ー・ーー ・・ー ー・・・ ・ ・ー・・【ユベル】
はじめに
みなさんDCお疲れ様でした。やまきゃです。
早速ですが、今回の解説は【ユベル】です。なんか来るらしいですよ?
【ユベル】とは?
遊戯王を長年プレイしている人でユベルの名前を知らない人はいないでしょう。
初出は2007年のファントム・ダークネス。《終末の騎士》だとか《ダーク・アームド・ドラゴン》を排出した伝説のパックです。《超融合》もここ。
かつては《炎王の孤島》でユベルを破壊して展開するような使い方もされていましたが、純粋にテーマとして【ユベル】が使われるということはありませんでした。そもそもカテゴリ化すら怪しかったし。
しかし2023年10月に発売されたレギュラーパック「ファントム・ナイトメア」で登場した新規でついにテーマとしての構築が可能に。
その後も少しずつ強化され、最終的には環境テーマの一角となるほどの強いデッキとなりました。
今回はそんな【ユベル】について見ていきましょう。
【ユベル】の特徴とギミック
【ユベル】は基本的に"ユベル"名称を持つ高レベルモンスターたちと、それをサポートする攻守0の低レベル悪魔族モンスターたちで構成されています。
みなさんご存知のとおり、ユベルモンスターというのは基本的に攻守0。つまり【ユベル】のテーマモンスターたちはほぼ全員攻守0となるわけです。
テーマとしての最大の特徴は、"ユベル"モンスターたちによる継戦能力です。
ユベル名称のモンスターは戦闘で破壊されず、また戦闘ダメージも0にし、効果で破壊されると後続となるユベル名称を呼ぶ事ができます。
これにより粘り強く戦いながら、ユベルの特徴である「戦闘ダメージの反射による勝利」を目指すのが【ユベル】です。
では各カードについて見ていきましょう。昔の《ユベル》はなんとなくわかりますよね?
テーマモンスター
《スピリット・オブ・ユベル》
場に出ることでデッキから「ユベル」のカード名が記された魔法罠をサーチかセットできます。ドロールケアきも。
【ユベル】においてはユベル名称モンスターを盤面に出すことが重要であり、またユベル関連の魔法罠は妨害や展開の要となるので、先行でまずはこのカードを出すことがマストの動きになります。
①により【ユベル】に対してダイレクトアタックを仕掛けると、突然こいつが手札から降ってきて、戦闘破壊できない壁と化します。
しかも効果破壊するとデッキから《ユベル》が飛んできて、こいつもまた戦闘で破壊できず効果で破壊すると後続を呼ぶわけです。
このために【ユベル】相手に油断するとキルチャンスを逃すことが往々にしてありますし、それどころかもしも誘発の投げ合いでゲームが膠着した場合には手札で腐っているこのカードがアクティブになる可能性があるので【ユベル】相手に不用心なダイレクトアタックをしかけるのは非常にリスキーになります。
このカードの存在をちらつかせるだけでも強力なんですよね。
ちなみに、何故か④にはターン1がありません。破壊すればするだけ《ユベル》を呼ぶことができます。しかもマジでどこからでも呼んでこれます。どうなっとるねん。
《サクリファイス・D・ロータス》
起動効果でリリースして発動、デッキからユベル名称を呼びます。
これでスピリットを呼んで展開ができる1枚初動となります。このためだけにデスキャスターで蘇生したりサモソで呼んだりもするくらい大事。
盤面にユベル名称がいると、リリースすることで相手モンスターの効果を書き換えることもでき、また《ユベル》がいれば勝手に墓地蘇生するため自然と妨害も可能になります。
