きまいら【キマイラ】
はじめに
こんにちは。やまきゃです。好きな融合魔法カードは《魔玩具融合》です。
今回紹介するのは【キマイラ】と呼ばれるテーマです。
【キマイラ】とは?
遊戯王は2023年4月に12期となり、またシリーズ25周年という一つの節目を迎えました。そこで新たな種族「幻想魔族」が登場することになります。幻想魔族は原作にも登場していたので、節目に登場させるには丁度良いということなのでしょう。
その際に幻想魔族を擁する初のテーマとして登場したのが【キマイラ】です。
モデルとなったのは原作で闇遊戯が使用した《有翼幻獣キマイラ》およびその融合素材となる《幻獣王ガゼル》・《バフォメット》。
これらを現代でも通用するカードパワーにリメイクしたものが今回紹介する【キマイラ】というテーマであり、テーマ内融合を駆使して融合召喚を繰り返しアドバンテージをとることを特徴としています。
【キマイラ】の特徴
メインデッキのモンスターは「獣族」「悪魔族」そして「幻想魔族」の3種で構成され、融合モンスターの素材もこれらが指定されています。
テーマの核となるのは速攻魔法の融合である《合成獣融合》。自分相手ターンどちらも使えるこのカードを駆使して妨害とリソースを作ります。
【キマイラ】に採用されるメインデッキのモンスターは、融合素材にすることでアドバンテージを広げる効果であったり、素材となった後墓地にいることで妨害として機能する効果を持っています。
それでは各種カードについてみていきましょう。
主要となるモンスター
《大翼のバフォメット》
悪魔族レベル5のモンスター。
NS、SS時に獣レベル4とテーマ内融合である《合成獣融合》の2枚をサーチすることができます。
ただしこの効果を使うと融合召喚しか出来ない縛りがつきます。
レベル5であるため1枚では通常召喚できず単体初動とはなりませんが、このカードをなんとかして着地させて効果を通すことがひとつ【キマイラ】の基本戦術となります。なんせ2枚サーチですからね。
融合素材となった場合墓地の幻想魔族を蘇生できます。
幻想魔族を墓地へ送る手段としては融合素材にするほか、後に紹介する《幻獣魔王バフォメット》で落としたりこのデッキではベアトリーチェを作ることもできるのでその効果を使うことでも落とせます。
展開の序盤に混ぜる場合は蘇生先に乏しいことが多いですが、これらを使ったのちに融合素材とすることでより有効なモンスターを蘇生することができます。
このため【キマイラ】を使うときには最終盤面をどうするのかのイメージを最初から持っておくことも重要になります。
ガチでヤバいときだけこいつをデスキャスターで蘇生することがあります。
《幻爪の王ガゼル》
獣族レベル4のモンスター。
NS、SS時に悪魔族レベル5モンスターあるいは《合成獣融合》のどちらかをサーチ。単体初動とはなりませんが融合召喚に必要なパーツを集めることができます。
実際の所、動けるのであればこのカードが最も強い初動となります。
このテーマにおいて最も重要な《合成獣融合》をサーチすることができるのはバフォメットとこのカードだけです。
このカードから動いた場合、バフォメットから融合にアクセスしない=融合縛りがつかないのでアンヘルやベアトリーチェを使った盤面が可能となります。通ったときのリターンがでかいわけです。
融合素材となり墓地に行くと幻想魔族をサーチすることができます。
【キマイラ】というデッキは幻想魔族に優秀なカードが多く、この効果を通すことでより広く展開可能となります。
《ミラー ソードナイト》
幻想魔族のモンスター。
フリーチェーンで場にいる自身をリリースし、デッキから《合成獣融合》が書かれたカードつまりは《大翼のバフォメット》をリクルートできます。
このデッキにおいては融合を行うことそのものが初動の動きとなりますが、それを1枚で行える完全1枚初動のカードとなります。
