2024-03-11 四弦のリラ
●LEAF 0806 四弦のリラ
カンブリアンゲーム(ニューイヤーカンブリアン2024)
昭和49年(1974年)、NHK鶴岡放送劇団の定期公演で「祝典喜劇 ポセイドン仮面祭」というのが上演された。今日の画像は、この公演で使われた小道具のリラです。詩人が掻き鳴らした。
辻邦生により書かれた「祝典喜劇ポセイドン仮面祭」は、1973年に新潮社から刊行され、翌、1974年1月に劇団四季により上演された。この時の演出は浅利慶太で、音楽は武満徹が書いた。
昭和49年といえば、勤務地も山形になり、翌年稼動させたオンラインシステムの設計をやっていた頃で、音楽制作に割ける時間は無かった(公演が終わると、プログラムの作成のために東京に行くことになる)と思うんだけど、私は、この公演で使うための音楽を引受たのだった。ちょっと古風なメロディの曲を作り、リコーダーや打楽器を全部自分で演奏して、オープンリールに多重録音した。まー、よくやったもんだ。制作に使える時間は深夜のみ。全シーンの音楽が完成したのは、公演の前日だった。夜中に山形まで車で迎えにきてもらい、録音テープとオープンリールデッキを積んで鶴岡に向かった。なんとかリハーサルには間に合ったんだけど、この時に飲んだコーヒーの味は今でも忘れられない。疲れた時の甘い珈琲はことのほか美味い。
当時、劇団四季の公演のための音楽を、武満徹が書いたことは知らなかった(と思う)し、武満徹の曲がどんな感じの音楽だったのかは今もわからない。おもえば、私にとっては、かなり無謀なチャレンジだったような気もする。
そもそも「NHK鶴岡放送劇団」というのが過激だった。目標は劇団四季(を超える)だったんだと思うけど、劇団四季がやったものと同じものを同じ年に上演するなんていうところに、そのチャレンジ精神が表れている。
そんなことで、この「NHK鶴岡放送劇団」には、当地の過激な若者が集結していた。すべてが手作りだったから、大道具から小道具、音楽まで自分たちで作っていたのだ。
小道具のリラ(当然リラのような音は出せない)は、キャストやスタッフに名を連ねる河田くんが作ったものだ。私が、リラというのは、こんな感じの楽器だと説明したら、本当に作ってしまったのには驚いた。彼は、どんな大道具でも製作してみせたのだ。
実験音楽のアルバムを制作していた10年ほど前、演劇の音楽を作っていた頃を思い出し、古楽風の舞曲を作ってみたくなり試作した音源があります。演奏には「リコーダー」「プサルテリウム」「フィドル」など、中世ヨーロッパの民族音楽のような音色の楽器(SoundFont)を使いました。
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