ちなみに蘇生するには《ユベル》が必要ですが、②の書き換えに必要なのは「ユベル」モンスターなので別にユベル本人がいなくてもいいです。
G受けたら回収にしときましょう。
《ヘルグレイブ・スクワーマー》
ぶちこわれ。
手札からssでき、更に墓地効果で蘇生もできるため、このカードがあるだけでリンク値が2増えます。
それだけでなく、フリーチェーンで盤面に出せてかつ効果処理でユベル及びその関連モンスターを破壊できるので、さながら《炎王神獣キリン》のごとく無効誘発ケア札にもなるのです。
SS条件も悪魔族がいればいいだけ。とんでもねえ奴です。
基本的に先行展開では、スピリットで《ナイトメア・ペイン》をサーチし、ペインでこのカードをサーチしながらスピリットを破壊、《ユベル》をSSと動きます。
この時ただスクワーマーをSSするだけでなく、その際《ユベル》を破壊し、その効果でユベル第二形態を呼ぶことで墓地のユベルネームの枚数を増やすことができます。そうすると後述する《ファントム・オブ・ユベル》を出す回数を増やすことができるんですね。
このため、ユベルは第二形態までは採用した方が良いです。
魔法罠カード
《ナイトメア・ペイン》
起動効果で手札か場の闇を破壊しユベル及び関連カードをサーチできます。永続魔法版の炎王の孤島みたいなもんです。
が、孤島とちがってユベルにはガルドニクスがいないのでこのカードは初動にはなりません。
②と③の効果が結構重要で、相手モンスターにユベルを殴らせる効果と、ユベル名称モンスターの戦闘で発生するダメージを相手に押し付けることができます。
要はこれを貼ってユベル名称モンスターで相手の高打点モンスターをどつくことで反射戦闘ダメージを相手に与えるのが【ユベル】の勝ち筋の1つとなるのです。
このためもしも【ユベル】と対面するときがあれば、基本的にモンスターを守備表示にしておくと良いでしょう。
《ナイトメア・スローン》
ぶちこわれNo.2。
発動処理で攻守0の悪魔をデッキからサーチあるいは破壊できます。またドロールケアだよ。
基本的にユベル関連のモンスターは攻守0の悪魔であるため、これらは全てサーチ可能。それ以外にも《暗黒の招来神》などにもアクセスできます。
そのため単純に初動になるカードとしてカウントできるわけですが、スローンに関してはデッキから破壊も可能なため、ユベル名称をデッキから破壊することでリンク値を伸ばすといった上振れ要素も。
初動・貫通・上振れを兼ね備えるカードというわけです。
デッキからスピリットを破壊すると、その効果でデッキからユベルをss。
そのままユベルとスピリットを戻し、《ファントム・オブ・ユベル》を出すことでこのカード1枚から誘発ケアが可能となります。
そのためスローンを誘発ケア札として他デッキに出張するのもよく見かけましたが、結局Gは止められないし素引きのユベルモンスターがあまりにも弱いので注意。
②によって展開時にユベルモンスターが1体ぶん増えるのでこれスタートだと展開がちょっと伸びます。
ちなみにですが、「ユベル」モンスターとは書かれていますが《ユベル》の名前は一言も記されていないのでこのカードはスピリットでサーチできません。お気をつけて。
《エターナル・フェイバリット》
”ユベル”モンスターを出すか、《ユベル》がいるときにチェーン可能な超融合するかを選べる罠です。
スピリットによって簡単に持ってこれる妨害罠なので、Gの止まりどころとしてはそれなりに優秀です。
ただ、盤面に《ユベル》がいないと超融合効果を使えないのがすこしネック。
