最強
あいさつ
こんティアラ。やまきゃです。好きな禁止カードはもちろんキトカロス。
突然ですが、皆さんは「今までの人生の中で一つだけ最高のデッキを選べ」と言われたらなんのデッキを選びますか?
僕は真っ先に全盛期の【イシズティアラメンツ】を思い浮かびますが、それを使ってデュエルするとなると対面がミラーの場合のリスクを考慮してちょっと気負います。
あとあのデッキは少々引きのムラがあるんですよね。不安定というかなんというか。
そういったリスクを排除したくなるのが人間のサガというもので、最終的にはたぶんこの【クシャトリラティアラメンツ】を選ぶ人の方が多いんじゃないでしょうか。
というわけで、今回はこの【クシャトリラティアラメンツ】の話をします。
なお、この記事はティアラメンツとクシャトリラについてある程度知識がある前提で書いていきます。
知らねーよという方は僕の方でnoteにして纏めてますので、まだ読んでいない方はぜひ一読のほどをお願いいたします。
【クシャトリラティアラメンツ】とは
ご覧のとおり、ティアラメンツとクシャトリラの混合デッキです。
使用可能だった期間は、フォトン・ハイパ-ノヴァ発売の2022年10月15日から2022年12月31日までの78日間でした。
このデッキはティアラメンツをクシャトリラでサポートすることをコンセプトにした混合デッキです。そのため【クシャトリラ】の特徴である盤面封鎖やデッキ破壊などは行いません。
【クシャトリラティアラメンツ】は2テーマ間にシナジーがあるにも関わらず、共通の弱点というのがほとんど見当たりません。それどころか、お互いの弱点を克服しあうかのような噛み合いを見せます。
このデッキが他の混合デッキよりも明確に優れている点として、クシャトリラ側だけ引いたとしてもティアラメンツに繋げることができるというものがあります。このお陰で事故率が極端に低く、【イシズティアラメンツ】のような爆発力はないものの、安定して高出力を出せるデッキとして仕上がっています。
色々言ってますが難しいことは考えずにティアラメンツはメチャクチャ強い、クシャトリラも超強い、ならその二つを混ぜたら超メチャクチャ強いよねということです。
既存構築からの変化点
事故率の低下
そもそもの話ですが、ティアラメンツは初動の自由度が非常に高いです。
ティアラメンツの初動カードはキトカロスの着地が目的ですが、確定融合のレイノハート以外にもシェイレーン、メイルゥ、スクリームなどのランダム墓地落としでも運次第でキトカロスの融合召喚ができてしまいます。
とはいいつつ、実際にはメイルゥなどの3枚落としでは何も起きないということが少なくありません。そのためアギドやケルベクで補強していたわけですが、フェンリルとティアクシャがそれも解決しました。
フェンリル+モンスター召喚でキトカロスを確定で立てるルートが確立し、またティアクシャによって墓地を増やす機会が増え、③効果で追加の墓地送りができるようになり単純にアタリを引く確率も上がっているからです。
このためフェンリルやパライゾスもティアラメンツの初動としてカウントでき、結果としてデッキの半分は初動といっていい構築にできてしまいます。
イシズギミックからの脱却
ミラーにおいてムドラ、ケルドウが有効でありアギド、ケルベクがミラー以外で通れば最強の札であることから、ティアラメンツにおいてイシズギミックは必須であるという考えもあります。
しかし冷静に考えてみると、アギドケルベクは相手にアドバンテージを取らせるリスクが存在し、またイシズギミックは引くと単体で機能せず、事故要因にもなりかねません。
一方でクシャトリラギミックに目を向けてみると、素引きで事故になり得る要素が少なく、またフェンリルがミラーにおいても強力であることは言うまでもありません。
イシズがなくとも環境デッキに対して十分に勝てるパワーを出せるなら、イシズを排してクシャトリラで埋めて、リスクのある最大出力よりも安定性をとるほうが総合的に見て勝率が高いということですね。
そしてそれが実際に実現可能だったわけです。
弱点の克服
ティアラメンツには《ディメンション・アトラクター》や《次元の裂け目》などの明確な弱点、メタカードが存在し、詰みとは言わずとも厳しいゲーム展開を強いられることは決して少なくありませんでした。
