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2024-03-19 段物

●LEAF 0879 段物

カンブリアンゲーム(ニューイヤーカンブリアン2024)

六段の調は段物と呼ばれる箏曲のひとつで、段物または調べ物の中の代表曲。近世箏曲の祖である八橋検校により作曲されたと伝えられている。箏の調弦平調子。(後に雲井調子の替え手も出来た)各段が52拍子(104拍・初段のみ54拍子)で六段の構成となっている。 箏組歌や大多数の地歌曲と異なり、歌を伴わない純器楽曲である。

六段の調は、八橋検校の作曲と伝えられているのですが、成立には謎が多く、作者不明ということになっています。その主な謎としては、通常、筝は歌を伴いますが、この「六段」は純粋な器楽曲であることがあげられます。グレゴリオ聖歌「クレド」と本曲と音調が似ているため、「クレド」を元に作曲されたのではないかという説があります。また、皆川達夫さんは、「六段」という6つの部分からの構成は16世紀スペインで始まった変奏曲の形式「ディフェレンシアス」から来たと考えられています。形式がよく似ており、以前より皆川さんは「六段」は西洋の影響を受けていた、と指摘しています。


箏曲六段の 「六段」という6つの部分からの構成は、16世紀スペインで始まった変奏曲の形式「ディフェレンシアス」から来たのではないか、この仮説には感動した。この話にインスパイアされて2011年に制作したアルバムが「二面の箏によるディフェレンシアス」です。

「二面の箏によるディフェレンシアス」は、二人の箏の演奏者のための変奏曲集です。第一曲は「平調子」、第二曲は「古今調子」に調弦した箏で演奏するようになっています。
各曲は、一段から六段までの六つの部分に分かれています。どれも32小節で構成されていてどの段も同じメロディー(音の高さの並び)になっているのですが、リズムパターン(音の長さの並び)が各々異なっています。別の言い方をすると、二段目から六段目は一段目の変奏になっています。パート(箏1、箏2)毎にどの段も同じメロディーなのに、各段のリズムパターンを変えることで合奏した場合に絶妙な音の組み合わせが生まれます。
この曲集は、教育用オブジェクト指向プログラミング言語『ドリトル』で書かれたプログラムにより自動作曲されました。全ての曲は、ある特定の数により計算される乱数の種を元にして生成されています。日本の伝統音楽の調べを、革新のコンピューターテクノロジーが紡ぎ出します。

ドリトルLilypondのソースコードを作成、Lilypondで録音用のMIDIデータと楽譜(pdf)を生成しています。

楽譜も試行錯誤してみました。たどり着いたのが歌詞として糸番号を入れること。

「二面の箏によるディフェレンシアス」の第一曲 平調子をBGMに使ったスライドショーを作ったことがあります。写真は2011年に京都府木津川市にある寺院「浄瑠璃寺」で撮影したものです。

演奏:筝本手 ドリトル・カメ太 筝替手 ドリトル・カメ子


2022年に開催されたアンサンブル・チコーニアの第2回公演で、クレド4番と六段の調の2段目までを同時に演奏するという試みがありました。

アンサンブルチコーニア

第一部 ルネッサンス残照 安土桃山~江戸初期 語り原稿


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