超融合効果を使わなくとも、スピリットでセットしたこのカードでスピリットを一生帰還させ続けられるので一応継続リソースとも言えます。
が、このカードによってユベルを帰還させるとその着地時にお互い効果を発動することが出来ないので、チェーン1でこのカードを使いスピリットを蘇生してもその効果を使えないことは気をつけておきましょう。
融合モンスター
《ユベル-Das Ewig Liebe Wachter》
このカードのおかげでフィールドにいる効果モンスター全てをユベルと超融合出来るようになります。
こいつ自体はわざわざ狙って出す物でも無いですが、出たら出たで優秀な除去&ダメージ源になってくれます。
特にペインの強制攻撃効果と相性が良いですね。
《ファントム・オブ・ユベル》
ぶちこわれNo.3。
手札、フィールド、墓地から素材となる”ユベル”名称と攻守0の悪魔族をデッキに戻すことでチェーンブロックを組まずにエクストラから場に出てきます。
もう既におかしいのですが
・墓地のカードを使って無から生まれるリンク値である
・なぜかターン1がないので素材ある限り何回でも出せる
・デッキに戻すのでリソースが回復する
という点で強力。
そして特筆すべきは②の効果。相手モンスターが発動した効果を「相手はデッキのユベルモンスターを破壊する」に書き換えます。
つまり、《ファントム・オブ・ユベル》とは、無から突然生まれて誘発ケアが可能なカードということです。
ニビルを投げようと思っていたら、墓地融合でファントム登場。
メインフェイズ開始時、突然手札2枚がデッキに戻ってファントムが出現しGを投げられず。
誘発を投げて止まったと思ったら、余り物で融合したファントムで1妨害。
こんなことが頻繁におきます。
ユベル名称なので当然のように戦闘で破壊されず、場もちが良いというのも強力。リトルナイトのように戦闘でどかしてから展開するということを許してくれません。
レベルが9というのも偉く、スローンの効果とのシナジーやアンヘルになれるというメリットがあります。
弱点があるとすれば、本人が融合素材にできないというところくらいでしょうか。まあ出来たら本当にヤバいんですけどね。
豆知識として、②の書き換え効果はあくまでも書き換えているだけなので「効果を受けないモンスターの発動した効果」なども書き換えられます。
光素材アンヘルの除外効果などもちゃんと止めれるわけですね。
相性のいいカード・テーマ
はっきりいいますが、テーマカードのみで【ユベル】を構築するのはオススメしません。
なんでって?理由は2つ
・テーマの勝ち筋が反射ダメしかないから相手依存
・そもそも手数が足りてない
ぶっちゃけ、【ユベル】はカードパワーが飛び抜けているわけではありません。おかしいのはファントムだけです。
シンプルにテーマカードだけで構築すると分かりやすいマストカウンターや妨害数の少なさなどの弱点を突かれて簡単に負けてしまいます。
事実登場当初の【ユベル】はあくまでもファンデッキ的評価でしたし、ファントム登場後も結果を残したのは他ギミックとの混合構築ばかりです。
【破械】
ユベルの関連モンスターは全部悪魔族のため、《破械神ヤマ》をL召喚可能です。
ヤマから《破械神シャバラ》や《破械神シュヤーマ》をサーチできるので、余った悪魔×2からヤマを出して展開を強化することができます。
特に《破械神ラギア》は強力で、相手モンスターを素材に出来るマスカレーナとも言える性能をしており、これを出すことが可能なのも【破戒】ギミックを採用することによるメリットの1つです。
手札からSSしたシャバラを盤面に残すとラギアでリトルナイト出せなくなっちゃうから注意!
