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人類悪=深淵

はじめに

こんティアラ。やまきゃです。好きなドラゴンはNo.107 銀河眼の時空竜です。
以前のnote読んでくれた方ありがとうございます。いいねや感想をもらえるとやる気が出てきます。

少し昔話をしましょう。2022年7月、基本ブースターであるダークウィング・ブラストが発売されました。

表紙はブラックフェザー・アサルト・ドラゴン。このパックでは過去の人気テーマである【BF】に焦点を当て、様々なアプローチでの強化がされました。特に目を引くのは《BF-無頼のヴァータ》によるデッキのモンスターを素材にしたシンクロ召喚と、テーマ内ですら利用価値が薄かったブラックフェザー・ドラゴンに採用意義を与えた《ブラックフェザー・アサルト・ドラゴン》の存在でしょう。
これらのカードの実装により、【BF】は低い要求値でもかなり展開が伸びるようになり、当時の【イシズティアラメンツ】1強環境でもワンチャン戦えるのでは無いか?と期待を持たれていました。10月の規制も控えてましたしね。

ところがどっこい、そうはなりませんでした。
むしろ環境は多様性という意味では悪化の一途を辿りました。なぜなら規制されるはずの環境上位の【ティアラメンツ】、【スプライト】にも新規強化がきたことに加えて、【深淵の獣】、【クシャトリラ】といった新テーマが台頭してきたからですね。

そのうえこの【クシャトリラ】【深淵の獣】カードパワーがやたらと高い上に汎用性の高いカード群であったため、これらをうまく使えるテーマはデッキパワーを上げることが出来ましたが、これらと相性の悪いテーマ、採用が難しいテーマは相対的に苦しい立場となりました。
そして何よりも、【深淵の獣】は相手を妨害するだけで無く、特定のテーマの動きを阻害するという特徴を持ち合わせていました【BF】は【ティアラメンツ】と同じく彼らの恰好の的であり、苦しい立場に置かれたというわけです。

今回はこの【深淵の獣】、ビーステッドについてお話しましょう。ヤツらの影はすぐそこに迫っています。

※注意! このnoteには【深淵の獣】に対する批判等が含まれています!
不快に思われる方はブラウザバック&自らの過去の罪と向き合うことを推奨します。

【深淵の獣】とは?

ビーステッドは完全新規テーマという訳では無く、烙印ストーリーの派生テーマです。よって【烙印】とも相性が良くなるようデザインされています。そのため”烙印”名称を指定するカードもテーマ内に存在します。

特徴はレベル6ビーステッドの共通効果光、闇モンスターを自分か相手の墓地から除外し、手札から特殊召喚できます。何を狂ったのか、相手のモンスターがいれば起動効果からフリーチェーン効果になります。これにより、光、闇属性のテーマモンスターを墓地から蘇生したり、墓地から回収したり、あるいは墓地から除外して効果を発動するテーマは深淵の獣によってその動きを展開のオマケに阻害されます
ステータスも2500/2000と高水準で、並べて殴るだけでも十分強いレベルです。

長々と書くので、要点だけまとめて見たい人はスクロールしまくってまとめだけ見ていただければ大丈夫です。

主なテーマカード紹介

《深淵の獣ルベリオン》

こいつは”ザ・ビーステッド”と読みます。特別なんでしょうね。
①によりこのカードを墓地に送りつつデッキからルベリオン以外のビーステッドモンスターをサーチできます。つまり、このカード一枚あればレベル6のドラゴン族が何の条件も無く、コストもなしで特殊召喚できることになります。そんなカード今までありましたっけ?

