私の勝手な思い込み

中学校に入学した春のこと。
上履きに自分の苗字を書くべきところ、私は、上履きに学校名を書いてしまった。
例えば、学校名が「ノート中学」だとしたら、上履きのつま先とかかと部分に「ノート」と書いたのだ。


学用品の準備の際、上履きの名前の書き方例が書いてあるプリントを見た。そのプリントには、上履きのイラストに「ニチテン」と書いてあったのだ。
確かに私も、「なぜ自分の名前ではなく、学校名を書くのだろう?」と疑問に思った。母にもプリントを確認してもらったところ、母も不思議がりつつ「きっと、いつでも学校の誇りを忘れないように足元に書いておくのよ」とそれらしい返答。中学受験で念願の学校に合格できた経緯もあったので、私は「なるほど」と納得してしまったのだった。

私が間違いに気づいたのは入学式の日のこと。
周囲の同級生の足元を見て、一瞬で自分の過ちに気がついた。
新しい友人たちは心優しく、私のつま先の異変を指摘しませんでしたが、私は恥ずかしくて恥ずかしくて、入学早々、消えてしまいたい気分だった。
帰宅後すぐ母に報告し、修正ペンなどを駆使してなんとか「ノート」を削除。とはいえ、ピカピカの上履きのつま先とかかとが、ゴニョゴニョと修正されているのが一目瞭然となった。


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