【デモンスミス】
言わずと知れた汎用ギミック。
デモンスミスについて良くわからなくてもとりあえず知っておいてほしいのは、「リンク値が3あればデモンスミスの展開につながる」ことと「デモンスミスの展開が通ればベアトリーチェが立つ」こと。
【ユベル】とは
・ロータス1枚でリンク値3が用意出来るのでナンナからスミスに繋げる展開ができる
・ベアトリーチェ&デスキャスターでデモンスミスからロータスにアクセスできる
という2点で親和性が高いです。
デモンスミス自体の捲りや手数性能はもちろんのこと、どちらのギミックも悪魔族で統一されているため他デッキと違い《群雄割拠》の影響を受けません。
余ったリンク数で《破戒神ヤマ》に繋がりやすくなるのもポイント。
シーザーやディエスイレといった強力な妨害モンスターを作るのに貢献し、先行盤面を更に強くしてくれます。素引きせずともデッキに採用するだけで盤面が強くなるので入れ得ギミックです。
《暗黒の招来神》ギミック
【スプライト】でも使われた招来神は【ユベル】においても優秀な初動になります。
単体でリンク値3のカードなのでデモンスミス展開に繋がるほか、ヤマを経由して《サモン・ソーサレス》からロータスに繋ぐこともできます。(注意∶デモンスミスかサモソがないと招来からユベルに繋がらないのでMDではどうなるかわかりません)←すいませんこれ嘘でした。破械ギミックをマシマシにするとベアトキャスターできるみたいです。
招来神自体が攻守0の悪魔であるため、ファントムの素材になることやスローンでサーチ可能なところもシナジーがあり、このデッキにおいては《七星の解門》③効果の条件をユベルモンスターによって満たすことができるというのも相性のよいポイントです。
ちなみに、《七星の解門》のサーチが強制のためドロール下では発動すらできない関係上、招来神よりも解門からスタートしたほうが誘発受けが良くなります。
その場合招来神から招来神がサーチできないので、かわりに招来からサーチ可能で追加召喚可能な攻守0悪魔が必要となります。
基礎展開
【ユベル】の基礎展開はとりあえずロータスから始まります。
ロータスが1枚初動であり、それを持ってこれる《ナイトメア・スローン》との計6枚が純粋な【ユベル】の初動です。
Dロータス1枚初動(破戒ギミック使用)
まずは普通にロータスをNSし、効果を使ってデッキから《スピリット・オブ・ユベル》を呼びます。
効果で《ナイトメア・ペイン》をデッキからセット。そのまま発動し、スピリットを破壊して《ヘルグレイブ・スクワーマー》をサーチ。
破壊されたスピリットの効果で、デッキから《ユベル》をSS。さらに場に悪魔族がいるので、スクワーマーもSSします。
このとき、スクワーマーの効果処理で《ユベル》を割ることでデッキからユベル第二形態を呼ぶことができます。
ここで、スクワーマーとユベル第二形態で《破戒神ヤマ》をL召喚。《破戒神シャバラ》をサーチ。
その後墓地の《ユベル》とユベル第二形態をデッキに戻してファントムを出します。これ以降は無限以外の誘発全部どうでもいいです。
墓地のスクワーマーの効果を使ってスピリットを蘇生、その後スピリットとヤマでデスキャスターをL召喚。
手札を捨ててもう一回スピリットを蘇生。
そしたら、手札のシャバラ効果でスピリットを破壊しSS。
その後スピリットと墓地のヤマ効果が起動し、デッキから先ほど戻した《ユベル》をSS。ヤマ効果で墓地からロータスを蘇生。
シャバラとロータスで《破戒神ラギア》をL召喚したらエンドフェイズ。
《ユベル》がいるのでロータスを自己蘇生。ユベルの維持コストとしてデスキャスターをリリースします。
最終盤面はファントム+ラギア+ユベル+ロータス、ペインとなります。
ちなみにもし採用していればシャバラの効果で破戒罠カードもセットできます。
とりあえずこの、「スピリット→ペイン→スクワーマーの動きが通ればファントム+リンク値3になる」ということを覚えましょう。
それができたら、あとはガチャガチャしてたら良い感じになります。
Dロータス1枚初動(デモンスミス使用)
