しあわせとは平穏な日常。
会社の同僚のおじさんは家では喋らないらしい。
会社ではそういう人が結構いる。
その反動か、仕事中ずっと話している。話したい欲求は止まらないようだ。
今日も、持ち場から離れて、家の洗濯機を直しながら使っているという話を聞いた。
妻に、買い換えようといっても渋るばかりだとのこと。
電気屋に一緒に見に行っても買おうとせず、パンフレットを家に持って帰っても、首を縦には振らないそうだ。
いっそ勝手に買ってみたらどうですかと言ったら、その手があったかという顔でにっこりしたが、いささか、妻の表情が浮かんだのか、少し影が出てきた。
前に聞いた時に、話をすると怒られると言っていた。
些末なことで行き違いになり、口論になるようだ。
口論になることを恐れて、家では極力話をしないようだ。
そうしたことが重なったせいか、家に居場所がないという。だから趣味のランニングに出かけたり、同僚と飲みに出歩いている。
私が家事をしている間、あなたは遊び回っていると詰められて、ますます居場所がなくなる。
平穏な光景だと感じるが、家に居場所がないのはいささか寂しいように思う。
こんな話を笑顔で話す。
でもその笑顔の裏には寂しさがにじみ出ていた。
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