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【インタビュー】マーティン・フライ(ABC)/「ルック・オブ・ラヴ」から33年、マーティンが見出した“真の愛” 2016

2016年1月、ABCが約33年ぶりの来日公演を行った。
“BACK TO 80s”というサブタイトルが付けられた今回のツアー。UKポップの名盤『ルック・オブ・ラヴ/The Lexicon Of Love』(1982)からの「ショウ・ミー」からスタート、同作からの「ポイズン・アロウ」、「我が心のすべてを」、「涙まだまだ」に加えて、「そして今は…」、「ビー・ニア・ミー」、「ホエン・スモーキー・シングス」など、歴代のヒット曲を披露した。アンコールはもちろん「ルック・オブ・ラヴ」だ。
唯一のオリジナル・メンバーであるシンガーのマーティン・フライは1980年代と変わらぬ大人のダンディズムとソウルフルな歌声で、我々をポップの時間旅行へといざなってくれた。
夢のような一夜が明けて、マーティンは自らの辿ってきた旅路について語ってくれた。


●1983年2月の初来日公演のことを覚えていますか?

もう30年以上前のことだし、あまり記憶に残っていないんだ。ツアーをした後、もう一度テレビ出演か何かで日本に来たんじゃなかったけな?でも今回感じたのは、日本のファンが音楽を真剣に聴いてくれるということだった。イギリスでは昔のヒット曲で盛り上がってパーティー!みたいな雰囲気があるけど、日本では音楽作品として楽しんでくれるんだ。アーティストとしては、どちらも嬉しいことだよ。

●最近の活動について教えて下さい。

ニュー・アルバムをほぼ完成させたんだ。『The Lexicon Of A Lost Ideal』というタイトルで、『ルック・オブ・ラヴ』から30年後の人生を描いたアルバムで、いわば続編だ。日本のステージで披露した「Ten Below Zero」と「Viva Love」も収録されているよ。「Viva Love」は昔書いた曲だけど(『アブラカダブラ』/1991)、新しいヴァージョンを録ったんだ。それ以外にも「Chip Of The Seasick Sailor」「Flames Of Desire 」「Confessions Of A Fool」…アン・ダドリーがオーケストレーションを担当しているんだ。彼女とスタジオで一緒にやるのは『ルック・オブ・ラヴ』以来だよ。レディー・ガガのプロデューサーだったロブ・フサーリとも一緒にやっている。今年(2016年)5月には発売できる筈だよ。

●ライヴでは新旧のヒット曲をプレイしましたが、やはりお客さんが盛り上がるのは『ルック・オブ・ラヴ』の曲ですね。

ABCにはそれぞれの時期でヒット曲があったんだ。「ビー・ニア・ミー」や「ホエン・スモーキー・シングス」とかね。アメリカでは『ハウ・トゥ・ビー・ア・ジリオネアー』(1985)が最大のヒット作なんだ。EDMを先取りしていたアルバムだよ。でも君の言うとおり、ABCというバンドは永遠に『ルック・オブ・ラヴ』で記憶され続けるだろうね。

●『ハウ・トゥ・ビー・ア・ジリオネアー』の頃にメンバーだったデヴィッド・ヤリトゥとは連絡を取っていますか?

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