【インタビュー】ピッグ・デストロイヤーのギタリスト、スコット・ハルが語る”豚殺しの道” 2012

初出は2012年、ヤマハサイトです。

PIG DESTROYERねたは拙ブログでも未だアクセスがちょびちょびあるのですが、やはり最高ですね。

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“エクストリーム=極限”をキーワードに、メタルやハードコアなどのジャンルを超えて世界からエクストリームなロック・バンドが集ってきたライヴ企画シリーズExtreme The Dojo。2012年8月に行われた記念すべきVol.30のラインアップはナパーム・デス、ナザム、ピッグ・デストロイヤーという、第30回に相応しい豪華なものとなった。

ナパーム・デスはベーシストのシェイン・エンブリーが急病で欠場、急遽代役を立ててのステージとなったが、エクストリームの帝王ならではの凄まじいステージを披露。ナザムは2004年のスマトラ沖地震でヴォーカリストのミエツコ・タラーツィクを失い、今回のツアーを最後に解散することを発表、有終の美を飾るライヴを見せつけた。そんな彼らと堂々と渡り合い、凄まじい密度と緊張感のグラインドコア・サウンドで観衆を蹂躙したのがピッグ・デストロイヤーだった。

1997年に結成、これが3度目の来日となるピッグ・デストロイヤーの魅力は、過剰なほどの高濃縮ヘヴィ・グラインド・サウンドだ。超轟音で襲いくるスコット・ハルのギターは殺気の塊であり、彼が7弦あるいは8弦ギターを弾いていることは、聴いているだけでは気付かない。だが、それをあえてやることに意味があるのだ。同様に、J.R.ヘイズの歌詞は文学作品と呼べる奥行きのあるものだが、デス・ヴォイスで絶叫されるため、CDブックレットの歌詞カードを読まない限り、その内容を聴きとることが出来ない。しかし、それでもやるのが彼らなのである。

「俺たちは小さなスペースにあらゆる物を詰め込む傾向がある。そうすることで窒息しそうな閉塞感をもたらすことが出来る」と、スコット・ハルは語る。当初はチューニングを下げずにギターで低音を出すために、低音弦を加えた7弦ギターを弾くようになったが、 結果として「精神的に追い詰められた状態」を生み出す効果を出している。それはまた、J.R.のヴォーカルについても言えることだ。

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