ここからは【デモンスミスユベル】の話です。
途中まではさっきと同じで、ヤマを出すところを《閉ザサレシ天ノ月》にします。
最終盤面:大聖棺装備ディエスイレ、シーザー、ファントム(+ペイン)
合計4妨害となります。
最初から最後までファントムがいるので展開中常に1誘発をケアできています。
相手はどうせファントムしか殴れないので、シーザーとかディエスイレを横向きにしてライストケアとかもしてオッケーです。
Dロータス1枚初動(スミス使用 誘発ケアなし)
スクワーマーの蘇生をとっておくのがコツです。
最終盤面:ラギア+シーザー+ヴァルドラス(+ペイン)
ラギア→リトルナイトを何妨害ととるかにも寄りますが、妨害数は多めです。ファントムによる誘発ケアはできません。
あとこっちはキャスター使わないのでハンドコストがいらないのも偉いですね。
ただこの展開はユベルがヴァルドラスの下にいる都合でファントムからユベルがでてこなくて困ることがあります。
《暗黒の招来神》1枚初動(スミス使用)
スミス展開ができるとベアトリーチェが立つので、手札にユベル関連カードがなくてもロータスまで繋がります。
あとはまあラギアなりシーザーなりファントムでわちゃわちゃ盤面を作りましょう。
ただ、手札コストが2枚必要なのが結構終わってるっていう考えの人も結構います。まあわかる。
そういう人はヤマ効果でロータスを蘇生すると良いです。
ユベルの強点はこちら
ユベルモンスター特有の堅さ、粘り強さ
"ユベル"名称モンスターたちは戦闘で破壊されず、戦闘ダメージも0にし、効果で破壊すると別のユベルが出てきます。
そしてさらに《ナイトメア・ペイン》によってユベルへの攻撃強制とダメージ反射があります。
これが思ったよりも強力で、遊戯王の基本である「モンスターで殴ってライフを取ることで勝利する」ことを否定してきます。
なので普通のデッキはまずこのユベル+ペインの構えをなんとかしなくてはいけません。
とはいえ、ペインを剥がせばダメージはこっちに飛んでこないし、ユベルモンスターも破壊以外の除去でなんとかすればいい話ではあります。
ですが、ここで《ファントム・オブ・ユベル》が邪魔をします。
《トロイメア・フェニックス》や《S:Pリトルナイト》でペインを剥がそうとしても、その効果を書き換えられてしまうのです。
で、ファントムによる書き換えの結果でてきた《ユベル》の処理もまた大変…。
この"しつこさ"と"めんどくささ"が【ユベル】最大の特徴であり、他デッキにはないアイデンティティーとなります。
ちなみに【御巫】とやりあったら戦闘ダメージを0にするユベルの方が圧倒的に有利です。やったね。
ペインによるびっくりキル
《ナイトメア・ペイン》は相手モンスターにユベルをどつかせてダメージを反射するようなデザインになっているんですが、実はこっちからユベルでどついてもダメージが相手にとんでいきます。
例えば攻撃力3000の相手モンスターがいるとします。
ペインを貼った状態で、ユベルモンスターを3体並べて殴りに行くと3000×3回の9000ダメージ。相手は死にます。
この「対戦相手がユベルだとわかっていない対面に対するびっくりキルルート」が存在するのも、【ユベル】の強み。
別に相手モンスターを無理に除去せずとも、ペインの反射ダメという勝ち筋があるのです。
ファントムとかいうバカカード
え?なんですかこれ?w
なんで展開に使ったカードを二枚戻してリンク値が増えるのか?
なんでそのカードが妨害効果を持っているのか?
なんでそのカードが誘発も止めてしまうのか?
ロータス効果で出てきたスピリットに無限泡影を当てるじゃないですか。
え?なんでロータスとスピリットをデッキに戻して1妨害が立つんですか?
ファントムの効果を使わせたら次のターンはファントム使えないと思うじゃないですか。
え?なんでファントムで破壊したスピリットと出てきたユベルを戻してもう一回ファントムが立つんですか?
何で定価1430円の本についてくる特典カードが4000円するんですか?
なんでえ?