相手ターンにも使えるフリーチェーン効果なのがミソで、相手ターンにこのカードをリリースしてバフォメットを呼ぶと言うことも可能となっています。
幻想魔族らしく(?)、戦闘でお互いのモンスターが破壊されない効果をもちます。ギリギリの勝負になったときにはライフカットを防いでくれるので覚えておくといいでしょう。
一方でリトルナイトなどの攻撃力が低いけど戦闘でどかさないといけないモンスターを処理できないというデメリットもあります。(3敗)
③は自分の《有翼幻獣キマイラ》がいるときに、相手フィールドのモンスターが効果を発動するとそれを無効にする効果。
フィールドにいても墓地にいても発動でき、除外して発動なので《墓穴の指名者》なども発動前に撃たなくてはいけません。相手モンスターを対象に取らないところもポイント。
逆に【キマイラ】を相手取るときにはチェーン隠しでフィールドのモンスター効果を守るように意識するといいでしょう。
そんな人いないと思いますが、このカードに《無限泡影》などの対象をとる無効を絶対に投げないように。
《コーンフィールド コアトル》
手札から捨てて《合成獣融合》の名前が書かれたモンスターをサーチできます。といっても、サーチ先はいまのところ既に紹介した《大翼のバフォメット》《幻爪の王ガゼル》《ミラー ソードナイト》の3種のみです。
他に融合素材となるモンスターがいない完全にこれ1枚のみの場合は《ミラー ソードナイト》をサーチ、そうでなく悪魔族や幻想魔族がある場合は《幻爪の王ガゼル》をサーチすることが多いです。
このモンスターもソードナイト同様に、戦闘でお互いが破壊されない効果を持ちます。
③は《有翼幻獣キマイラ》がいるとき、自分フィールドのカードを対象にとる効果を無効破壊する効果。ソードナイト同様場でも墓地でも使えます。
先行展開中に《無限泡影》などを受けても、場にキマイラと墓地にこのカードがあれば無効にできてしまうので、融合が通った場合はその後無効誘発を受ける心配がなくなります。
モンスターを守るほか、セットされている《合成獣融合》なども守ることが出来ることは覚えておきましょう。
融合モンスター
【キマイラ】の融合モンスターは皆場か墓地で《有翼幻獣キマイラ》として扱う効果をもちます。
この効果はテキスト外効果ではなく、きっちり《無限泡影》や《スキルドレイン》で無効にされるので注意しましょう。
《幻獣王キマイラ》
獣+悪魔で出せる融合体。
バフォメットが通れば勝手に素材は集まりますが、【キマイラ】というデッキ実は獣族にろくなものがないせいでガゼルを絡めないとうまく出せません。
②は融合時に発動し、エンドフェイズに相手の手札をランダムに墓地へ送ります。シンプルにアドバンテージ差を付けることが出来る良い効果ですね。
基本は融合素材となったガゼルなどの効果を通せるようにこの効果が最後になるようチェーンを組みましょう。(尤も、ガンマが致命的になるようであれば話は別ですが)
③は相手のターンに墓地から除外することで墓地の獣、悪魔、幻想魔族を蘇生できる効果。
用途としてはバフォメットを蘇生しさらにアドを広げたり、《深淵の結界像》を蘇生するなんてこともできます。また墓穴ケアなどにも役立つでしょう。
たまーに【ラビュリンス】が《ドラグマ・パニッシュメント》などで墓地に送っているのも見ます。
《幻獣魔王バフォメット》
獣・悪魔・幻想魔族のうち異なる2体で融合出来るモンスター。
《幻獣王キマイラ》より素材がゆるいので出しやすく、召喚権を吐きたい初動がないときや誘発ケアで《合成獣融合》を打ったときなどによく出てきます。
融合時に獣・悪魔・幻想魔族をデッキから墓地に送ることができます。この効果目的で出されることもしばしばあります。
例えば《大陰陽師 タオ》を墓地に送って幻想魔族を蘇生することもできますし、単純にコアトルなどを墓地へ送って妨害追加することも可能です。
