あなた達のパワーを久しぶりに感じられました。好きなもので成り立つ空間は、時代が変わっても楽しく、愛おしい空間ですね。皆、ありがとう。

私はエヴァが終わっても、ワクワクを抱いたまま生きていけそうです。









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