ティアラメンツ症候群(あるいは呪い)について
はじめに
こんにちは、やまきゃです。
この記事を開いた皆さん、あるいは皆さんの周りにこんな気持ちを抱いている方はいないでしょうか?
「今使っているデッキのパワーが低く感じる」
「誘発で展開が止まってしまうのがストレス」
「結界波や拮抗のような雑な捲り札を食らって負けるのが許せない」
どれも遊戯王をやっていれば自然と感じることがありそうな内容ですが、特にここ最近そう感じることが多いという人。
もしかして、【ティアラメンツ】を使っていませんでしたか?
もしそうなら、あなたはひょっとしたらティアラメンツ症候群にかかってしまったのかも知れません。
なにそれ、と思われた貴方のためにこれから説明していきましょう。
ティアラメンツ症候群って?
ティアラメンツ症候群。
端的に言うと、【ティアラメンツ】を使った後に他のデッキを使うと物足りなさを感じてしまい結局ティアラメンツ使うか~となってしまう症状のことです。
具体的には、ティアラメンツが規制されて他のデッキを使ってみるものの、1枚や2枚の誘発で展開が止まってしまう、先行展開しても壊獣などで簡単に捲られてしまう、後攻をとったら誘発なくて捲れもしないといったことがあったときに「まあ仕方ないよね」で片付けることが出来ず、「なんでこんな目に遭わなきゃならんのだ」と憤りを感じてしまうのです。
そしてその憤りを払拭するために試行錯誤した結果、今使っているデッキを過小評価してしまい、酷いときにはナーフされたにもかかわらず【ティアラメンツ】を使ってしまうという現象が起きてしまいます。
ティアラメンツを使い込んで理解度が高まった人間ほどこの症状に陥りやすく、またのめりこみやすい性質があります。
どうしてそんなことに?
それは【ティアラメンツ】に取り憑かれたからです。
一度でも触った人なら分かると思いますが、あのデッキはスクリームやサリークといった永続カードで無限にアドバンテージを取り続けられるため《灰流うらら》や《エフェクト・ヴェーラー》、《無限泡影》といった誘発を受けてもぜんぜん平気であり、なによりアギドやケルベクが落ちれば全てを貫通できてしまいます。
そのうえ先行展開が通ればモンスター、魔法罠に加えて手札と墓地に豊富なリソースがあり、多少の捲りカードで盤面を返されても詰みの状況を回避できます。
そして何より、後攻でもアギドとケルベクさえ通してしまえば圧倒的な物量でどんな相手でもけちょんけちょんにできてしまいます。
つまり【ティアラメンツ】は誘発効かない捲られない後手捲れると3拍子揃った遊戯王における様々なストレスから解放されたデッキだったのです。だから規制されたんだヨ。
しかし一度そのパワーを体感してしまった以上、この成功体験は放置したシンクの水垢のように頭にこびりつきます。
制限改訂により一度【ティアラメンツ】を手放して他のデッキを使ったとしても、どうにもモヤモヤした気持ちが拭えません。
いざデュエルになると「ティアラなら貫通出来てたな…」とか「ティアラなら捲られてないんだよなぁ…」、「ティアラなら捲れてたんだろうなあ~」という発想がついつい浮かびます。
もちろん冷静に考えればティアラも誘発を受けて止まることもありますし、ティアラはアトラクターを重く受けるといった他デッキとの差別化点があるはずなのですが、本人はそのことに気付くことなく気付いたとしても「でもパワー高いから」とどこか納得させてしまいます。
結局今使っているデッキをなんとなく「弱い」と決めつけてしまい、冷静に環境把握や相対的なデッキパワーの認識ができなくなってしまうのです。
それというのも、すべては【ティアラメンツ】の高すぎるパワーに慣れきってしまったからです。
依存性の高さ
たちが悪いのが、ティアラメンツは規制される度に新しいプランが開発され、まだやれるんじゃね?な雰囲気をかもしだしてくるところ。
【ティアラメンツ】はサーチ、リクルートを繰り返す他の展開デッキと違い墓地リソースをやりくりして展開するデッキのため「墓地を増やすカード」と「墓地に落ちたら展開できるカード」を取り込むことで特定のカードが規制されても多少のリペアが効いてしまいます。
実際OCGのティアラメンツは
「キトカロス禁止ティアラ終わった!→生存」
「メイルゥハゥフケルベク制限ティアラ終わった!→生存」
と規制を受けても形を変えて何度も復活し続けてきました。
なまじそんな実績があるせいで多少規制を受けても「これをとりこめばまだやれるんじゃね?」みたいな発想が浮かんできます。
しかもティアラメンツのパワーが高すぎてそれなりにやれてしまうので、いつまでたってもティアラメンツのことを忘れられません。
ここまでくると、これはもう呪いの類です。祓わなければなりません。
目的と手段が入れ替わる
こうなると末期です。
過去の経験からティアラメンツが最も強いという先入観にとらわれて、勝つためにティアラメンツを使っていたのにティアラメンツを使うことを目的にしてしまうのです。
そうなるとだんだんと墓地へ送るカード、墓地を増やすカード、墓地で効果を使えるカードが全て強く見えてきて、冷静な判断がつかなくなります。
そして出来上がったデッキを実戦で試して、複数誘発にボコボコにされて一からやり直しということをひたすら繰り返します。
この症状は自分では気づけない、認めたくないといったことが多く、この段階まで陥ってしまうと自力で抜け出すのは難しくなってしまいます。
対処方法は?