《深淵の結界像》を墓地に送れば、《幻獣王キマイラ》で相手ターンに蘇生することもできます。
墓地での効果は、相手ターンに使える除外されている獣・悪魔・幻想魔族の帰還。
墓穴で飛ばされてしまったカードや効果を使ったソードナイト・コアトルの帰還が可能なほか、蘇生効果を使った《幻獣王キマイラ》を帰還させてソードナイトやコアトルの③をアクティブにすることもできることは覚えておきましょう。
《幻想魔獣キマイラ》
《有翼幻獣キマイラ》+幻想魔族1体以上という条件で融合出来るモンスター。《幻獣王キマイラ》も《幻獣魔王バフォメット》もこいつ自身も《有翼幻獣キマイラ》として扱うので、この素材指定は実質キマイラ融合モンスター+幻想魔族1体以上と読み替えて良いでしょう。
幻想魔族らしく戦闘をしてもお互い破壊されない効果を持ち、戦闘後に戦闘相手のモンスターを効果無効、攻撃力0にすることができます。
さらに融合素材にしたモンスターの数までモンスターに殴れるため、3枚素材で出して攻撃力1300以下のモンスターに殴りかかれば8000取り切れるようになります。4枚素材でだせば相手が何だろうとワンキルです。
リソースを広げきった後はこのカードを融合することでキルを狙えるというわけですね。
このためもしキマイラを相手取ることがあれば、自分のモンスターは横にしておくと良いかもしれません。
《ガーディアン・キマイラ》
皆が知ってるキマイラです。でも《有翼幻獣キマイラ》ではありません。
故にこいつがいてもミラーソードやコアトルの③は使えません。
相手ターンにはこのカードを《合成獣融合》で出して盤面処理&ドローで誘発などを引き込みます。
基本的に【キマイラ】はリソースの確保や制圧盤面を作ることはできますが、能動的に相手の妨害を行うのは《合成獣融合》で出すこのカードだけです。
《合成獣融合》にターン1はありませんが、このカードにはターン1があることには気を付けましょう(1敗)。
【キマイラ】と相性の良いカード
【キマイラ】は純構築をして残りを汎用カードで埋める、というデッキ構築があまり好ましくありません。
その最大の理由は、「初動に誘発を受けると妨害とリソースがかなり厳しくなってしまう」ためです。
テーマ内に誘発貫通札が乏しく、純構築ではうららやヴェーラー1枚で止まるといったことが少なくありません。
一回でも融合することが出来ればリソースを作ることができますが、融合すらできないという状況に陥ると何もできないまま負けてしまうということも多いです。
そのため【キマイラ】は他テーマと混合することで、ギミックによって手数と誘発貫通率を上げることが必須となるのです。
【ホルス】
【ホルス】は《王の棺》という永続魔法がある限りノーコストで墓地から蘇生できるという共通効果を持ったモンスター群です。
中でも《ホルスの栄光ーイムセティ》は自身+1枚を手札から切ることで、棺をサーチしながら1ドロー&自身は蘇生可能というハイスペックモンスターで、対戦相手からすると《灰流うらら》を打ちたくなること必至なカードです。
よってイムセティにうららを打ってもらい、本命の《ミラー ソードナイト》を通すというデコイの動きが可能となる組み合わせが【ホルスキマイラ】です。
もちろんイムセティが通るのであれば、ホルスモンスターの蘇生からランク8に繋ぎ《No.90 銀河眼の光子卿》などで誘発ケアも可能。仮にホルスしか引いてなくとも、《真血公ヴァンパイア》で初動を掘り当てにいくこともできます。
他にも細かいところでは【ホルス】モンスターの中には獣族であるドゥアムテフがおり、キマイラの融合素材を供給できるという点でも相性が良いです。
【烙印】
こちらも発想としては【ホルスキマイラ】に近いもので、うららを《烙印融合》に打つか《ミラー ソードナイト》に打つかの択を迫ることができます。