誘発耐性の高さ
【ユベル】は手札誘発に強いです。
《ファントム・オブ・ユベル》によって、手札のモンスター2枚を即座に誘発ケア札に変換でき、またファントムそのものが1妨害であること。
スローンや解門といった、初動モンスターに誘発を受けても貫通できるカードの存在。
ヤマやデスキャスターといったリンク値さえあれば手数を保証してくれる汎用悪魔リンクたち。
デモンスミスとかいう最強ギミック。
これらによって、うららやヴェーラーのようないわゆる単発の無効誘発を貫通するor受けたうえで妨害を作る能力が高いのです。
しかも、ドロール受けもかなり良いです。
ファントムがユベル関連魔法罠を「セット」できるので、ロータス初動ではペインのサーチまでドロールを受けないこと。
スローンがサーチだけでなくデッキから破壊もできるのでリンク値を供給してくれること。
ナンナからのスミス展開がドロールを受けずに妨害を作れること。
こういった各要素のせいでドロールを打っても妥協(?)盤面がとんでもないことになっちゃいます。
最終盤面の妨害数
これまでに紹介したように、ロータスやスローン、招来神や解門の1枚初動でユベルはめちゃくちゃ展開することが可能。特にデモンスミス以降はその傾向が強くなっています。
デスキャスターなどでハンドコストが必要とはいえ、盤面が出来上がれば相手を封殺するには十分なだけの妨害が並び、さながら展開系のよう。
それでいて、1枚初動の枚数は多くかつ手札誘発もたくさん積めちゃうわけです。だから強いんですね。
「1枚から展開系デッキ並の先行制圧盤面が作れる」のに「たくさんの1枚初動と貫通札、さらに誘発が積める」というのが、【ユベル】の強みです。
ユベルの弱点はこちら
Dロータスへの依存度の高さ
【ユベル】というデッキは強力な永続札である《ナイトメア・ペイン》に繋げるためにまずスピリットを出すことが何よりも重要になります。
そしてそれはスピリットを最も簡単に出せるロータスの重要度も高いということ。
即ち、ロータスへの妨害は【ユベル】へのマストカウンターであるということです。【ユベル】なのにユベルに繋がるのがロータスしかないんだから当たり前ですね。
ロータスのリクルート効果へのうらら。
デスキャスター蘇生に対するDDクロウやビーステッド。
ロータス着地時に無効誘発。(これはあんまりよくない)
これらによって【ユベル】の展開を高期待値で弱体化できます。
打点の低さ
ユベル及び関連モンスターの攻守は0です。
すなわち、《王虎ワンフー》で全て吹き飛びます。
また、《召喚制限ーパワーフィルター》のような変なメタカードも刺さります。こんなん貼るやつおるんかいな
それだけでなく、シンプルに展開の起点となるモンスター達のステータスがあまりにも低いので、リトルナイトやインスペクトボーダーのような妨害モンスター達を戦闘で処理してからメイン2に展開するということが難しいというのも弱点のひとつ。
さらにさらに、攻守0ばっかなので相手のライフをとれません。
能動的にライフを詰めようと思うとエクストラのモンスターに頼るしかありません。デモンスミス型ならEX枠もカツカツなのでそれすら怪しいです。
隙を見て後手からワンショット!みたいなことが【ユベル】は得意ではないのです。
手数が魔法罠に依存しがち
冷静に考えてみると、メインモンスターで手数になるのはスクワーマーしかいません。
あくまで【ユベル】の手数を保証しているのは《ナイトメア・スローン》と《ナイトメア・ペイン》、《七星の解門》などの魔法カードです。こいつらの効果でモンスターが増えてるんですね。
それはつまり、これらを封じられるのがきついということです。
《魔封じの芳香》や《魔法族の里》で封殺、あるいはフィールド魔法と永続魔法ばっかなので《醒めない悪夢》などでこれらを割られるのもつらいというわけです。
継続リソースはぜんぜんない
直近の強デッキが【炎王】やら【スネークアイ】なので感覚が狂っている可能性もありますが、それにしたって【ユベル】はリソースに富むわけではないです。
ファントムの書き換えでデッキのスピリットを割ってもでてくるのはただの《ユベル》です。