忘れること
忘れられるなら、それが一番良いです。
【ティアラメンツ】なんてなかった、そんなデッキは知らない。そう思えるのならあとは時が解決してくれるでしょう。
ですがそんな簡単に忘れられるならこんな症候群と呼んだりしません。依存性が高く、なかなか抜け出せないからこそシンドロームなのです。
高いパワーのデッキを使う
ティアラメンツのことが忘れられないのは、その高いデッキパワーで他デッキを駆逐した成功体験からです。
ならば同じように高いパワーで他デッキを蹂躙することができれば、その体験を上塗り出来るかも知れません。
そんなデッキあるのかって?
ん~~~~~
いっそのこと添い遂げる?
のも良いかもしれません。実際そういう人が多かったからこそ【ティアラメンツ】は長期間環境に君臨しつづけたとも言えます。
しかし趣味でやるならまだしも、勝つことを目的に【ティアラメンツ】を使うというのはかなり難しくなりました。
アギドケルベクの禁止はティアラメンツから安定性と爆発力の両方を奪い、先行では大した妨害もリソースも作れず、後攻では妨害を踏む手数もないデッキとなってしまいました。
墓地を増やすカードや墓地に落ちたら強いカードは他にいくらでもあるのですが、アギドケルベクのような先後どちらでも強く誘発受けも良いカードはまずなく、どれもこれもムラのあるカードばかりで実践向きとはとても言えません。
しかも勇者やホルスのような墓地ギミックと相性の良いテーマを混ぜたところで、それらと組み合わせるテーマの最適解は本当に【ティアラメンツ】なのかは甚だ疑問です。そのデッキは本当にティアラメンツなのでしょうか?
だれか良いプラン思いついたら教えてください。
新しいデッキに触れてみる
これが一番良いと思います。ティアラメンツから一旦離れるという意味でもです。
納得いかないことがあるなら、納得のいくデッキを探しましょう。
でもそんなデッキあるわけなくない?と思われるかもしれません。
でも重要なのは、その過程なのです。
ティアラメンツの幻影を追って次々にデッキを試していくうちに、自分が今プレイしている遊戯王のパワーラインに気づいていくことでしょう。
自分の使っているデッキが本当に”弱い”のかどうか、【ティアラメンツ】なら勝てたのかどうか、自分の脳にバイアスがかかってないのかどうかといったこと。
この症候群の根本的な問題は【ティアラメンツ】が最強であるという妄執と、他のデッキが弱いという思い込みです。それさえ打ち砕ければこの呪いは解けます。
もちろん自分が納得できるデッキを見つけることができるならそれはそれで良いですからね。どう転んでも最後には解決するというわけです。
誰にだって起こりうる
今回紹介したのは【ティアラメンツ】が原因となるシンドロームでしたが、別にこんなものは誰だってなんだって起こりうるものです。
過去ティアラメンツと同様に、「その時代では明らかにカードパワーが逸脱しており、多少の規制をされても使い続けることができた」テーマはたくさん存在します。【征竜】とかね。
その中でも【ティアラメンツ】は特にパワーの高さもしぶとさも上位なのでなおさら依存しやすいわけです。
皆さんが使っているテーマもそうならないとは限りません。
ある日突然とんでもないパワーカードを渡されて環境を席巻し、瞬く間に規制されるなんてこともぜんぜんあるでしょう。
長く使い続けたり、思い入れがあればあるほどいざその時がきた時に深くのめり込むものです。人間なら誰だってそうなります。
そうなってしまったときは、一歩離れて時間を置くことでうまくいくこともあるでしょう。
おわりに
今回はサクっと終われました。
色々言いましたが結局大事なのは自分の中でどう折り合いをつけるかどうかです。
きっぱりと別れを告げる、ずるずると依存し続ける、どっちが良いとか悪いとかはありません。だってたかがカードゲームの話ですから。
でも自分の中で納得がいかない、不満がある、認知が歪むなどはゲームプレイに支障をきたす恐れがあります。そういうのはよくないですよね。
楽しく遊戯王をするためにも、一度自分の内面と向き合ってみてはいかがでしょうか。
ちなみに僕はティアラの構築毎日考えてます。ばか。キトカロスかえして。
今回はこのあたりで、お疲れ様でした。
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