バフォメットによって獣族である《スプリガンズ・キット》をサーチ可能である点も相性が良く、素引きをせずとも片方のギミックからもう片方にアクセス可能であるところが優秀です。
《魔玩具補綴》と《エッジインプ・チェーン》
《魔玩具補綴》もエッジインプモンスターと《融合》の2枚サーチという分かりやすくうららを打ちたくなるカードです。
またサーチ先となる《エッジインプ・チェーン》も悪魔族でありキマイラ系統の融合素材になるほか、チェーンは手札から捨てたり融合素材にすることで《魔玩具補綴》をサーチできます。(たまーにリンク素材にしたりもする)
うららを受けてくれるのもそうですが、このデッキにおいては《融合》を持ってこれるという点も非常に強力です。
このデッキにとって最も苦しいことは一度も融合を通せないことですが、このギミックを採用することで融合できないという事態になりにくくなります。
イムセティはうららを打ちたくはなりますが別に融合魔法カードを持ってきてくれるわけではないんですよね。
《幻惑の見習い魔術師》
レベル6の幻想魔族。
手札を切りながらチェーンブロックを組まずに特殊召喚でき、着地時にデッキから幻想魔族をサーチできます。
【キマイラ】とはありえん相性が良いです。
《エッジインプ・チェーン》のようなカードを手札から切ることができ、かつ盤面に出てさらに初動となる《コーンフィールド コアトル》をサーチできます。
しかもガゼルの融合素材時効果でサーチ可能なため、初手になくとも後から持ってくることが可能となります。
このカード、特殊召喚成功時にアドバンテージを稼ぐ幻想魔族です。
実はこのカードが登場するまでは、幻想魔族にはバフォメットで蘇生する旨味のあるモンスターというのはぜんぜんいませんでした。
このカードの登場により、相手ターンに融合した際バフォメット②の蘇生が微妙になりがちだったのが改善されました。
闇レベル6ということで、光レベル4であるソードナイトとカオスアンヘルになることもできますし、幻獣王や幻獣魔王とランク6になれたりします。
大翼の効果を使わない場合は融合縛りがつかないので、このカードを素材に《永遠の淑女 ベアトリーチェ》などを作って結界像や《微睡の罪宝-モーリアン》などを落とすのが最近のトレンド。
《原罪のディアベルゼ》
幻惑と同時に登場した幻想魔族です。
②の効果が強力で、相手は一度セットしないと魔法罠カードを打てなくなります。
《強欲で金満な壺》などのメインフェイズ開始時にしか打てないカードはもちろん、《墓穴の指名者》《コズミック・サイクロン》などの速攻魔法を実質封じることができるのはかなり凶悪。結界像蘇生を安全に通せるようになります。
③の効果もけっこう強め。
魔法罠ゾーンにカードがセットされるのに反応して、お互いのカードを1枚ずつ破壊できます。
②のお陰で相手は魔法罠をセットせざるを得ないので、それによって誘発できるわけです。
実はセットはどちらのプレイヤーが行っても反応するので、自分がカードをセットできれば能動的にカードを破壊できます。
幻想魔族なのでガゼルでサーチ可能&バフォメットや《大陰陽師タオ》で蘇生可能です。なので融合展開が通る場合はけっこう出せます。
ティアラメンツ
あ、ちょっと。
いま「またこの人ティアラメンツで遊んでる…」とか考えませんでした?
違いますよ。今回は真面目です。
《幻惑の見習い魔術師》で《トリヴィカルマ》を捨てることができるし、シェイレーンで手札の《エッジインプ・チェーン》も墓地に送れます。
リンク数を稼ぎやすくなるので《クロシープ》を作りやすくなって墓地のソードナイトやガゼルも蘇生できるようになるんです。
当然《合成獣融合》で《ガーディアン・キマイラ》などを出すときに素材に混ぜれば妨害を追加できるようにもなります。
水族だからキマイラ融合モンスターの素材にできないけど嘘デッキじゃないんです!信じて!