原罪宝のような、墓地に「放置すると負けに直結するやべーやつ」があるわけでもありません。(スミスはやべーけど即負け程じゃない)
で、それが結局どういうことなのかというと、捲り札がちゃんと機能するということです。
《拮抗勝負》《冥王結界波》などの捲り札は最近では「キルをとれないくせにリソースを奪いきれない」ので採用を見送られがちでしたが、【ユベル】にはちゃんと機能するという話。
しかもユベルの妨害はだいたいモンスターに寄ってるのでなおさら結界波が刺さります。
選択肢が多すぎる
これ、メリットでもあるんですけど今回はあえてデメリットとして書きます。【ユベル】は選択肢が非常に多いです。
たとえば、こんなハンド。
いきなり手札二枚使ってファントムを出し、Gやドロールをケアしても良いんですがそうすると解門で残りの手札どっちかを捨てなきゃいけなくなります。
一方で、ファントムを出さなければ解門のハンドコストとしてユベルを捨てることができますし、デモンスミスからロータスを落とすとか回りくどいことをしなくても良くなりますが代わりにGドロールが重くなります。
もっというと、相手がうらら無限って持ってたらファントムから入ると止まっちゃいます。
こういう「どの誘発をケアするかの取捨選択」を【ユベル】を使う上では常にしないといけません。
また別の話になりますが、展開例で見てもらったとおりロータス一枚からでもぜんぜん違う最終着地点が複数あります。
単純にエクストラの妨害モンスターをポンポンと並べるだけではなくて、どの妨害を立ててどの妨害を捨てるかという展開の取捨選択も【ユベル】は迫ってきます。
展開ルートを覚えるだけじゃ無くて、残りの手札や対面によってそのうちのどの展開を行うのが正しいのかを判断しなきゃいけないのです。
要は難しいんです。
【ユベル】とは結局なんなのか
【ユベル】ってこういうデッキ
厳密には、【ユベル】と【デモンスミスユベル】で特色が異なります。【炎王】と【炎王スネークアイ】みたいなもんです。
【ユベル】は
・ペインによる反射ダメを狙うミッドレンジ
・ロータスが9割のマスカン
・拮抗ガチやばい
【デモンスミスユベル】は
・【天威勇者】のように先行制圧盤面が強い
・複数の1枚初動を持ち、多量の誘発を積むスロットもある
・ファントムによる誘発ケア能力が高い
・結界波がバチクソ刺さる
共通項は
・ワンフーで全員即死
・墓地リソースはほぼない
といったかんじ。
ファントムの存在とペインのカウンターアタック以外は他デッキとあまり変わりません。
ただ、スローンやら解門といった「初動にもなるし貫通札にもなるし上振れにもなる」というカードのせいで、明らかに他のデッキよりも先行での安定感・貫通力が段違いです。
他のデッキと比べると…
ただ、さっき書いたように「別にテーマカードのパワーが高いわけではない」んですよ。
同じように「デモンスミスを初動兼上振れ札として使えてかつたくさん誘発も積めるデッキ」には他に【R-ACE】や【炎王スネークアイ】などがあり、最大展開できた場合はあちらの方がパワーが高いです。
誘発受けとかは置いといて、デモンスミスからデスキャスターで手札捨ててロータス蘇生するよりも、咎姫使ってノーコストでエクセル蘇生したほうが強いんです。
また、レスキューとか炎スネは拮抗結界波などの捲り札を重く受けないのに対して【ユベル】はめっちゃ重く受けます。
”そういうデッキ”なので、こういうカードを受けて負けた場合は仕方ないと受け入れなきゃいけません。
「誘発にめっちゃ強いけど捲り札にクッソ弱い展開系」が【デモンスミスユベル】なんです。なのでどうしても割り切りが必要です。
あなたが遊戯王のデッキに求めるポイントが「誘発受け」とか「安定性」「展開の最大値」「自由枠」とかであれば【ユベル】は非常にマッチしていると言えますが
もし「単体カードパワー」だとか「特定のカードで詰まない万能感」「展開後のリソース」「メタのすり抜け」とかを重視するのであればもしかしたら合わない…かもしれません。
MDでの【ユベル】
たぶんつえーよ
【ユベル】はワンフーとかで詰むし結界波とか拮抗まじ辛いって話をしたんですけど、マスターデュエルのようなシングル戦でそんなカード積んでる人いません。
