2023.3.27(月)

また
夢を見た

場面は僕が家の隅で泣いている所から始まった
僕は積み上げられた段ボールの後ろに隠れていた
家中に鳴り響く呼び出し音
来客が来た

母親が
あ先生が来た と言いながら
玄関に向かって扉を開ける
挨拶をしながら人が上がってくる
あれ?〇〇ちゃんは? と言いながら
リビングに入ってくる先生
僕は震えていた
怖くて家を飛び出した
追いかけてくる父親と母親
そして先生達
どこまで追いかけてくるんだ と
今死ねば逃げなくても良いや と
思った

4階ぐらいかな
僕は飛び降りた

上手く着地は出来なかった
全身が衝撃でビリビリして立てなかった
僕の周りに集まってくる追いかけて来た鬼達
僕はとにかく逃げなきゃの一心で
上手く動かない身体を起こして走った
走りながら誰かに助けを求めよう と思って
彼に電話をかけた
もしもし どうしたの 電話なんて珍しいじゃん と言う彼
僕は泣きながら
お願い助けて としか言いようが無かった
え 何が起こってるの の質問に対して
追いかけられてる事と
飛び降りたのに生き延びて身体が上手く動かない事
でも逃げないと終わる事を伝えた

数秒の沈黙
そして
ごめん助けられない と一言告げられた
え なんで 今何してるの と僕は思わず聞いてしまった
何故ならば楽しそうな声が後ろから聞こえていたから
女のキャハキャハ笑っている声が聞こえていたから
普通に遊んでた と正直に答える彼
浮気って事? と訊く僕
そういう事になるね と彼はあっさり認めた
あーそっか 彼は僕にもう興味無いんだ と思いながら
僕は教会のてっぺんにある十字架の隣に立っていた

僕は現実でした質問を繰り返す

ねぇ 死んでも良い?

良いよ と冷たい声
じゃあね と一言だけ告げて
通話は切らずに
僕は死のうと決心した

さっき飛び降りた高さよりももっと高い
普通のマンション6階分ぐらいあっただろうか
僕は飛び降りた

今度は痛くなかった

何故ならば救急隊の人がクッションを用意していたから
なんだ また死ねなかったのか と絶望した

数日後だろうか
場面が変わる

校外学習なのか歴史博物館に居た
与えられた課題をこなす
歴史上の人物のマネキンがひたすら出てくるだけの
よく分からないアトラクションに乗ったり
穴埋め問題を解いたり楽しいとは言えない時間が進む

急に聞き覚えのある声が耳の中に入ってきた
僕はその声に引っ張られるかのように
少しずつ近づいていった

姿が見えた
やっぱり彼だった
僕に3年間も片想いしてくれた人
2度と会いたくないと思ってたのに 何でこんな所で会っちゃうのかな と思いながら
彼に気付かれるのを待った

でも気付いて貰えなかった

彼の記憶から僕は居なくなってしまったのか と諦めた

また数日後
場面が変わる

母親のお使いでスーパーに買い物に来た
薬剤師の方が困っている様子で棚を見ていた
何回見ても困ってそうだったから
どうしたんですか? と声を掛けた
いやーちょっと腰が痛くて棚卸ししなきゃなんだけどね と小声で話してくれた
薬剤師さんは60歳ぐらいの女性で
なんでこんな高齢の方にやらせるかなー と思いながら
手伝いましょうか? と声を出した
当たり障りのない世間話をしながら作業を進めた

途中で 薬剤師さん と声を掛けられた
勿論僕にじゃない
薬剤師さんにだ
でも聞き覚えのある声だった
最初は違うだろと思っていたが気になり振り向くと
また彼がいた
流石に目が合って
あ と言われた
覚えててくれたのか と僕は嬉しかった
あのさ誕生日おめでとう あとごめんね とだけ言われ
彼は何処かに消えていった

作業を続ける
後は大丈夫よ ありがとう と薬剤師さんに言われ
僕はその場を去った

暫く買い物を続けてレジの列に並んでいると
先程の薬剤師さんが僕を目掛けて走ってきた
やっぱりお礼をしたくてね と言いながら
カートの中に視線をやる薬剤師さん
僕のカートの中には母親に頼まれた物と
自分で買おうと思っていた物が別々に入っていた
こんなに買うのかい 半分払うよ と言ってくれた
確かに払って貰えるぐらいの労働をしたからな と思い
ご好意に甘える事にした
値段が安い方を と思い
僕は自分で買おうと思っていた方をお願いした
会計を済ませお互いに感謝を伝えスーパーを出た

僕はそのままある保育園に向かった
近くの保育園に僕が年少の時にお世話になった先生が
最近赴任したらしい
自分で買おうと思っていた分は
挨拶をしに行こうと思って買った分だ
保育園に着きピンポンを押す

バタバタしながら出てきたのは
僕が知っているあのお世話になっていた先生だった
大きくなったね と当たり前の言葉を贈る先生
先生は変わりませんね と明らかに歳を重ねた先生にお世辞を言う僕
社交辞令の会話を続け
買ったものを渡し
また来ますね という嘘をつく

夢の記憶はここで途切れた