【キマイラ】の基礎展開
キマイラの展開は非常に分かりやすいです。
必要なものは《合成獣融合》と融合素材となるモンスター。まずはそれを揃えましょう。
完全1枚初動となるカードは《ミラー ソードナイト》とそれをサーチできる《コーンフィールド コアトル》になります。
1枚初動からの展開
まずは《コーンフィールド コアトル》を手札から捨てて《ミラーソード ナイト》をサーチ。
《ミラー ソードナイト》を通常召喚。自身をリリースし効果を発動。デッキから《大翼のバフォメット》を特殊召喚します。
バフォメットの効果でデッキから《合成獣融合》と《幻爪の王ガゼル》をサーチします。
これで獣族・悪魔族・融合魔法の3枚が揃いました。
その後《合成獣融合》を発動し、バフォメットとガゼルを素材に《幻獣王キマイラ》を融合召喚します。
キマイラ、バフォメット、ガゼルの効果がそれぞれ誘発し、
・エンドフェイズに1ハンデス
・バフォメットによる墓地の幻想魔族の蘇生
・ガゼルによる幻想魔族のサーチ
を行うことができます。今回は墓地の《ミラー ソードナイト》を蘇生し、デッキから2枚目の《コーンフィールド・コアトル》をサーチしておきましょう。
最後に、《合成獣融合》は《有翼幻獣キマイラ》がいれば墓地から回収できるので回収して自分フィールドにセットします。
これで盤面には《幻獣王キマイラ》と《ミラー ソードナイト》およびセットされた《合成獣融合》があり、手札には《コーンフィールド・コアトル》がある状態です。
これ何ができるの?と疑問に思われる方も多いかもしれません。では相手ターンには何をするのかを見ていきましょう。
幻獣王のハンデスがあるので、相手は手札5枚スタートとなります。
まず面のソードナイトは相手ターンにも効果を使えるので、再びバフォメットを呼び2枚目の《合成獣融合》および《幻爪の王ガゼル》をサーチすることができます。墓地のソードナイトは融合体キマイラがいるとき相手フィールドのモンスター効果を止める効果を持っているので、これが1妨害となります。
面にモンスター2体、手札にも2体あるので《合成獣融合》で2破壊1ドロー、1破壊2ドローどちらの《ガーディアン・キマイラ》も作ることができます。
あるいは、相手が闇属性で展開するテーマでなければガーキマを出さず《幻獣王キマイラ》を混ぜて《幻獣魔王バフォメット》を作り、《深淵の結界像》を落とし《幻獣王キマイラ》の墓地効果で蘇生することでロックをかけるということもできます。
《幻爪の王ガゼル》+悪魔族モンスター(+ハンドコスト1枚)
次に2枚初動の展開を見てみましょう。もちろんガゼルはコアトルでもいいです。
今回の悪魔族はバフォメットくんとしましょう。
《幻爪の王ガゼル》を通常召喚。効果で《合成獣融合》をサーチ。そのまま発動します。
そのままバフォメットと融合し《幻獣王キマイラ》を融合召喚しましょう。
融合時にガゼルとキマイラの効果が誘発します。(このとき墓地に幻想魔族がいないのでバフォメットの効果は破棄します)
1ハンデスを予約し、ガゼルの融合召喚時効果で《幻惑の見習い魔術師》をサーチしましょう。
このままでも残りの手札にモンスターがあれば相手ターン《ガーディアン・キマイラ》はできますが、墓地にソードナイトがなくまた相手ターンに融合で素材に混ぜるカードも弱いのでもう少し展開することにしましょう。
墓地の《合成獣融合》をその効果で回収後、コストを切って見習い魔術師を特殊召喚します。その効果で《コーンフィールド コアトル》をサーチし、そのままコアトルで《ミラー ソードナイト》をサーチしておきましょう。
回収した《合成獣融合》を再び発動し、こんどは《幻獣王キマイラ》と《ミラー ソードナイト》で《幻獣魔王バフォメット》を融合します。
すると、バフォメットの効果でデッキから《大陰陽師タオ》を落とすことができます。タオの効果は墓地の幻想魔族を蘇生できるので、ソードナイトを蘇生しましょう。
その後ソードナイトの効果を使いデッキから《大翼のバフォメット》をSS。2枚目の《合成獣融合》と《幻爪の王ガゼル》をサーチできます。
これで最終盤面は《幻惑の見習い魔術師》《幻獣魔王バフォメット》《大翼のバフォメット》とサーチ後にセットした2枚目の《合成獣融合》となります。
