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モッチのこと9

 最近のモッチはマルコがいなくなったことを受け入れたような気がする(いないというか遍在しているじょうたいなんだよ)。マルコがよくいた天袋に登って中を覗き込む様子には泣けてしまったけど。ここ数日はモッチの姿が見えなくなって慌てて探し回ったら天袋にいることが増えた。チラッと白い毛が見えた時はマルコかな、と思って嬉しくなって、もちろんモッチなんだけど切ないだけじゃない嬉しい気持ちがあった。

モッチのしっぽがのぞいている


 どうなるかわからなかったのでnote.に書くのを控えていたけど、落ち着きが見えてきたのでそろそろ書いておく。

 マルコが居なくなって、モッチはずっと物哀しい声をあげてマルコを探していた。ウチは猫の水飲み場をテレビ台の上に設置しており、マルコの写真もそこに飾ってある。モッチは水飲み場に行くたびに必ずマルコを呼んでいた。マルコを呼んで鳴くことはモッチにとってとても大事な儀式でありニンゲンが土足で踏み込んではいけない領域だと感じて、なかなか記録が撮れなかった(実際に撮ったのは一回だけ)。やがて四十九日が終わって少したった頃から落ち着き始めたと思う。はじめの頃は聞いてて胸が張り裂けてしまいそうな絞り出すような悲鳴だったけれど、今はたまにお祈りのように鳴くくらいでかなり落ち着いている。

モッチの背中側に水入れがある


 もう一つ、マルコが居なくなった直後からモッチは発作を起こすようになった。症状としては脳梗塞かてんかんかといった感じで、真っ直ぐ歩けなくて首を傾けたままグルグル同じ場所を回っていたり、床に倒れたまま半身を硬直させて起き上がれなくなったりした。最初に気づいたのはモッチ愛用のネコタワーから落ちたこと。ネコタワーと言っても人間の膝ほどの高さなので怪我はしなかったけれど、落ちる際に全く姿勢を取れずそのまま寝てる形でボタっと落ちて、そのあとの歩く姿もおかしかった。それが5月19日。その時のモッチはすぐに復活したし、それに加えてマルコがもういないということばかりが頭を占めていたので何もしていない。
その後のメモは以下の通り。

5/19 メモあり
5/25 1430 おちた びっこ 
5/27 メモあり
6/2 2130 おちた
6/3 0500 体が傾いた
※「メモあり」はモッチ用メモではないところに記録ありの意味

 25日はすぐにかかりつけに行ってケガをしていないかどうかのチェックだけをした。様子がおかしいことは説明したけれどうまく伝わらなかった。27日にまた発作を起こしたので次は鍼灸の病院に行った。今度は動画を撮っていたのでそれを見てもらった。その時の診断は「脳に何かが起きていると思われるけど詳細はMRIを取らないとかわからない」とのことだった。発作は5分以内で収まるので当面は様子見、他の可能性を潰すために血液検査をしてもらうことにした。そのあとも上記の通り短い期間に発作は頻発した。

凛々しい顔のモッチ

 1週間後の血液検査の結果は15歳にもかかわらずほぼ全て基準値以内で素晴らしい、と健康優良児のお墨付きをもらった。となるともうMRIを撮るしかない。とはいえMRIで絶対に分かる保証もないし、全身麻酔が必要になるのでいくら健康でも15歳の身体への負担は大きい。また先生が奨めない理由の一つが発作が起きても5分もたたずに正常に戻ってしまうというその症状だった。発作によっては発作そのものを軽減するような薬もある(もちろんちゃんと診断する)がそれを出すほどでもないということで再び様子を見ることにした。「安全を考えたらできれば高いところに登らないようにしてほしい。それが難しいなら落ちた時に怪我をしないように周りにクッションとかをひいておいた方がいい」と言われて水飲み場の周りやネコタワーの周りにクッションや布団を敷き詰めた。さらに、もし今後発作が頻発して身体に麻痺が残ってしまう可能性があるのなら鍼灸で身体を柔らかくしておくのはよいことでは、と考えてモッチも鍼灸に通うことにした(首と腰に負担がかかっていそうとのことで最初は5日に一回ほどの頻度だった。今はひと月に一回)。
その後の発作記録は下記の通り。

6/28 0630 
7/1 2101
7/3 0300 0930
7/9 1100
7/11 0900
7/17 2320
8/6 1640

 7月の回数は多いようだけれど症状はだんだんやわらぎ、7/17と8/6は人間側が過剰に反応しただけで、ただ寝転がっていただけかもしれないといった感じだった。その頃には明らかにモッチの身体は落ち着いて毎日ヘソ天で寝ていた。もう大丈夫だろうと判断して敷き詰めていたクッションや布団を片付けた。天袋にのぼるようになったのも発作が出なくなった最近から。

可愛いみが増している

 今ではこの一連の発作はモッチにとってマルコのこと相当堪えたのだと、それが発作という形になって現れたのだと思っている。鍼灸の先生から同居猫を亡くしてひとりになると猫も具合悪くなるコがいるから気を付けてあげてね、と言われていた。でもそれは食欲を無くすとか遊ばなくなるとかそういう症状だと思っていた。まさかこんな発作を起こすとは…モッチにとってマルコがどんなに大事な大きな存在だったのかを今更知った。何も分かってなくて、ごめんね、モッチ。ごめんね、マルコ。

 マルコのことは思い返す度に、もっとできたことがある、あのとき違う判断をしていれば今も元気だったかも、と思って泣いてしまう。マルコの最期の瞬間もそのあとのこともちゃんとメモはとってある。マルコが生き抜いた証拠だから。でもまだまとめられない。ごめんね。

 最近のモッチはますます甘えたで可愛らしさを日々更新している。そしてまた最近は自分とモッチの身体がつながっているんじゃないかと錯覚するくらい一体感がある。モッチは間違いなく自分以上に悲しんでいるけれど近い体験をしたのはやっぱりモッチと自分のふたりなんだと思う。ニンゲンはバカなのでマルコがいなくなってから「もう生きていなくてもいいかな」とふとよぎったりする。でもモッチを最後までしあわせにするのは自分の使命なのでそれまではがんばろ。

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