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Bling-Burn-Burn-Born【炎王】


はじめに

いつもお世話になっております。やまきゃです。

マスターデュエルは世界大会に向けた予選大会が始まる頃ということで、MDプレイヤーの皆さんはいかがお過ごしでしょうか?

MD界隈では、「毎回大きな大会の直前には環境を激変させるような強力なカードは登場しない」というのが通説であったようですが、どうやら今回はそうもいかないようです。

なぜなら【炎王】が登場するからです。

【炎王】とは?

【炎王】と聞いて「ん?」と思った方も多いのではないでしょうか?そう、古くから存在するあの【炎王】です。

ですがあの頃の炎王とは大きく異なります。かつての炎王は破壊されるカードと破壊するカードが明確に分かれており、それらを揃えることによってはじめてデッキを回すことが出来るデザインとなっていました。

しかし時は令和遊戯王は25周年心変わりは無制限

新たな炎王モンスター達は破壊する側でありながら破壊される側でもあるハイスペックモンスターとして「ストラクチャーデッキRー炎王の急襲ー」で登場します。
最早《炎王の孤島》でkozmoモンスターを割ることはありません。そんなことしたことない?あそう…。

発売当初はG受けとリソース力は高いけどなんか手数と初動に難があるといった評価でしたが、直後に登場した《蛇眼の炎燐》によって突然のチャンスゾーン突入。
スネークアイとの相性の良さ、《賜炎の咎姫》などの炎属性プッシュの波に乗り、新たなデッキ【炎王スネークアイ】として爆誕。一気に環境を席巻することになります。

今回はそんな【炎王】についてサクッと紹介していこうと思います。サクッとね。


既存【炎王】カードについて

ではまず、新たな【炎王】カードについて見る前に既存の【炎王】について軽くおさらいしておきましょう。

昔のカードのテキストなんて完璧に覚えてるよという方は飛ばしてもらって大丈夫です。

《炎王神獣 ガルドニクス》

炎王といえばこのモンスターというイメージの人も多いでしょう。

新たな【炎王】では後述するウルカニクスでデッキから呼べるレベル8モンスターというのが主な採用理由になります。

破壊された次のスタンバイに勝手に蘇生して勝手に盤面を荒らすやんちゃモンスターなので、1回蘇生するなりして破壊情報を消すようにしましょう。


《炎王獣 バロン》

破壊された次のスタンバイに炎王モンスターをサーチできます。

採用するとG受けがかなり良くなりますが、墓穴などの裏目もあります。


《炎王獣 ガネーシャ》

《コアキメイル・ガーディアン》のごとく、モンスター効果の発動を無効にすることができます。

純【炎王】はこいつの召喚から動くことで誘発ケアができるのですが、他の炎属性モンスターを破壊する必要があり、そういう意味では使い勝手はすこし悪いです。
とはいえ、炎王ネームであることからアクセスしやすく、また《賜炎の咎姫》などで蘇生も容易であることから【炎王】ではこいつをかなり多用します

②によって破壊するとリンク値を増やしてくれますが、効果無効になることだけ気をつけましょう。


《炎王の孤島》

このカードの初出は9期のCROSですが、現代でもこのカードが【炎王】のキーカードになります。

①の起動効果を使うことで必要な炎王モンスターをサーチしつつ炎王の破壊された場合効果を誘発させて展開の基点とします。
基本的に素引きするよりも他のカードで持ってきた方が強く、被っても腐るだけなので採用枚数はだいたい1〜2枚です。

《炎王炎環》

速攻魔法で、場の炎と墓地の炎を対象にとり発動。場の方を破壊して墓地の方を蘇生します。

墓穴や無効誘発ケア・バトルフェイズでの打点生成・単純なリンク値の増加などが見込めるカードですが、必須枠というわけでもないです。

サーチは効くので入れておくと便利。



新規【炎王】の紹介


ここからは新たな炎王カード達について紹介していきましょう。

効果モンスター

《聖炎王 ガルドニクス》

本記事では特別に記載しない場合「ガルド」とはこいつを指します。

新たな【炎王】の軸となるカードであり、妨害・リソースの要です。

破壊をトリガーにSS出来る①効果は原因を自分相手に問わないので適用シチュエーションがかなり広く、《炎王の孤島》などで自分から発動するほか、相手の破壊除去や戦闘破壊、果ては自分からの自爆特攻にも対応しています。
しかも墓地にいれば毎ターン蘇生し、場から離れたら除外等のデメリットもなにもないのでこの新ガルド自体が継続的なリソースカードとなります。

