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2024-03-05 ラ・ソヴァージュ

●LEAF 0754 ラ・ソヴァージュ

カンブリアンゲーム(ニューイヤーカンブリアン2024)

この洒落た八角形のブックレットは、1968年(昭43)10月11-12日に鶴岡市体育館で開催された「NHK鶴岡放送劇団 公演 野性の女」で配布されたプログラムです。

1968年というのは、私が大学4年の時。大学が学生運動で休校状態だったこともあって、次の予定がある11月までは鶴岡に滞在していた。そんな事情から、この演劇の公演をたまたま見ることができたようだ。チケットが招待券なところを見ると、誰かから頂戴したものなのですが、入手した経緯は覚えていない。

NHK鶴岡放送劇団は、私が大学に入学した昭和40年から芸術祭参加の定期公演をやっていたようで、この年の公演は第4回。それまでの3回の公演記録は、このプログラムに記載がある。

第1回 1965年(昭40)閑日月
第2回 1966年(昭41)雪夜の客
第3回 1967年(昭42)アンネの日記

この年に演じられたのは、「野性の女」(La Sauverge)。フランスの劇作家ジャン・アヌイの作品だ。演劇にはほとんだ興味がなかった私は、同じ年代の若い俳優達が演じるこの演劇にかなりの衝撃を受けた。

酒場でクラリネットを吹くテレーズは才能ある裕福な男フローランに出会い恋をする。しかし、テレーズは陽のあたる場所で生きる彼に一歩踏み出せずにいる。
幸福になる事を恐れ、彼の前で自分は醜い女だと言い放つ。
そして二人の恋を邪魔しようとするゴスタが現れ……。


「野性の女」を日本で最初に公演したのは、1955年の劇団四季で、この時の音楽は武満徹が担当したという。

武満徹
Toru Takemitsu
1930.10.8 – 1996.2.20
1930年、東京に生まれる。おもに独学で作曲を学んだ。作品は、コンサート・ピースから電子音楽、映画音楽、舞台音楽、ポップ・ソングまで多岐にわたる。「タケミツ・トーン」と呼ばれた独特の響きは、世界中の演奏家、音楽ファンを魅了した。また1973年から1992年までおこなわれた「Music Today」の音楽監督や、1986年に始まった「サントリーホール国際作曲委嘱シリーズ」を監修するなど、常に同時代の音楽に高い関心をもち、多くの優れた作曲家を日本に紹介した。名エッセイストとしても知られ、『音、沈黙と測りあえるほどに』などの他多数の著書がある。

「野性の女」は翌年の1969年に劇団四季が再演、この時の音楽も初演と同じ武満徹の音楽(演劇の内容からピアノ音楽)が使われたようです。

劇団四季の「ラ・ソヴァージュ(野生の女)」は、2000年にも再演されています。


NHK鶴岡放送劇団の1968年(昭43)の公演では、コーラスグループ「クロージャ―ス」のメンバーだった小林康一さんが音楽を担当していて、彼はこの時に役者もやっている。とにかく多彩な方です。そして、主役のテレーズ役は、劇団の看板女優だった佐々木由美さん。

私はこの公演を見て、鶴岡でも劇団四季のような演劇をやっていることに驚嘆、鶴岡に戻った翌年からはスタッフとして加わるようになり、主に音楽を担当することになったのでした。

1960年代は各地のNHKのローカル局が、地方の文化の発信基地だった。鶴岡にも、「NHK鶴岡放送劇団」や「NHK鶴岡児童合唱団」というNHKを冠にした芸術団体があり、地方局が独自に制作する番組に出演していました。

その後、NHKの地方局の統合が進み「NHK鶴岡放送局」は消滅しましたが、「NHK文化センター」という名前で地方の芸術文化を支えていました。私もリコーダーコースの講師を引き受けたことがあります。

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