できることはほとんどソードナイト1枚初動の時と同じですが、今回は融合した際に幻惑をバフォメットで蘇生することで後続をサーチ可能になります。
もう少し展開を強くしたい場合は、ソードナイトの効果を使う前に見習いと魔王バフォメットで《永遠の淑女ベアトリーチェ》を作ることもできます。
重要なことは
・《合成獣融合》で相手ターンに融合出来るようにすること
・融合の際には《幻爪の王ガゼル》《大翼のバフォメット》を混ぜれるように
・面に《有翼幻獣キマイラ》として扱える融合モンスターと墓地にソードナイトやコアトルを置いておく
こういった点を抑えておけば【キマイラ】の展開はイメージしやすいでしょう。
【キマイラ】の強み
融合による展開の最低保証
単純な1枚初動となる《コーンフィールド コアトル》=《ミラー ソードナイト》を持ちながら、それらは結局のところ融合魔法と融合素材を揃えるためのカードです。
つまりは融合素材と融合魔法を最初から持っているなら、これらに頼る必要はありません。
基礎展開で紹介したとおり、ガゼルやバフォメットを混ぜる融合を行うことが出来ればこのデッキは多量のアドバンテージを獲得することができます。
加えて《合成獣融合》はキマイラがいれば墓地から回収可能なため、基本は融合さえできれば最低でも相手ターンに《ガーディアン・キマイラ》を出す準備が整います。
そのため、たとえ《増殖するG》を打たれたとしても早めに展開を止めることができます。
このように融合を行うのに決まりきったルートというのは存在せず、また融合をすることができれば最低限度のリソースと妨害を確保できるのが【キマイラ】の強いところ。
もちろんその上でディアベルゼや結界像による上振れ展開も可能となっています。
純粋なアドバンテージ獲得能力
バフォメットが単純に2枚サーチするのはもちろんのこと、メインギミックのモンスター達がどれも融合素材となればアドを取ったり相手の妨害をするカードばかりとなるので、単純に融合しているだけでも勝手にアドバンテージを取っていくことができます。
《合成獣融合》自身も墓地から回収する効果が付いており、融合さえできればリソースが途切れることがありません。
相手ターンにも融合ができることから、アドバンテージを獲得する機会が普通のテーマよりも1ターンぶん多いのも特徴的です。
勿論《ガーディアン・キマイラ》のドロー&破壊も忘れてはいけません。
こういったアドバンテージ獲得能力を駆使してカードアドバンテージの差で勝利するのが【キマイラ】の得意な戦法となります。
《合成獣融合》による誘発や除去回避能力
メインフェイズ限定とはいえ速攻魔法である《合成獣融合》によっていつでも場のモンスターをどかすことができるため、対象をとる効果を避けやすいのも【キマイラ】の特徴です。
先行展開においては《合成獣融合》(と素材となる他のモンスター)を素引きしていれば、《大翼のバフォメット》などに対する《無限泡影》や《エフェクト・ヴェーラー》を回避できます。
さらに《合成獣融合》は1ターンに何度でも使うことが可能のため、持っていれば持っているだけこのサクリファイスエスケープが可能です。
融合テーマ特有の高い後手性能
融合テーマはだいたい後手性能が高いです。
理由は単純で、エクシーズやシンクロ召喚と異なり盤面に素材となるモンスターを並べる必要がないからです。
【キマイラ】も【烙印】や【ティアラメンツ】同様、0から盤面にモンスターを出力することが可能なのでそのぶん後手の手数が保証されています。
しかも先述のように《合成獣融合》が速攻魔法である故に、妨害を避けて《ガーディアン・キマイラ》などのモンスター効果を通しやすくなっています。
さらに【キマイラ】は相手に攻撃表示モンスターが1体いればキルを狙うことができます。
《幻想魔獣キマイラ》による最初の攻撃で相手モンスターの攻撃力を0にできるので、そのモンスターをどつき倒せばいいからです。
しかも1体モンスターがいれば他に何体どんなモンスターがいても関係なくキルできます。幻想魔族の「戦闘でお互いが破壊されない」という個性がここで活きてくるわけですね。
【キマイラ】の弱点
誘発を受けて融合ができなくなる
これがかなり致命的です。
例えばソードナイトの効果にうららを受けた場合。
バフォメットを出せないのはもちろんのこと、単純に盤面からモンスターがいなくなるため仮に《合成獣融合》を素引きしていたとしても相手ターンに《ガーディアン・キマイラ》を出すことすらできません。
