【インタビュー】アラン・トゥーサン 2013/ニューオリンズ音楽史の生き証人が語る

2013年9月から10月にかけて、ニューオリンズ音楽の2大巨頭が相次いで来日公演を行った。ドクター・ジョンへのインタビューは本サイトでも掲載したが、10月下旬にビルボードライブ東京・大阪に出演したのが、アラン・トゥーサンだ。

グレン・キャンベルが「サザン・ナイツ」、リー・ドーシーが「ワーキング・イン・ザ・コールマイン」をヒットさせるなど、さまざまなアーティストへの楽曲提供でも知られるアランだが、自らのヴォーカルとピアノによるヴァージョンもそれに劣らぬ、いや、それ以上に魅力的なものだ。現在75歳というが、その歌声はベテランゆえの豊潤さ、そしてまったく年齢を感じさせないツヤとハリを兼ね備えていた。

それだけのコンディションを維持する秘訣をアランに訊くと、スーツに身を包み、背筋をピンと伸ばした彼は、「何もしていないよ」と笑う。「ただ、自分の身体に悪いものには近寄らないように心がけているけどね」

プロ・デビューしたのが17歳というから、芸歴58年。ニューオリンズ音楽史の生き証人に語ってもらった。

●ニューオリンズ・ピアノを代表する双璧でありながら、あなたとドクター・ジョンのスタイルはかなり異なっていますね。

ドクター・ジョンと私で大きく異なるのは、彼が純粋なアーティストで、私はプロデューサーでもあったことだ。マック(ドクター・ジョンの本名マック・レベナック)はドクター・ジョンとしての音楽スタイルを確立させて、独自の道をまっすぐ進んでいった。一方、私はさまざまなアーティストをプロデュースして、それぞれの音楽スタイルに順応する必要があった。ジェシー・ヒルの「ウー・プー・パー・ドゥー」とパティ・ラベルではまったく異なるだろ?

●2人のスタイルに共通点があるとしたら?

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