しかしながらクシャトリラのギミックはこれらの墓地メタを完全に無視することができ、クシャトリラの打点の高さとカードパワーでメタを無視して殴り切るというプランが取れるようになりました。
展開力の上昇
クシャトリラギミックはリンク値の供給に非常に長けています。
ユニコーンもフェンリルも実質的なリンク2として換算でき、このお陰でリンクモンスターを出力するのが非常に簡単になりました。
具体的な話をするなら、多少弱い初手でも《スプライト・スプリンド》を作ることで融合に行くことが可能になったり、後手においては《閉ザサレシ世界ノ冥神》まで行きやすくなり、アストラムなどを回答しやすくなりました。
その他にもレベル7の出力がイージーになったことでランク7のエクシーズやレベル8、10のシンクロまで繋ぐことも可能になっており、選択肢の幅が大きく広がっています。余談ですが、これが原因でキトカロス禁止移行もずるずるとティアラメンツはまだやれる状態を続けています。
何が強いのか
シンプルにその時代最強のカード群を採用していること
ティアラメンツおよびクシャトリラは最強です。
今となっては、ティアラメンツはレイノハートもシェイレーンもハゥフニスもメイルゥも制限カード(10月からはティアクシャも)となり、キトカロスとクシャトリラフェンリルに至っては禁止カードです。それらが無制限に使えたデッキが弱いわけがありません。
純粋に1枚のカードに含まれるアドバンテージの量が他のカードと比べて段違いです。
難しい理屈は要りません。他のテーマが手札を2枚3枚と使ってやることを1枚で出来てしまうのならその差を埋めることは不可能です。
メタカードなどで専用の対策をせずに、単純なデッキパワーの押し付け合いをしている限りは他のデッキに負け越す道理はありません。
その上でメタ耐性があること
ティアラメンツのメタをするなら当然アトラクターやビーステッドを投げることを考えますが、フェンリルがそのへん全部まとめてケアします。
ラヴァゴや拮抗勝負のような雑多な捲り札もティアクシャ1枚抱えておけば妨害を残せるようになり、ティアラメンツが苦手としていたカード受けのほとんどがクシャトリラ要素によって改善します。
こうした理由から、「ティアラメンツの動きをされると負けるからとにかくそちらを潰そう!」と思っても、ティアラメンツ側はメインギミックで回答できるためメタカード+初動と引いたとしてもフェンリルに初動の方を潰されて負けるわけです。
よって必然的に、無理にメタカードを積んだ側よりも勝率はティアラメンツ側に傾きます。
自由枠の多さ
あまりにも初動が多く、かつムダなパーツが全く必要ないので自由枠が並のデッキ以上にあります。
参考リストではうららG無限で9枚を誘発枠に割いていますが、別にパライゾスやティアクシャ、スクリームやサリークが3枚である必要も無いし《抹殺の指名者》も必須ではありません。
固定カードはこのくらいで、なんならティアクシャですら減らす人もいます。
アトラクターが流行っているならその自由枠を《墓穴の指名者》や《三戦の才》などに変えれば良いし、出力を上げたければ《沼地の魔神王》やシャドールを、ミラーが多ければビーステッドや再びムドラケルドウを採用したりといくらでも構築は変えられます。
フェンリルを最も強く使えること
当然キトカロスから出力されるティアラメンツの展開が強力なのは言うまでもないですが、それに付随してフェンリルが追加されることになります。
フェンリルは召喚権を切らないうえにサーチもするので、手札の枚数が減りません。
つまりは引いてしまえば先行展開にフェンリルが単純に1枚追加されて1妨害増え、後攻でもフェンリルで妨害を踏む能力が1枚分(あるいはそれ以上に)上がりました。
これは他のフェンリルを採用できるデッキも同条件なのですが、ことティアラメンツに関してはティアクシャの存在で更に一手追加されることを考えればより大きいアドバンテージを得ていることは言うまでもないでしょう。
メタ耐性の話もあり、結局の所《クシャトリラ・フェンリル》という最強の汎用パワーカードを採用したいときに最も強いのが【ティアラメンツ】になってしまうのです。