特殊召喚モンスターであり、手札、墓地にあれば自分のドラゴン族をリリースして特殊召喚できます。よって《混沌領域》でサーチ可能です。
リリースするモンスターはレベル6以上の闇ならビーステッドじゃなくてもいいので、《混沌魔龍カオス・ルーラー》などもリリースできます。

起動効果でデッキから「烙印」永続魔法罠を自分フィールドに置くことができます。置く、なのでうららも打てません。後述しますが、この効果で置けるカードはこのテーマのリソース確保、妨害を担っておりとても優秀です。

《深淵の獣マグナムート》

共通効果をもち、②効果で着地時に発動、エンドフェイズにデッキか墓地から同名以外のドラゴン族をなんでもサーチします。
つまり、①で相手の動きを阻害しながら着地、②で後続を持ってきながら、盤面で2500打点のドラゴン族として活躍します。何をいっとるんだお前。

②は特殊召喚成功さえすればいいので、何らかの手段で蘇生すれば毎ターン使用可能ですし、なぜか墓地から回収も出来るのでリソースの回収も可能です。

《深淵の獣サロニール》

共通効果と、②は墓地に送られることでデッキからビーステッドモンスターまたは「烙印」魔法罠を墓地に送りますどこから墓地に送られても効果を発動出来るので、おろかな埋葬やカオスルーラーからでも効果を使えます。
烙印魔法罠は墓地で効果を発動するものも多いですし、ルベリオンを墓地に送れば蘇生もできます。
展開補助カードでありながら、①効果で妨害という側面もあるカードです。

《深淵の獣ドルイドヴルム》

共通効果に加え、フィールドから墓地に送られると相手の特殊召喚されているモンスター1体を対象にとって墓地送りができます。自分で墓地に送っても良いので、リンク素材にしたりルベリオンの蘇生コストにするだけで一体処理になります。墓地送りなので破壊耐性も無視できますし、墓地発動なのでスキルドレインなどもすり抜けられます。
当然相手に処理されても効果を発動出来るので、壁役としてはとても優秀です。

《深淵の獣バルドレイク》

共通効果を持ち、相手の儀式、融合、シンクロ、エクシーズ、リンクモンスターの特殊召喚に反応し、自分の他の光、闇モンスターをリリースしてその特殊召喚されたモンスターを除外します。
コストに自分の光、闇モンスターを要求するので使いづらさが目立ちますが、このカードともう一体がいるだけで相手にとってはプレッシャーになります。その状況になれば強いが、そうでないときは弱いカードです。

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《復烙印》

リソースの塊です。
①で光闇モンスターの除外に反応し、そのモンスターをデッキに戻してドロー。除外されるカードは相手でも自分でも構いません。除外さえされれば《墓穴の指名者》だろうと《次元の裂け目》によるものだろうと発動出来ます。
②で相手モンスターの召喚特殊召喚に反応して墓地からビーステッドを蘇生できます。ルベリオンは蘇生できないものの、マグナムートを蘇生してリソース確保したりバルドレイクのコストを用意できたり、ドルイドヴルムを壁にしたりと多彩な使い方ができます。
このカードを貼れるか貼れないかで【深淵の獣】としてのパワーがワンランク変わるほどのパワーカードです。

《烙印の獣》

フリーチェーン破壊の永続罠。①は自分フィールドにビーステッドがいないと使えませんが、リリースするのはビーステッドでなくてもドラゴン族ならOKです。罠故にフリーチェーンであり、リリースして発動なのでいわゆるサクリファイスエスケープが有効です。マグナムートに対する無限泡影などもこれで避けられます。
【深淵の獣】は基本的に魔法罠に触れるカードがこれしかありません。ルベリオンで優先的に置きたいカードです。
②によって墓地の烙印永続をフィールドに置くことができるので、サロニール等で落とした《復烙印》を置きましょう。

《深淵の神獣ディス・パテル》

チューナー+ドラゴンで作れる10シンクロ。
除外されている光闇モンスターを自分フィールドに特殊召喚できます相手のモンスターでもOKですし、効果無効にもなりませんその後~等の制約もないです。当然マグナムートの②効果も起動しますし、除外されたカオスルーラーを帰還させて更にシンクロ、エクシーズ素材にしたりと用途は多彩です。
②は少し特殊な効果で、相手のモンスターの効果が発動したときに、自分のカードを除外から戻せばそのモンスターを破壊、相手のカードを除外から戻せばそのモンスター効果を無効にします。こちらはモンスターだけでなく何でも戻すことができます。
ステータスも3500/3500とかなり高く、ビーステッドモンスターなので復烙印で蘇生もできます。