このため、ただガルドが墓地にいるというだけで対戦相手は容易にモンスターを処理することができません

場に出た際は②によってデッキから炎属性の鳥獣・獣・獣戦士を破壊できるため、炎王モンスター達の破壊された場合効果を容易に発動させることができます。
この効果はあくまでデッキのモンスターを破壊しているだけなので、《灰流うらら》をすり抜けます。

この②効果は破壊ができるというだけでなくガルドの打点を上昇させるので、相手ターンには強力な壁として、自分ターンには突破力の高い頼もしいモンスターとして活躍できるでしょう。

ちなみに旧キリンを経由することでデッキの任意の炎属性を落とせるらしいので、咎姫をつかうと実質どんなモンスターでも炎属性なら盤面に出せるそうです。

《大将軍 紫炎》を出してるのも見ました。


《真炎王 ポニクス》

愛称は「ぽに」

基本的に炎王にとって最も重要な《炎王の孤島》に触れるモンスターはこのカードだけなので、まずはこの②効果を通すことを考えましょう。

ポニクスへ繋がるカードは色々あり、レベル1炎であることから《原罪宝ースネークアイ》で出すこともできますし、鳥獣族であることからシュライグの墓地効果でサーチ可能なので《天底の使徒》なんかでも持ってこれます。

ぽにの①効果はダメステに打つことができ、そのまま②の効果もダメステ中に使うことが出来るということは覚えておきましょう。
炎モンスターで自爆特攻→うららケアで炎王魔法罠サーチが可能になります。

ちなみに、この手の手札で誘発して手札から特殊召喚が可能な効果というものは同一チェーン上で1回しか発動出来ません

そのためガルドとポニクスが両方発動可能な場合もどちらか片方しか使えません。たとえガルドが墓地にいても同様です。詳細はこちら
知っているかどうかで大きくプレイングに差がつくポイントなのでここだけでも覚えていってください。

③の回収効果によって毎ターン手札に帰ってくるのでぽに1枚あるだけでリソース循環します。

《炎王の孤島》で破壊するカードをこれにして損失を抑えることもできますし、メタビ相手に毎ターン壁モンスターとしてセットすることも。
ちなみにこの③は強制効果なのですが、忘れてメインフェイズまでいくのはほんとうにあるあるです。MDだとこの辺勝手に処理してくれるのはありがたいですね。

総じて、盤面に出すたび炎王魔法罠をサーチするのでロングゲームに強く、《炎王神天焼》を持ってくることで永続カード等にも抗えるとてもいいやつです。


《炎王神獣 キリン》

①によってメインフェイズ中ならいつでも自分場の炎属性を破壊できるので、こいつを手札に抱えておくとぽにへの無限ヴェーラー等の無効誘発を回避できます。

それ以外にも、単純に相手ターンに出せる炎属性というのが優秀で、仮に《超融合》などで盤面から炎属性が消えてもキリン+炎を抱えておくと墓地のガルドや咎姫を再びアクティブにすることができるのが偉いです。

ただしキリンそのものが妨害になるということではなく、あくまでも他炎王モンスターの効果を相手ターンに任意で誘発させるためのカードであるという認識は持っておいてください。

キリンは破壊されると手札か墓地の炎王モンスターをSSしながら、場のカードを対象にとらず破壊できます。
単純なリンク数のかさまし、妨害など使用方法は多岐にわたり、ガルドでデッキから破壊できるので発動させるのも容易です。
ガネーシャの蘇生と違い効果無効にならないので、この効果で蘇生したガネーシャやポニクス、ウルカニクスは効果を発動できるのも強いところ。

キリンについて気を付けて欲しいことは、デッキの中のキリンはリソースだということです。
強力な効果ゆえに手札に抱えておきたい気持ちもありますが、【炎王】は基本デッキにカードを戻すことができません
新ガルドの有力な破壊先ということも考えると使いすぎはロングゲームに響きます。いつの間にかキリンがいなくてガルドで破壊するカードがなくなっちゃった〜なんてことにならないよう気をつけましょう。


《炎王妃 ウルカニクス》

単体初動にはなりませんがポニクスをサーチしてそのままSSできます。(アストログラフと同じ理屈)つまり①さえ使えるなら孤島に繋がるモンスターになるわけです。

ポニクスに繋がる初動であるほかに、孤島以外でデッキの炎王モンスターをサーチ可能な数少ないカードのひとつでもあります。
ポニクスではなく聖域や孤島からのスタートという場合に、ガルドニクスでデッキから破壊して後で咎姫で釣り上げてポニクスに繋ぐという動きも可能な訳です。