【クシャトリラ】の存在
純【クシャトリラ】は盤面こそ脆く、事故りやすく、誘発がきっちり刺さるものの盤面が決まったらほとんど特殊勝利に近いデッキです。
対【ティアラメンツ】においてもそれは同じで、ティアラ側がそこそこ良い引きをして、かつクシャトリラ側がミスらないと基本は捲られません。そもそもアライズハートだけでもギミック否定されて辛いですしね。
そういうわけで【クシャトリラティアラメンツ】に対抗する形で【クシャトリラ】も一定数存在する環境になるわけですが、これがなおさらティアラメンツ側にとって有利に働きます。
それは「ティアラメンツは他テーマをわざわざ見なくてもメインギミックで勝てるからクシャトリラの対策に集中できるのに、他テーマはクシャトリラとティアラメンツ両方見ないといけない」からです。
そして、クシャトリラとティアラメンツ両方を効果的にメタることの出来るカードはほとんど存在しません。
そんな状況でわざわざティアラメンツもクシャトリラも使わない人間はいません。結果として、ティアラメンツはクシャトリラとミラーの対策に集中できます。
キーカード解説
クシャトリラ・フェンリル
説明不要のパワーカードです。
ことティアラメンツにおいては、ティアクシャをサーチできるせいで初動、妨害、捲り、誘発貫通、リソース、手数供給なんでもこなすとんでもカードとなります。
ティアラメンツにおいて「とりあえずssできるモンスター」というのはスプリンドに繋がるため価値が高いのですが、その上でこのカードはティアクシャのせいで誘発をもらってくれるため初動の安定性を圧倒的に高めてくれます。
当然ですがティアクシャは融合素材にするとデッキに戻るため、フェンリルを維持できるなら毎ターンティアクシャはサーチできます。
Gを受けたらこのカードで止まるというのはフェンリルを採用しているデッキに共通する点ですが、ティアラメンツは元来キトカロスで止まる選択肢があることに加え、ティアクシャ&ハゥフニスの存在と優秀な罠カード群により他デッキよりもこの「フェンリルSSのみでエンド」の盤面強度が段違いです。
ティアラメンツ・クシャトリラ
説明が必要なパワーカードです。
まずもって、ティアラメンツにおいて「引いても強いし落ちても強い」カードは喉から手が出るほど欲しいものです。
それがティアラメンツの名前を持って、なぜかフェンリル、パライゾス、ペルレイノ、サリーク、キトカロスどれからでもサーチすることができるため、だいたい欲しいときにいつでも持ってくることが可能なのでもう願ったり叶ったりというわけです。
このカードはとにかくできることが多いです。
書いてあることを読むだけでも、特殊召喚できるのでリンクなどの素材になりますし、3枚落としで初動と展開補助にも役立ちます。落ちたときの2枚落としも落ちが弱いときやチェーンで隠して誘発をケアしたいときに便利です。
相手メインフェイズの好きなタイミングでSSできるため、例えば《皆既日食の書》などで盤面からティアラメンツが消えてしまった場合もこのカードのSSから罠の発動条件を満たせますし、スクリームを任意のタイミングで起動することもできます。
同様の理由で、相手のリンク霊使いで墓地のティアラ、クシャが奪われそうになったときのケア手段にもなっています。当然ビーステッドや墓穴も同様です。
滅多にやることではないですが、シェイレーン①にチェーンGと言われたときにこのカードで手札のシェイレーンを除外すると相手に1枚も引かせずに済みます。
除外というのは決してデメリットだけではなく、例えばグリーフやクライムの回収先を作っておくことができたり、採用していればパーピヤスの②を起動することもできます。
純粋にメインデッキに入る2300打点モンスターであるため、エクストラデッキを封じられた際にも活躍しますし、当然ペルレイノの攻撃力上昇を受けることができます。
"ティアラメンツ"モンスターであるためきっちりキトカロスの融合素材にできます。
水属性のため《御前試合》などに対してもルルカロスやレイノハートなどと水属性で攻めることができますし、サイキック族のため《センサー万別》を回避しやすいです。