基礎展開

基本的にテーマ内で決まった動きというものはなく、その場のライブ感で戦うテーマです。なぜなら共通効果持ちビーステッドが全員手札誘発だからです。
とはいえ先行でこの動きが出来ると強いよね、というものはあります。

状況:《深淵の獣ルベリオン》+墓地に光か闇のモンスター

・手札のルベリオン効果でサロニールサーチ。サロニールでルベリオン以外の光、闇モンスターを除外して特殊召喚。
・サロニールをリリースしてルベリオンを墓地から特殊召喚。サロニールの効果で《復烙印》を墓地へ。
・ルベリオン効果でデッキから《烙印の獣》を置く。
・エンドフェイズ、烙印の獣効果で墓地の《復烙印》を置く。

最終的に自分フィールドには「ルベリオン+烙印の獣、復烙印」となります。

これによって復烙印の蘇生というリソース、烙印の獣によるフリーチェーン破壊という妨害を構えることができます。
永続の烙印がないと、このテーマは妨害が相手の墓地の光闇モンスターを除外するだけになってしまいます。なので永続につながるルベリオンは積極的に盤面に出したいのです。

もしも付随してマグナムートを持っていれば
・サロニールを除外してマグナムート特殊召喚。②効果発動。
・マグナムートとルベリオンで《天球の聖刻印》。
・エンドフェイズにビーステッドサーチ。

最終的には、「天球+復烙印、烙印の獣+手札にビーステッド」といったように、モンスター、罠、手札の3箇所に妨害を構えることができます。
ここまで行けると妨害の質も数もそこそこになってきますね。

このテーマの基礎展開は、「ルベリオンを着地させること。ルベリオンで烙印の獣ないしは復烙印を置くこと」です。テーマとして組む場合はこの動きを意識しましょう。

【深淵の獣】の強み

共通効果の圧力

なんといっても共通効果の存在です。深淵の獣を組み込んだデッキは【ティアラメンツ】などの光闇墓地利用テーマに対して有利なゲーム展開をとれます
テーマによってはこの共通効果一回で展開が止まることもあります。例えば【斬機】ならサーキュラー始動からのシグマ蘇生時に打ち込まれればそれで止まります。うまく貫通して超階乗+ダイアまで持って行けたとしても、超階乗にチェーンしてダイアを抜かれれば終わりです。
展開を止める以外にも、リソースである《黄金卿エルドリッチ》や《閃刀姫-レイ》などを除外するだけでもやられた側は非常につらいです。

高ステータス、脱フィールド依存

【深淵の獣】はどのテーマモンスターも上級であるため、前述の通り攻撃力2500以上とステータスが高く設定されています。共通効果が妨害にならなくとも、単純に並べて殴るだけでも十分にゲームに勝てるほど強いです。
さらにビーステッドの共通効果はフィールドで発動せず、サロニール、ドルイドヴルム等のビーステッドは②の効果もフィールドで発揮しないため、スキルドレインなどの制圧カードを多用する罠ビートにも強いです。なんなら逆にスキルドレインを採用できます。

腐りにくさ、出張性能

レベル6のビーステッドはその共通効果のおかげで、”手札で腐りにくい”という性質があります。
光、闇属性というのは遊戯王の属性のなかでも最もメジャーといってよく、まともなデッキ同士のデュエルならまず墓地に落ちています。そしてビーステッドは着地さえすれば制約もなく、打点要員としても、シンクロ、エクシーズ、リンク素材にもなれます。妨害という用途ではなく、簡単に特殊召喚できるドラゴンという側面も持っているのです。
そのため、例えばマグナムートとドルイドヴルムだけ出張という形をとっても、手札で腐りにくく、また事故要因にもなりにくいのです。

