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マーリ -Maari

鑑賞日:202106 於:キネカ大森
製作 2015年
監督 バーラージ・モーハン
出演 ダヌシュ、カージャル・アグルワール

 とにかく陽気で楽しいギャング・コメディです♪いろいろ深読みするのもアリですが、ただ画面に映る展開に乗せられて笑って歌ってスカッとするのがイチバン!!本家IMWさんのトリビアも是非(^^)b

 トリビアには「呑気系ユーモア作品」と紹介されています。一応ぶんちゃか殴り合いは出てきますのでそれは念のため要注意。でもダヌシュといえば…という他の作品や、インド映画ならではの陰惨なギャングものと比べると、みな軽症だし、なにより誰も死にません(過去エピソードには死人はいますが)。インド映画が初めてだったらハードコメディかもしれませんが、他のIMW2021のラインナップやダヌシュ作品と考えると超絶ゆるぬるコメディです。

★前半あらすじネタバレあり★

チェンナイの下町に住むマーリは、身寄りなく育った若者。8年ほど前から土地を仕切る極道として皆に恐れられるようになっている。彼は鳩レースに入れ込んでおり、鳩の前では柔和な一面も見せる。そんな彼の前に、新しく地区の担当になったアルジュン警部とブティック経営者のシュリーが登場し、波乱が起こる。(IMWさんより抜粋)

 導入は新しく地区担当になったアルジュン警部の登場から。このアルジュン警部はある想いを胸に秘めて赴任してきました。シマを仕切るマーリのうわさを聞き、早速聞き込みでマーリの悪行を探っていきます。マーリといえばショバ代の取り立て、脅し、笑うか死ぬかゲーム、鳩は大事にといつも通りやりたい放題です。そして鳩レースは主催者兼競技者として不正なしの8年間負けなしでした。

 そんなマーリの町へ新しいブティックが立つという話が。早速マーリと子分達一行はショバ代を取り立てに向かいます。なんとそこにいたのはギャングの脅しをものともしない店長のシュリー、ショバ代なんて払わない!ここは自分の家なのだからお金を払う必要はない!とまくし立てる彼女に子分たちもたじたじ。強気のシュリーにマーリが一目ぼれしたのかは定かではないけれど、とにかく軽く(?)脅してショバ代を約束させて帰ってきます。

 マーリは地元の大親分に使えていますが、この親分にはもうひとり”鳥ラヴィ”と呼ばれる右腕がいてマーリと勢力争いをしていました。ただしマーリの方が大親分に気に入られておりラヴィはそれが気に食わない。なんとかして大親分の気を引こうとマーリとおなじように鳩レース主催を試みたりといろいろやりますが、なかなかうまくいきません。実はシュリーはこのラヴィからブティック経営の開業資金を借りていました。しかし経営がなかなか軌道に乗らず借金を返せないのでラヴィたちに嫌がらせをうけていました。商品を取り上げられて困り果てるシュリー、そこへマーリが登場しラヴィたちを力ずくで追い返します。最初はマーリに反感を抱いたシュリーでしたが心を開くようになります。

 ある夜、マーリが子分たちといつもの場所、建物の屋上にあるマーリの住まい兼鳩小屋の前で吞んでいました。話の内容は兄貴ことマーリとシュリーの恋バナ。なんで兄貴とシュリーはうまくいかないかよぉ~っと子分がクダを巻いているとそこにシュリーが現れます。マーリは子分たちを追い払いシュリーと二人だけに。シュリーは「別に嫌いというわけではないの…でも」実はマーリの過去が気になり、どうしても一歩踏み込めないのだと吐露します。そこでマーリは自分の過去を彼女に告白、シュリーは納得したのかマーリの話を聞いて黙ってその場を去っていきました。翌朝、アルジュン警部がマーリのショバへ踏み込んできました。なんと彼の手には昨晩シュリーに過去の罪を告白しているマーリの動画が…