融合を素引きしていない場合、《幻爪の王ガゼル》の通常召喚などに無効を食らえばそれだけでも止まってしまいます。
結局のところこのデッキは融合魔法カードに触れるかどうかが全てと言っても過言ではありません。
手札誘発によってそのアクセスを断たれてしまうと、それだけで敗北するデッキなのです。
メインフェイズ以外での展開、除去
《合成獣融合》はメインフェイズにしか打てません。
よってスタンバイフェイズなどに《コズミック・サイクロン》などで《合成獣融合》を抜かれたり、バトルフェイズにビーステッドなどが出てきて戦闘で面のモンスターを処理されたりすると《ガーディアン・キマイラ》を立てるタイミングがなく、途端にきつくなります。
もちろん、《超融合》で面のモンスターを消されるのもかなりきついです。
【キマイラ】の妨害は基本的に《ガーディアン・キマイラ》の破壊に大きく頼っているので、それを阻害されるだけでもけっこう苦しいです。
墓地メタ
融合テーマの宿命です。
融合素材となったモンスターが墓地で効果を発動してアドバンテージをとる関係上、墓地での効果発動を封じられたり墓地へカードが送れない状況にされるのがとても苦しいです。
《合成獣融合》にチェーンして《ディメンション・アトラクター》を打たれる場面を想像してみてください。全てを失います。わァ…
【キマイラ】は素融合からの《ガーディアン・キマイラ》が可能なため、《次元の裂け目》や《マクロコスモス》で完全に詰むといったことはありませんが《クシャトリラ・アライズハート》《M・HEROダーク・ロウ》のような展開のついでに墓地メタ系を作ることができるデッキは【キマイラ】に対して有利に戦えるでしょう。
《ドロール&ロックバード》
【キマイラ】を対策するには?
とにかく融合をさせない
当然の話ですが、【キマイラ】は融合にパワーが寄っています。
ゲームをするには融合召喚を行って、ガゼルのサーチやバフォメットの蘇生をしないといけません。
見習い魔術師+ソードナイトで光闇素材のアンヘルを作れるといってもそこから後が続くことはないですし、《S:Pリトルナイト》などのリンクモンスターも同様です。
融合をしないと後続というものが一切生まれません。
つまり【キマイラ】を対策するにあたって最も効率がよいのはそもそも融合をさせないことです。
《融合禁止エリア》や《次元障壁》…とはいかないまでも、妨害や誘発を基本的に融合にアクセスするカードないしは融合そのものに当て続けることで【キマイラ】相手には有利に立ち回れます。
捲り札は少し微妙?
【キマイラ】の最終盤面はそれなりに妨害の位置が散っています。
盤面に置いてある《深淵の結界像》や《原罪のディアベルゼ》といった制圧モンスターとは別に、墓地にある《ミラー ソードナイト》《コーンフィールド コアトル》と後ろに《合成獣融合》も控えています。
面のキマイラをどかせばソードナイトとコアトルは黙りますが、墓地の幻獣魔王などで再び出力もできます。
それ故に《サンダーボルト》や《ハーピィの羽根帚》のようなシンプルな捲り札はそれほど有効とは言えません。無駄でもないですけどね。
ディアベルゼによって《拮抗勝負》のような手札から直打ちできる罠カードや速攻魔法カードを防がれるのも捲り札が微妙に感じる理由です。
なによりも【キマイラ】というデッキがアドバンテージの物量で戦うデザインなので、妨害を剥がすというよりはリソース差を埋めることを考えたいです。
手数でがんばる
キマイラ相手には手数で押しきるのが有効です。
なんだかんだ言って、基礎展開では妨害と呼べるものはソードナイトとガーキマだけしかありません。
2枚目3枚目の《合成獣融合》があると《マグナム・ザ・リリーバー》や《捕食植物ドラゴスタペリア》などが出ることもありますが、それも結局単一の妨害になります。
そういう理由もあって、結界像やディアベルゼの影響を重く受けないデッキであれば手数全振り系でなくともキマイラの盤面を突破するのはそれほど難しくありません。
とはいっても、キマイラ側は融合する過程で多量のアドバンテージを獲得できるのでターンを返すと捲り返される可能性が高いです。できるなら蓋するよりもキルするように意識しましょう。
マスターデュエルでの展望
理不尽な制圧が可能=シングル向き?