【深淵の獣】の弱点

環境に左右されがち

当たり前ですが、【ふわんだりぃず】にこのテーマは一切刺さりません。光も闇もいなければ、墓地を一切利用しないからです。なんならテーマ内に無効系妨害もないのでふわんだりぃずの展開を止めることもできません。(パテルでちょっとだけマシになったとはいえ)

環境的な話をすれば、【深淵の獣】を上からたたきのめせる【ティアラメンツ】ならまだしも、その他の光闇墓地利用テーマは深淵の獣がはびこる環境で使おうとすら思いません。わざわざ環境的に不利な立ち位置のデッキタイプを選ぶ人はいませんよね?
そういったテーマが環境から消えていくと、残るのは【ふわんだりぃず】【イシズナチュル】などの光闇を使わないかそもそも墓地利用をしないテーマばかりになります。
【深淵の獣】を使うことで光、闇テーマには強く出られますが、そういったテーマは環境から消えていくためこのテーマは最終的に環境不利になります。自分で自分のクビを締めるわけです。

つまりなにが言いたいかというと、環境メタであるこのテーマを使うには、「環境に依存されなくとも強いデッキ」に引き上げることが使い手に要求される訳です

墓地メタに弱い

《次元の裂け目》《マクロコスモス》などでそもそも墓地にモンスターを送れなかったり、《王家の眠る谷-ネクロバレー》や《王宮の鉄壁》などで墓地除外を封じられればビーステッドは完全封殺されます。下級モンスターも(変なヤツしか)いないため盤面にモンスターを並べて解決もできません。
墓地メタテーマのくせに、墓地メタに弱いんですね。

ズッ友の《混沌魔龍カオス・ルーラー》

シンクロ召喚成功時に山上から5枚めくって、光闇モンスターがあれば回収し、残りを墓地へ送る闇レベル8ドラゴンです。あまりにも【深淵の獣】にとって都合の良い効果と種族をしています。
ルベリオンがめくれたなら、回収してそのまま捨ててビーステッドサーチ、カオスルーラーをリリースしてルベリオンを出すことができます
もし墓地に光と闇が揃っていれば、②でカオスルーラーを蘇生してルベリオンとランク8にもなれます。
5枚めくる、1枚回収、残りを落とすというのが優秀で、デッキに眠っているビーステッドと相性のいいカードをかなりの期待値で墓地に供給してくれます。

よって【深淵の獣】を活かすデッキとして構築しようと思ったときに、まずこのカードをいかにして出すのかが重要になってきます。

カオスルーラーを作るギミック

【P.U.N.K】

セアミン一枚初動からカオスルーラーを作った上で、その後レベル3チューナーかレベル8を蘇生できるギミックです。方法は簡単で
1.セアミンの効果でデッキからフォクシーチューンを持ってくる。
2.フォクシーチューンの効果でデッキからディアノートを特殊召喚する。
3.セアミンとディアノートでカオスルーラー。カオスルーラーの着地時効果とディアノートの蘇生効果。
となっています。ディアノートを素引きしていたらセアミンサーチ後に自身の効果で出せば良いです。

【P.U.N.K】採用の利点
・初動であるセアミンに繋がるカード(緊急テレポートやオーガナンバー)が多く事故りにくいこと。
・オーガナンバーやフォクシーチューンが光闇属性のためビーステッドの種になれること。
・ランク8や11シンクロを採用しやすいこと。
等があります。最終盤面のパワーよりも安定性とリソースに比重を寄せたミッドレンジ的デッキ構築です。

レベル2チューナー

例えば《シノビネクロ》は闇属性かつ除外されると特殊召喚できるレベル2チューナーです。
共通効果持ちのビーステッドがレベル6のため、2+6で8シンクロができるという訳です。
昔はレベル2チューナーにあまりまともなものがなかったのですが、ここ最近になってやたらと優秀なレベル2チューナーが登場したことで形になりました。

