【映画】DOOM者なら見ておきたいDOOM映画8選

ファンジン『Black Shapes Of Doom』Vol.2に2005年に書いた記事。

Leaf Hound Records小林飛玲乃さんはある日消息が途絶えて、それから国内外のいろんな人からいろんなクレームが僕のところまで来ましたが、僕は何も知らないので「何も知らない」と答えるしかありませんでした。最後に顔を合わせたのは2008年10月5日、日比谷野音でのFLOWER TRAVELLIN’ BANDのライヴだったけど、その時点でいろいろあったみたいで、何かそわそわしていたのを覚えています。僕自身は迷惑は被っていなかったし、むしろサンプル盤をもらったりしてお世話になったのですが、連絡を取ろうとしたけどダメでした。内緒にするので、今からでも連絡して欲しいです。

DOOM映画記事は連載にしたかったですが、そんなわけで第2回はありませんでした。比較的たやすく見れる作品ばかりで、この後にブルーレイ/DVD再発されたものもあるので、見たい人は適宜調べて下さい。

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"DOOMムービー"を定義するのは難しい。人によってDOOMな音楽の定義が異なるのと同様に、何をもってDOOMとするかの解釈は分かれるからだ。「DOOMな気分になれる映画」はいくらでもあるが、本稿では暫定的にDOOMムービーと呼ぶべき映画の特徴をいくつか挙げてみよう。

1)バッド・エンディング
DOOMムービーに求められるのは、当然ながら後味の悪さである。カタルシスがなく、見終わって胃にもやもやした不快感が重要。もちろんエンディングだけでなく、全編通してそんな雰囲気が流れていることが大事だ。

2)見る者との距離感
DOOMムービーの舞台は言葉の通じない外国の人里離れた片田舎・小都市などが多い。都会を舞台にした作品もあるが、外見・精神ともに病んだ人物が登場したり、我々の持つ一般常識やモラルから乖離したシチュエーションが足元を揺るがすのである。

3)暗い、地味
DOOMロックのことをダウナー・ロックと呼ぶことがあるのと同様に、やはりダウナーな内容・雰囲気であるのは重要だ。ストーリーはもちろん、俳優も華やかさがない方が好ましい。

4)人が死ぬ
そして我々の足元を最も揺さぶるのが、死という出来事である。人が死なないDOOMムービーもあるにはあるが、やはり不慮の死、あるいは殺人は重要なファクターだ。誰だか判らない殺人者に理由もなく殺されるというのは、人間に起こりうる最も恐ろしい出来事のひとつではないだろうか。

そんな四つの条件を兼ね備えたDOOMムービーを、今回は8本集めてみた。第一回ということもあり、あくまで名刺代わり。これからも続々とDOOMま映画を紹介していきたい。


●女子大生・恐怖のサイクリングバカンス(1970)
AND SOON THE DARKNESS

『ヘルハウス』(73)『女子大生悪魔の体験入学』(73)でホラー・ファンにはすっかりおなじみのパメラ・フランクリンが主演する日本未公開作品。現在米盤DVDが入手可能。
フランスの片田舎にサイクリング・バカンスに出かけた二人の女子大生が遭遇する恐怖を描いた本作だが、その魅力は一切感情移入することが出来ない登場人物、そして一瞬たりとも気を抜けないストーリー。案外ドラマはスローテンポで進んでいくのだが、じんわりと高まっていく不気味な雰囲気がたまらない。まったく言葉は通じないし、得体の知れないフランス人が彼女のことを執拗に追いかけてくるし、正体不明の殺人鬼が野放しになっているというし、農家の親父は女のパンツを頭にかぶるし、とにかく物陰から何かが現れそうな、思わせぶりなシーンが多い。
殺人鬼の正体が実は...というオチも付くものの、特にビッグ・サプライズはなし。それよりやはり全体を覆う重苦しさを楽しみたいところだ。
なお『ヘルハウス』では可憐な霊媒師を演じていたパメラだが、本作では妙に態度のでかい女子大生。髪型のせいもあって老けて見えるのが難だが、ホットパンツからのぞく素足が健康的でよろしい。
しかし、最後に至ってもカタルシスは皆無。ぽつぽつ降り出した雨の中、立ち去る自転車のバックに軽快なテーマ曲が流れる。

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