《深淵の結界像》+《原罪のディアベルゼ》はだいぶ理不尽です。
闇属性以外のモンスターを特殊召喚できず、速攻魔法や《拮抗勝負》《無限泡影》は使えない。たとえモンスターを召喚して結界像を戦闘破壊しようとしても、《合成獣融合》からの《ガーディアン・キマイラ》で防がれます。
結構真面目に対策が出来ません。
SSできる闇属性のモンスターが入っていないデッキであれば普通に詰みます。
【キマイラ】は純粋なミッドレンジデッキでありながら、このような理不尽な制圧”も”可能であるという点にシングル戦適正を感じます。
安定性に難あり
とはいえ、【キマイラ】はシングル戦に求められる要素の1つである安定性に欠けるところがあります。
《合成獣融合》への依存度が高いテーマでありながら、それをサーチできるのはガゼルとバフォメットだけしかいません。
この2枚へのアクセス手段は多いものの、この2枚への妨害がマストカウンター気味であることには変わりありません。
毎回《合成獣融合》を素引きできるなら問題ありませんが、そんな都合のいい話はありません。
いつも《VSラゼン》を素引きできるならみーんな【VS】を使います。
しかもただ融合を素引きすれば良いというわけではありません。
融合先である《幻獣王キマイラ》《幻獣魔王バフォメット》はそれぞれ「獣+悪魔」「種族の異なる獣・悪魔・幻想魔族×2」といったふうに素材に指定があります。
つまり悪魔+悪魔のような手札の場合は融合を行うことすら出来ないのです。(いちおうガルーラは出せるんですけど、だから何という話で…)
そういう訳で、実のところ【キマイラ】は展開出来るかどうかが結構シビアな場面が多々あります。
机上論だと初動枚数は多い方なのですが、良い噛み合いをしないとダメだったり誘発を重く食らったり…ということが少なくありません。
強いときは強いけど、負けるときはあっさり負ける。【キマイラ】はそんなデッキです。
結局【キマイラ】はどんなデッキ?
【キマイラ】とは…
・完全1枚初動がある
・メインギミックを引くことで手数で誘発貫通出来る
・1回でも融合さえできれば妨害とリソースができる
・融合時のアド稼ぎが強くロングゲームも対応
・上振れれば結界像などで理不尽な盤面も作れる
・Gを受けても簡単に止まれる
・融合連打によって後手も手数がある
という感じのミッドレンジデッキです。
一方でいくつかの弱点があり…
・《合成獣融合》にアクセスできないと弱い
・誘発が重い手札のときもある
・妨害数自体は多くない
・墓地メタがきつい
・ドロール
・事故る
これらを容認できない人にはあまりお勧めできないかもしれません。
特定の融合素材となるモンスターを素引きするかサーチしなくてはいけないという関係上、どうしても初手5枚の内容で誘発ケアの可否や出力が大幅に変わってしまいます。
ざっくりいうと、「運の良い人が使うとめちゃくちゃ強いデッキ」と言えてしまうのです。
それでもうまくハマった場合のパワーは目を見張るものがあります。
多少の事故は目をつぶってでもパワーのあるデッキを使いたい人や運に絶対的な自信がある人はぜひ【キマイラ】を触ってみてください。
おわりに
今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。
【キマイラ】は今後も強化が期待できるテーマです。
新しい幻想魔族や優秀な悪魔族が登場するたびにそれらを取り込んでより強力なデッキになれる可能性があるからです。
そういう意味では、早めに組んでおくのもぜんぜんアリだと思います。
めっちゃ強いデッキ!とは言いきれませんが、環境レベルでも十分闘える良いデッキであることは間違いないです。
結構プレイングが大事なので、遊戯王というゲームの練習にもちょうどよいです。
それじゃ、今回はこのへんで。また次回~。
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