やたらと優秀な2チューナー代表

こちら側の採用メリットは
・カオスルーラーやルベリオンなどのレベル8+2チューナーで10シンクロができる。
・レベル2モンスターからスプライトギミックにアクセスできる。エルフを作って2チューナーを釣り上げて10シンクロなどもできる。

2023年現在の遊戯王はとにかく10シンクロの選択肢に優秀なものが多くなっているのもこのタイプの構築の強みです。
こちらは展開の最大値が高い一方で、2チューナーだけ引いても何も出来ないので【P.U.N.K】ギミックよりも事故率の高さが目立つ欠点があります。展開系デッキと言い換えてもいいでしょう。

【烙印深淵】

カオスルーラーを使わずとも、ルベリオンさえ出せればいいというのなら烙印とデスピアのギミックがそこそこに有用です。
初動《デスピアの道化アルベル》+手札コスト
1.アルベル通常召喚、烙印融合サーチ。
2.烙印融合発動、デッキから《深淵の獣ルベリオン》と《アルバスの落胤》を墓地に送って《烙印竜アルビオン》を融合召喚。
3.アルビオンの効果で墓地のアルバスとフィールドのアルベルを除外して《神炎竜ルベリオン》を融合召喚。
4.ルベリオンの効果で手札を1枚捨て、除外されたアルバスとフィールドの《神炎竜ルベリオン》を戻して《氷剣竜ミラジェイド》を融合召喚。
5.アルビオンをリリースして《深淵の獣ルベリオン》を墓地から特殊召喚。効果で《復烙印》を置く。
6.エンドフェイズにリリースしたアルビオンの効果でデッキから《烙印の獣》をセット。

これで最終盤面は「ミラジェイド+深淵の獣ルベリオン、復烙印、烙印の獣」となります。
ただ、この展開ルートでは《復烙印》と《烙印の獣》は置けるものの、共通効果持ちのビーステッドを手札、墓地に用意できません。よって復烙印の蘇生や1ドロー効果が上手く使えず、ビーステッドを別途用意する必要があります。
いずれにせよ初手にルベリオンを持っているのが一番強いということです。

MDとシングル戦の話

結論から言いますが、シングル戦で【深淵の獣】は流行りません
前回のnoteでYCSJ大阪2022について触れましたが、あの大会はティアラメンツがトップメタであるにも関わらずビーステッドは影も形もありません
それもそのはず
肝心の【ティアラメンツ】はビーステッドで止めるよりも《ディメンション・アトラクター》や永続罠で止める方がずっと効率的な上に、それらの墓地メタカードでビーステッド自体が動けなくなり、しかもシングル戦上位メタである【ふわんだりぃず】にビーステッドは相性最悪だからです。

【深淵の獣】がOCGの環境で戦えてきたのは、すべて【ティアラメンツ】が環境の最上位で他のメタをはねのけながら戦い続けてきたからです。

【ティアラメンツ】が【深淵の獣】にとって苦手なテーマを単純なテーマパワーで環境から排した隙にやつらはやってきて、ティアラメンツとその他墓地利用テーマの狩りを始めました。ハイエナか?
よって、【深淵の獣】はティアラメンツの消滅とともに姿を消す運命にあります。カオスルーラーさえ生きていれば案外使えるかもしれませんが、ね。

じゃあ【深淵の獣】はマスターデュエルだと何すんの?って言われたらやることはひとつしかありません。雑魚狩りです。

マスターデュエルをやってる人間は俗に言うガチ勢ばかりではなく、アニメや原作が好きな人で、アニメテーマを使ってみたい人も大勢います。最も代表的な例が【青眼の白龍】ですよね。
そしてそういったアニメテーマは光、闇属性である場合が非常に多く、さらに大抵の場合墓地から蘇生したり、回収したりと墓地利用をします
【BF】だって【銀河】だって【ブラックマジシャン】だってそうです。よっぽど意図的にデザインされていなければ、墓地を利用しないテーマなんて存在しないんです。

そういうアニメテーマで戦っている人達がいる世界に【深淵の獣】が現れたら、マスターデュエルは一体どうなるんでしょうね?