レイノハートと同じ属性であることから、レイノ召喚後にグリーフを使いティアクシャを出してレイノを墓地に送るということも可能です。(逆も然り)
他にも、レイノの墓地効果を使うときに手札のティアラネームがティアクシャ1枚だけなら、チェーンしてSSすることで手札を切らずにレイノを蘇生できるテクニックは有名です。
クシャトリラ・ユニコーン
リストには載っていませんが普通に採用できます。
ミラーで相手のカレイドハートやキトカロスを引き抜くだけでも強力ですし、サーチできる魔法カードがシンプルに強いです。
《クシャトリラ・バース》は墓地からの蘇生がティアラメンツの墓地落としと相性がよく、単純にフェンリルやティアクシャをつり上げるだけでも強力です。
パライゾスのところで触れたとおり《六世壊他化自在天》を持ってくればフェンリルを出し、そこからティアクシャをサーチして3体でアライズハートを作ることができます。
サーチ対象をティアクシャでなくライズハートにすることで、アトラクター下でも3素材アライズを作って妨害にすることもできます。
六世壊=パライゾス
フェンリルを持ってこれる時点でバグカードなのですが、このデッキでは相手ターンに打つ二枚目のティアクシャを確保することもできるのでよりバグです。
当然ユニコーンを採用していればこのカードでサーチできますし、バースやパーピヤスも入れておけばティアラメンツで好き放題したあとにアライズハートまでだせちゃいます。
打点上昇効果は数値自体は微々たるものですが実際に使うとこれに助けられることが多いです。具体的にはこのフィールド魔法を貼るだけでこちら側に戦闘破壊という選択肢が生まれ、貼られるだけで戦闘破壊が困難になります。
そもそもこのデッキが使えた環境には【ティアラメンツ】と【クシャトリラ】しかいません。
そうなると、盤面に立つモンスターも似たようなものばかりになります。
実際の所、この環境に多いのがフェンリルやキトカロス、ビーステッドなどの2500前後の打点と、カレイドハートやアライズハートなどの3000打点です。
こうなると200や300の上昇が重要になってきます。お互い同じモンスターを並べていても、一方だけ全員100でも打点が上なら全部戦闘破壊できてしまうのが遊戯王というゲームなので、結果としてこの効果も強力だったというわけです。
展開例
基本的には【ティアラメンツ】の展開と何ら変わることはありません。まずキトカロスを融合し、入れ替えを行い、大量に墓地アドを稼ぐことが肝要です。
ですが、クシャトリラ入りならではの展開方法もいくつか存在します。
フェンリルと通常召喚からキトカロス
このように、フェンリルと通常召喚できるモンスターがあればキトカロスを作ることができます。
当然うららやGなどの手札誘発もフェンリルさえあれば複合初動になり、そもそもティアクシャSS時の3枚落としでティアラメンツが落ちればスプリンドを使う必要もありません。
通常召喚権をレイノハートやメイルゥに割けるならより強力なことは言うまでもありません。
特にフェンリルからのメイルゥ通常召喚が鬼強です。
対面として考えたときに、メイルゥの落としで下級ティアラメンツ、サリークやスクリームが落ちると手が付けられないためここに誘発をうたざるを得ませんが、フェンリルとメイルゥでスプリンドが確定しています。
2枚目の誘発でスプリンドを止めたとしても、ティアクシャの3枚落としが残っています。
この上でスクリームやシェイレーンが絡むともう何枚誘発を撃てば止まるのかわからなくなります。
レベル7二体でドラゴサックからキトカロス
(事故らないから)あんまり使う機会はないですが、例えばユニコーンとティアクシャしか持ってないみたいなときにはこのようにして無理矢理キトカロスを作ることができます。
ドラコサック自体はランク7で盤面に触れるカードかつアーゼウスに行きやすいということで採用しやすいですし、ケルビーニで落とすカードを《沼地の魔神王》にすることでルルカロスや融合グラファを出すこともできます。尤も、沼地の魔神王を採用するかはその人の好みです。
展開の思考
リスクとリターンを考える
まず最低でも罠を1枚は構えられるようにしましょう。