やっぱりどんなデッキと当たるか分からないのがシングル戦なので、誰だってどんな対面にも使える汎用性の高いカードを積みたいものです。
それってどんなカードなの?っていうとやっぱりGやうららのような手札誘発なんですよ。
だから手札誘発に強い【ユベル】はシングル戦にマッチしているということなんですね。
あとはシンプルにユベルモンスターの耐久性能によってアトラクターとかも耐えれる点や、《ナイトメア・ペイン》を使った普通じゃないキル方法を採れるって言うところもシングル適正です。虚をつけるっていうのも大事な要素。
《PSYフレームギア・γ》強すぎ
対【ユベル】はメインフェイズの優先権でいきなりファントムが登場する可能性があるのでドローフェイズなりスタンバイフェイズにGを投げるっていうセオリーみたいなのがあります。実際G受けあんま良くないですしね。
でもマスターデュエルでそんなことしようものなら完全に《PSYフレームギア・γ》の餌食です。
そのガンマが二枚使えるマスターデュエルなら【ユベル】はもっと強いんじゃないか?という話です。
【デモンスミス】がきたら最強だけど
でも、デモンスミスがない【ユベル】は明らかにいろいろ足りません。
せっかくロータス一枚からリンク値3+ファントムになるのに、そのリンク値をうまく使えるギミックがありません。手数・初動枚数・展開力ぜんぶがパワーダウンです。
ただし、【デモンスミス】さえ来たら世界は変わります。
しかし、【デモンスミス】は別に【ユベル】だけの専売特許ではありません。
OCGでは【スネークアイ】【炎王スネークアイ】【R-ACE】【キマイラ】【破戒】などなど…いろんなテーマがデモンスミスを取り入れています。令和の【十二獣】です。
問題は、マスターデュエルに【デモンスミス】が実装されるまでにこの中で一体どれだけのテーマが生き残れるのかと言うことです。今でさえスネークアイ関連のカードはガッツリ規制されてますからね。【ユベル】も活躍次第ではどうなるかわかりません。
規制ある?
OCGではいまのとこ無規制だけど…
そう、紙の【デモンスミスユベル】は7月現在無規制です。環境最前線まっただ中です。
ただ、次の制限改訂でベアトリーチェがほぼ確実に禁止行きなんですよね。(そもそも7月改訂の制限が意味分からんけど、そういう意図とみなした)
そうなると【デモンスミス】が他テーマの初動としては使えなくなるのでだいぶ話は変わります。
じゃあ【ユベル】は規制されないのか?というとそんなことは無いと思います。ベアトが消えても《サモン・ソーサレス》からロータスを持ってこれますしね。
スミス→ユベルがなくなっただけでユベル→スミスは可能なわけで、パワー的な意味では大きくは変わらなさそうです。
規制するならスローン、解門といった初動兼貫通札の枚数規制か、ファントムの制限化といったところが妥当でしょう。
ま、実際にされるかどうかは環境での活躍次第です。
おわりに
お疲れ様でした。最後までお付き合いいただきありがとうございます。
長々と書いたんですけど、要するに【デモンスミスユベル】はめっちゃ強い展開デッキだけど【ユベル】はちょっとキモいだけの普通パワーなデッキってことです。【炎王】とか【スネークアイ】レベルを期待していた方は一旦落ち着きましょう。
ファントムで誘発ケアできるだとか1妨害作れるって言っても、そもそもデッキの出力が足りないんだから仕方ないです。
なので、デモンスミスが存在しない世界での【ユベル】をオススメできるかと言われると「うーん…」ってなっちゃいます。
で、【デモンスミス】についてがよくわかんなかったって言う方も多かったと思います。これは本当にごめんなさい。現在デモンスミスについて詳しく説明するnoteを個別で書いています。
そのうち上げますので、お手数ですがそっちを読んだ後にもう一回こっちを読んでいただけると嬉しいです。
では今回はこの辺で、失礼致します。
ところで、ほんとに《ファントム・オブ・ユベル》実装されるんですかね?
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?