「成熟スイッチ」久しぶりの林真理子氏

10代から20代にかけて、綺麗で仕事もできる、都会の女になりたかった私。これは完全にananの巻末の林真理子さんのエッセイの影響でした。
初めて読んだのは高校生の時、田舎の本屋さんで立ち読みした時だったと思います。小説家という職業、華やかな交友関係、お金を掛けたオシャレ、辛口なトーク、なんか憧れたんですよね~。都会的で、かっこいいなぁと。
美人編集者が冬でもストッキングを穿かないということが書いてあって、「そうなんだ!」と素直に素足でハイヒールを履いていたこともありました(汗)。
その当時、ドラマ化された漫画「Real Clothes」でも似たような表現があってデパートで働く主人公の女の子が、婦人服統括部長に「タイツを穿かないよに!」と怒られていたんですよね~。
2005年ぐらいだったと思うのだけど、皆さん、タイツ穿いてました?

そんな私も30代あたりから、私には縁遠い世界だということにうっすらと気づき(←遅い)、書いてあることに感銘を受けることも減り、少しずつ興味が薄れていきました。

あれから約十数年。
ネットニュースに出ていた記事から林真理子氏が書いた「成熟スイッチ」という本に出会いました。

この一年、更年期障害の始まりなのか、気が滅入ることが多く、
これまでの自分の言動を恥じたり、至らなさに落ち込むことがあり
今の私には「成熟」という言葉が、すっと心の奥に届いてきたのです。
ああ、私もういい加減、成熟した大人になりたい。という感じ。

読み終えた感想は、林真理子さん、努力の人でした。
本にはいくつかの観点から成熟に向けてのアドバイスがありますが
そのひとつが林さん自身がどのようにキワモノ扱いされていた時期から
大物作家になっていったのか、その軌跡が書かれている章があります。
anannから入ったせいかキラキラギラギラした部分しか目に入らず、勝手に疎遠になってしまったけど、読むとめちゃくちゃ努力の人でした。
(anannにはキラキラギラギラした部分が求められていて、それに応じていたのかもしれませんね。)

「若い女性向けの小説やユーモア溢れるエッセイに定評のある」とワンパターンに決めつけられていたことに飽き飽きしていた林さん。
編集者の提案で歴史小説にチャレンジして芸風を広げ、さらに渡辺淳一先生のアドバイスで男女の情痴を書こうと「不機嫌な果実」を書きあげ代表作となります。
その後も「手を替え品を替え」、いろんなジャンルの小説を書いてきたそう。林さんは「変化球を投げ続けても、たいして評価もされず、悔しかった時期もあった」そうです。
この章で私の心に残った文章は
・背伸びなくして、成長なし。
・自分がやりたいと思うことが見つかったなら、あまり面倒なことを考えず
経験を積んでいくことをおすすめします。
・そのうち丈夫な枝が何本か生えてきて、幹もいっそう太く立派になっていくことでしょう。

会社員を辞めて6年、自宅でオンラインショッピングを細々と始めて4年。
オンラインショッピングは家事、育児に支障の出ない範囲でしかやっておらず、最近の私は会社員時代のように「努力」をしていなかったなと
ハッとさせられました。

それと同時に、辛くて大変な時があっても、努力をし続けて何か仕事での成果を得たときの達成感、あれが好きだったことも思い出しました。

子ども達はまだまだ手が掛かるし、掛けてあげたい時期。
でもそれも、きっと終わりが来ます。
いつかまた、自分の時間が戻ってくる時に備えて
今できる努力を何かしらしておこう。
その努力は私を成長させ、成熟させる「何か」になると思ったのです。


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