何回も言ってますが、ティアラメンツの強みは妨害位置の分散です。モンスターだけ、魔法罠だけで蓋するデッキなら他に強いものがいくらでもあります。
罠カードはスクリームの墓地効果かキトカロスで構えるのが基本なので、よほど下振れなければそれほど要求値は高くありません。最低マージンとして先に罠を拾っておいて、そこから上振れを狙いにいきましょう。
ケルベクアギドがなく物量によるごまかしがきかないので、展開の最終着地点までにどれくらいの盤面を作れるかのイメージをしておき、リスクのある挙動は負けに直結しない限りは控えるべきです。
具体的には「手札のシェイレーンを特殊召喚するとランク4が作れるけど、それをすると手札のティアクシャを切らないといけない」みたいなとき。
盤面で見れば強化されていても、ティアクシャがないことで《皆既日食の書》や《ラーの翼神竜ー球体形》などで妨害数を大きく減らされるリスクを抱えることになります。
対面がティアラメンツとわかっていて《深淵に潜むもの》を《スプライト・エルフ》の下に作ることが出来るような勝ちに直結するとき以外はよほどすべきではありません。
【ティアラメンツ】を使うときの思考として重要なのが、後になればなるほど落ちが弱くなる可能性は高くなるということです。
デッキの中にあるサリークやスクリームが展開の序盤に落ちれば、それ以降はサリークやスクリームが落ちても意味は無く、それどころかムドラケルドウで戻すことも出来ないため次のターン以降のリソースが失われる形になります。
とにかくデッキをぶん回して多数の妨害を構えるという思考はこのデッキのコンセプトとは異なります。
自分のターンにはある程度の妨害を作るのはもちろんですが、相手ターンに墓地を増やすことも念頭に置いて、デッキをこれ以上掘るべきかどうかを見極めるのが大切です。
このデッキの弱点
メタカード?
そんなものはないということはさんざん言ったと思います。
ティアラメンツとクシャトリラには共通の弱点といったものが見当たりません。1枚のメタカードで両方ともどうこうしようというのは不可能です。
有効なカードにはせいぜい《皆既日食の書》ぐらいしかなく、それすらも《スプライト・エルフ》がいたら墓地のメイルゥを蘇生できてしまうので根本的解決にはなりません。
なんなら効果的なメタカードがあってもティアラメンツ側は同様にサイドカードで対策できますし、そもそもテーマ内に簡単にサーチできるカウンター罠があります。しかも【クシャトリラ】の対策も平行して行わなければなりません。
そういうことができないからこそ78日間このデッキは不動のトップメタであり、他の追随を許さなかったわけです。
というか意味が無い
弱点を考える意味がありません。
今に限った話ではありませんが、メタを張るという行為自体が自分のリソースを消費します。
メタカードを積めば積むほど手札事故を起こす確率は上がりますし、場合によっては自分の首を絞め、デッキパワーも落ちます。
その上で【クシャトリラティアラメンツ】には効きません。刺さったとしてもフェンリルに初動やメタカードを潰されます。メタカードを引けなかったら勝てないのに、引いても勝てるか分かりません。
そんなことをしている間に、ティアラメンツとクシャトリラは圧倒的な安定性と破壊的なデッキパワーで他を蹂躙しています。
【クシャトリラティアラメンツ】にメタを張ってまで勝つなら、同じことをクシャトリラかティアラメンツがやったほうがずっとずっとずっと楽で強いです。
なのでよほどそのデッキを使う明確な利点がなければ、そもそもメタを張ってまで使う意味がありません。そう感じるほどティアラメンツとクシャトリラは他デッキとの歴然としたパワー差があったのです。
だけど普通のデッキ
しかしながら【クシャトリラティアラメンツ】は遊戯王のデッキであることを逸脱していません。
先行ワンキルもしないし、モンスターを特殊召喚できないだとか魔法カードを発動出来ないといった縛りを相手に課すことはありません。妨害はあくまでも数の妨害です。
《皆既日食の書》とか《ラーの翼神龍ー球体形》なんかで妨害は減らされますし、《拮抗勝負》もちゃんと食らいます。それを食らってもなお妨害が作れるだけです。