★ここから本気のネタバレand感想領域

 なんとなく恋のさや当てっぽく紹介しましたが、どちらかというと恋よりギャングならではのケンカがメインでわちゃわちゃしてます。シュリーのブティックも、マーリは彼女をいいように言いくるめて共同経営者に収まりお店でやりたい放題。上述の”なかなか軌道に乗らないブティック経営”もマーリの子分らが客へ嫌がらせやら悪戯やら、いろいろ邪魔するからなんですよねw。なのでマーリがラヴィたちをやっつけて、シュリーが「マーリ…ありがとう…(キュン)」なんていう展開は(はえ?いやいやいや〜ははは~)とかなっちゃうわけで。でもそこからぐっとシュリーの雰囲気がかわったり、マーリはあっという間に翻弄されちゃったりでも強がって見せたり、分かっていてもやっぱり笑える(で、このシュリーの振る舞いが大事な仕込みなんですね)。

★マーリってヤツ
 決めセリフ「始末してやる」
 "ちょっと善人、大いに悪人"
このあたりはやはり日本語字幕だからこそ伝わる作品の味、字幕担当の方には感謝しかないです。徹頭徹尾チンピラでしょうもないヤツ。基本的には大親分のため、ショバ代のため、仲の良い子分のため、シマのため、そして何より鳩のため。たまたま都合よく正義の味方っぽい展開になり、庶民も一時は「頼れるマーリが俺たちの味方になった」と喜ぶけど、それもあくまでやっつけなきゃいけないヤツが共通だっただけ。一連の出来事が収まったとたんにキャラも金もきっちり回収します。万事抜かりなしw憎めないw 
ちょっと善人も嘘じゃないですよ~。

★子分たちこと、サタデーとサンドバッグ
 マーリの腰巾着のようにずっとついて回る2人はただの子分ではなくてマーリのことを兄貴と慕う仲良し三人組です。サタデーはマーリに恋のアドバイスをガンガンぶつけるしマーリも二人には「男同士はいいんだよ、寛げる。女はダメなんだよ~」と弱音を吐きまくる。サンドバッグはマーリの専属サンドバッグ(殴られ係担当)なのが嬉しい。この3人のオモシロトリオだからいいんですね。

★シュリーってヤツ
 マーリに臆することなく歯向かう強気女子。かわいいのであっという間に街の人気者(らしい)。このシュリーがマーリの恋心を利用して彼を陥れるというクソ展開なのに、あっという間に心変わりする、謝ったあとも私は悪くない!と厚顔無恥をさらす(さすがにサタデーとサンドバッグに諭されてしおらしくなっていました)、マーリとの関係はこじれているままなのに『私は本当のあなたを分かっているわよ、ふふふ』的なしたり顔を見せたり、と一言で言えばかなり図々しい女子。もしこれがカジャルちゃんという明るい元気印の役者さんじゃなかったらわたしはガチで怒ってたかもしれないwこのあたりも配役がうまいなと思います。これまた憎めなくて可愛いです❤️

★素晴らしき乱闘シーン
 たくさんのケンカ、乱闘シーンはどれもそれぞれのシーンに音楽をガチっとかぶせきてガンガンに盛り上げてくれますね。マーリの千切っては投げ、また千切って投げ&殴り、乱闘というかむしろダンスシーンです♪特に最後の材木置き場での決闘シーンのカメラワーク、そしてマーリの
 蝶のように舞い、棍棒で殴る
この一連の動きはインド映画ならではのホントによく考えられた魅せる乱闘シーンで、マーリはもちろんもヤられる側の悪党どもの散り際もお見事。

★密かなお気に入りシーン
 最終決着がついたあと、ラヴィの手下プレームがマーリにサングラスをそっと差し出しそれをマーリが受け取るところです(そう、あいつプレームって言うんだよ)。

 ダヌシュといえば「ラーンジャナー(超訳:生きているのが辛い)」、「(超訳:生きていてゴメンナサイ)」などなどとにかく悲惨or悲壮といった作品のイメージがまとわりつたので事前にユルめの作品と聞いていても全くピンと来ず。いざ見てみるとほんとにただ楽しいダヌシュで大いに満足!美空ひばりのお祭りマンボみたいな景気のいい映画でした。

マーリ2というのもあるので、こちらも見たらレポートします。

くそチンピラ度 ★★★★★★★
ダンスシーン楽しい度 ★★★★★★★
ちょっと善人度 ★★★★★★★

★マーリも歌とダンスが楽しいのであるもの全部

♪タヘタヘタヘタヘ!!


♪ 「兄さんとは違う感じ」ふふふ♡


♪「一人で生まれて一人で死ぬ」そんなこと言わないでっていう歌

もう1曲が見つけられません!見つけたら更新します。

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