【茶番】なぜ生まれてしまったのか

デザイナーの視点で考えてみよう

ここからは実際のデュエルの話ではなく、カードデザインの話をしようと思います。ちょっとデザイナーの思考をプロファイリングしてみましょう。

さて、カードデザイン自体は発売からずっと前に決まっていないといけません。印刷所にカードを印刷してもらって、そのカードをパックやダンボールに梱包したうえで、それらを発売日までに各小売店に納品しなければなりませんからね。そう考えると、【深淵の獣】は2022年の頭から、どれだけ遅くとも4月あたりには既にデザインされていたのではないでしょうか?なので【ティアラメンツ】メタで新規にデザインされたのかは疑問です。

実際のデザインとしては、【深淵の獣】自体は烙印ストーリーの延長で登場しています。元ネタの神話オマージュ的にもこのテーマの登場は既定路線だったのでしょう。
アルバスと関連づけるためにドラゴン族にする、ここもまあOKです。
黙示録の獣を表すためにレベル6にしよう、まあわかります。

さて、テーマモンスターをレベル6で統一するのならそれらのモンスターは使い勝手の良い特殊召喚できるものである必要が出てきます。出せないモンスターなんか作っても売れませんからね。
ところで、烙印ストーリーでは《デスピアの道化アルベル》は実はデスピアとはあくまで協力関係であっただけで本心は敵対していたのではないかという考察があります。ビーステッド自体はアルベルが呼び出したアルベルの眷属であるという設定のため、ここで【深淵の獣】自体を【デスピア】のメタ的なテーマにしよう!という発想がでてきても不思議ではありません。

では【デスピア】メタであることと特殊召喚しやすくすること、両方をうまくデザインできる方法はなんでしょうか?
ここで【デスピア】の特徴を軽くおさらいしましょう。デスピアは《烙印劇場デスピア》などからわかる通り、融合テーマで闇属性、天使族で統一されています。そしてテーマの強みとしてはその継戦能力で、《デスピアの道化アルベル》や《デスピアの大導劇神》、《赫灼竜マスカレイド》、《烙印劇場デスピア》などはいずれも墓地から蘇生する効果を持ちます。そこで……

???「そうだ!相手の墓地のモンスターを除外しながら特殊召喚できればデスピアメタをうまく表現したうえでレベル6であることも問題なくできるぞ!!」

となったのではないでしょうか。「なんでも除外できたらヤバすぎるしデスピアが使いそうな光と闇だけにしとこ…」とか考えてたのかも知れませんが、一番大事な「相手ターンでも発動できる。」の一文はなぜか消されなかったんですよね。

…ここで書いたことは全て僕の考察にすぎません。この内容を鵜呑みにしてコナミさんにクレームを入れたりなどしないように。

23/4/18追記、ヴァリュアブルブックを読むにどうやらビーステッドはカルテシアが呼んだもので、どちらかといえばマクシムスの関係だったっぽいですね。つまりはよくわかりません。ちゃんちゃん。

なにが問題なのか

僕はティアラメンツが好きでビーステッドが嫌いです
ここは隠しませんしこのスタンスを変える気もありません。誰かに配慮することでもないですから。しかし、「ティアラメンツのメタだからビーステッドが嫌い」なわけではありません。そこのところはちゃんと別の理由があります。

noteでビーステッドの話をする度に書いている気がするのですが、「相手のコンセプトを否定して勝つ」というのは一番楽な勝ち方でありながら、された側はとんでもなく不快です。自分のデッキの本領を発揮出来ずに負けるわけですから、納得もできないし対話拒否されてるのと同じです。スキルドレインが嫌われる理由も、罠ビート系が「罠パカ」とかいってバカにされる理由もいっしょです。
相手に何らかの制約を課したり、相手のフィールド以外に自由に干渉できるカードはよほどのリソースを消費して作るものか、何らかのシバリがあるものでも無い限りは許されるものではありません
これが僕の「ビーステッドが嫌いな理由」です。