《増殖するG》が効かないだとか、対象にとれなくて《無限泡影》が打てないということもありません。
手札誘発を打っても盤面が弱くなったように見えないのも、捲り札が機能しているように見えないのもデッキパワーに差がありすぎるからです。
同等に近いカードパワーである【クシャトリラ】が投げるアトラクターはちゃんと有効なのはそういうことです。
所詮は盤面にモンスターを並べて先行展開をし、後攻では誘発を投げるいわゆる普通のミッドレンジです。
今まで上げた問題点は全部「普通のデッキが相手をすると」という前提条件のもと成り立っている話です。
あくまでも、同じ遊戯王というゲーム上では差がありすぎてなにをやっても無意味というだけにすぎません。
つまりこのデッキにどう対抗すれば良いかは明白です。遊戯王を否定すれば良いのです。
遊戯王を否定しろ
遊戯王を否定するのは簡単です。
先行ワンキルや先行全ハンデス、デッキ破壊、盤面完全封鎖をする。
多素材の《No.86 HーCロンゴミアント》を作る。
《スキルドレイン》を貼る。
結界像や《大天使クリスティア》などで特殊召喚を封じ、それを護る。
まともに闘っても勝てないなら、まともに闘わない。こちらが勝てる土俵に相手を引きずり込めば良いのです。
実際YCSJ2022ではスキドレラビュリンスと結界像ふわんの前にティアラもクシャも敗北してしまいました。
遊戯王において最強だとしても、遊戯王を否定されたなら関係ありません。勝てないなら封印すれば良いってことですね。
これが出来てしまうのが遊戯王の良いところであり悪いところでもあるのでしょう。
もういない
そんな【クシャトリラティアラメンツ】ですが、もはや再現できる世界はありません。
海外のTCGではクシャトリラ登場前にキトカロス禁止下級全制限にされていますし、ほんとうにこのデッキが使えたのは日本での10月末~年末までのおおよそ2ヶ月半のみです。
この後MDにティアクシャが来ても、MDのティアラメンツは規制されすぎてとんでもない惨状なのでとてもリペアできません。
なのでぶっちゃけ、このnoteの存在価値もあるのかわかりません。いまさらこんなデッキがあったよ~なんてことを知っても特に何かに活かせません。
しかしひとつだけ、このnoteで皆さんに伝えられることがあります。
それは【クシャトリラティアラメンツ】は最強だったけど無敵ではなかったということです。
最強≠無敵
確かにティアラメンツもクシャトリラも遊戯王のカードパワー基準を遙かに超えたスペックをしているのでしょう。規制状況をみれば一目瞭然です。
ですが先ほど示したとおり、それは遊戯王基準での話。
先行をとって展開を通したらほぼ確実に勝てるだとかいう絶対性はこのデッキにはありません。
【スプライト】に先行で6妨害以上作られたり、綺麗に誘発を受けたり、フェンリルがないのにアトラクターを食らったりと、負けるときは普通に負けます。
ほんとうに、ただただパワーが高すぎただけだったのです。まあ、それが良くなかったのですが。
おわり
いつものことですが長文にお付き合いいただきありがとうございました。
このデッキから得られる教訓は「カードパワーが高すぎると良くない」と「それらに制約が無く自由に組み合わせられるのはマジでヤバい」ということ。それに加えて「どれだけパワーの高いデッキでも封殺してしまえば関係ない」ということです。
ちなみにですが、こういう【ティアラメンツ】と【クシャトリラ】の2強環境みたいなのは僕は好きです。
地雷系デッキやメタ外のテーマが環境からいなくなり、それらを考えなくて済むので非常に楽なのと、環境が固定化されるとサイドカードできちんと対策をしきれるので理不尽負けみたいなのも少なくなるからですね。環境が多様化しすぎるとデッキ構築の段階で捨てなきゃいけない対面が出てくることがあるのでそういう環境は苦手です。このへんは個人の好みが出そうなのでどういう環境が好きなのか話してみると面白いかもしれませんね。
それでは今回はこのへんで。また次の世壊でお会いしましょう。
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