具体的に言うなら、単純に墓地除外カードでも《影衣の巫女エリアル》は落ちたタイミングでしか使えないし、《墓穴の指名者》などで止められるので許されます。

それと比較してビーステッドは相手のモンスターさえいれば手札から好きなタイミングで発動できて、墓穴などで止められもしない上に着地したらモンスターとしても使えるんです。捨てて発動するわけでもないので、《屋敷わらし》などで止めてもその場しのぎです。

もっと言うと、「レベルが高くてステータスの高いモンスター」というのは基本的に自分のリソースを消費して頑張って出すものです。生け贄召喚があった遊戯王の最初期から今に至るまで、この不文律は変わっていません。《デビル・フランケン》ですら5000ライフ払うんです。
さんざん暴れた【電脳堺】も一枚のモンスターでは何も出来ず、手札をたくさん消費してシンクロ召喚なりエクシーズ召喚して強いモンスターを並べるわけです。
それと比較してビーステッドは「相手のリソースを奪いながら着地する単体で完結しているレベル6の攻撃力2500モンスター」なんです。
こんなん許せますか?僕は許せないんです。

規制の話

個人的には全員存在を消して欲しいですが、過去を完全に否定するというのも間違っていることは知っています。勝手に生み出しておいて勝手に禁止するなんて酷い話ですよね。

どれだけ暴れ散らかそうが【十二獣】だって重ねてエクシーズという特徴は消されていません。【征竜】もなんでいまだに禁止なのか不思議なくらいです。
2023年現在では《深淵の獣マグナムート》のみが制限カードとなっていますが、相も変わらずテーマ単位で環境に顔を見せています。相性のいいパワーカードが続々と刷られている事も理由としてあります。

そんなビーステッドはどう規制するのが正しいのか。僕は《深淵の獣ルベリオン》を制限カードにすることが妥当だと思います。
ルベリオンさえなければビーステッドはまともなサーチ手段がありませんし、《烙印の獣》を貼る先行展開も再現性が薄くなります。テーマとして弱体化するなら一番の方法です。
それで止まらないなら、もう共通効果持ちビーステッドに規制をかけて枚数を減らすしかないです。というかこっちの方が他の墓地利用テーマからしたらありがたいです。

まとめ

・光や闇属性の墓地利用テーマは【深淵の獣】がいる限り苦しい。
・《深淵の獣ルベリオン》が展開で大事。
・マグナムートやドルイドヴルムだけ出張もできる。
・《混沌魔龍カオス・ルーラー》と相性が良い。
・【ティアラメンツ】には単純にパワーと手数で押し切られてきつい。
・【ふわんだりぃず】のような墓地を利用しないテーマもきつい。
・シングル戦では流行らないが、下環境で暴れ回る可能性がある。

ざっくりこういうことです。

おしまい

ここまで読んでいただきありがとうございます。

【深淵の獣】は今現在も研究されているテーマです。好きで使っている人もわりといると思います。このnoteでこう言ってたからビーステッドは悪なんだ!叩いて良いんだ!とかはやめましょう。批判をするときはちゃんと理由もセットであるべきです。
「オレのブルーアイズが除外された!ビーステッド消えろ!」とちゃんと言ってください。海馬社長。

マスターデュエルで【ティアラメンツ】が強そうだからビーステッドで対策しよう!と思っている方は、おとなしく【ふわんだりぃず】をつかってアトラクターなり裂け目なりした方がいいです。これはハッキリ伝えておきます。
烙印ギミックが好きという方は混ぜてみても良いと思います。

それではまた次回、ビーステッド滅びろ。

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