しれっとついてるレベル変動もおいしく、ときたまランク1やランク8の素材として活躍してくれます。
結構このあたりのエクシーズを出すことは多く、1Xならナイチンゲールやキキナガシでワンキルを耐えたり、8Xならタイタニックや光子卿で無効妨害を置くことが出来るようになります。エクストラに余裕があれば十分検討できるでしょう。

ウルカニクスはリンク数を増やすカードとしても優秀です。
旧ガルドを採用
しておくと、ポニクス→聖域→孤島→ガルドサーチ&ウルカ破壊→ガルドssウルカ効果旧ガルドss→ガルドでデッキのガネーシャ破壊→ガネーシャでウルカ蘇生となり、リンク値が一気に伸びます。ポニクス単体ではこうはいきません。

ただデッキからしか呼べない都合で、基本的にこの②効果が使えるのは一回きりです。


《炎王神 ガルドニクス・エタニティ》

ランク8エクシーズ。実は汎用。

自分ターンにXして捲りに使っても良いですが、どちらかと言えば後述する聖域の効果で相手ターンにXして全体除去するほうが機会としては多いでしょう。

破壊されたときに素材の数だけ炎王モンスターを蘇生する効果は、相手ターンに壁として使う場合のバリューが高いのはもちろんのこと、自ターンにリンク数を増やしたり妨害となるガネーシャやハヌマーンの蘇生目的で使うことも。

実際のところ初手にガネーシャやウルカニクスがない場合はガルドでデッキから破壊して咎姫で蘇生するくらいしか盤面に出力する方法がないので、咎姫の蘇生を別のモンスターに使った場合などはこいつを出して自分から割ることがわりとあります。


魔法・罠カード

《炎王の聖域》

ぽにで持ってくることで孤島にアクセスします。どの効果も強力なのでぽにで直接孤島をサーチするくらいなら必ずこっちを経由しましょう。
特に②によって孤島がうさぎや羽根帚に耐性を持つのが大きいです。

既に書いた通りこのカードがあることで相手ターンにエタニティをX可能になるのですが、タイミングは相手が特殊召喚した場合なので相手にプライオリティがあります。
タイミングを見計らっていたらリトルナイトが出てきて素材となるモンスターを飛ばされてしまうということがあるのでいつ発動するのかはきちんと見極めましょう


《炎王神天焼》

「かみてんやき」じゃなくて「しんてんしょう」です。
自分の炎王モンスター及び相手場のカードをそれぞれ同じ数だけ対象にとって破壊する速攻魔法となります。

ぽにでサーチできるおかげでアクセスは容易。それでいて破壊するカードに制限はなくしかも速攻魔法なので破茶滅茶に便利です。

このカードがあるおかげでぽには単なる孤島へアクセスするだけのカードにとどまらず、「ポニクスへ無効を打たなければ盤面を荒らされるかもしれない」というプレッシャーを与えられカードになります

炎王は破壊をあまり苦としないので忘れがちですが、聖域を剥がされたあとに孤島を割られるときなど、②の効果のおかげで勝ちを拾える場面も普通にあり得ますから覚えておきましょう。



新規【炎王】の使い方

ではこれらの【炎王】カードを使っていったいどんなことが出来るのか?というのを見ていきましょう。

基本的に最も重要なのはガルドニクスにアクセスすることであり、そのためにも孤島=聖域をサーチすることが大事になります。

すなわち、初動となるのはポニクスないしはそれに繋がるカードというわけです。

「まずポニクスを出す」「孤島でガルドニクスをサーチする」の2点が【炎王】の展開においては必須となります。

ポニクス1枚展開


ポニクスを通常召喚して、《炎王の聖域》をサーチします。

聖域を発動し、デッキから孤島をフィールドゾーンへ。孤島の①効果を発動し、ポニクスを破壊&ガルドニクスをサーチします。

ポニクスが破壊されたことで、今サーチしたガルドニクスの効果が誘発できるのでそのまま特殊召喚します。

ガルドニクスの②を発動し、デッキから《炎王獣 バロン》を破壊。

ターンを渡し、相手スタンバイにポニクスの強制回収効果とバロンのサーチ効果を発動し、バロンでキリンをサーチします。

最終的には「ガルド+孤島&聖域+手札にキリンとポニクス」となりました。

ここからできることは…
・相手ターンにガルドニクスが破壊されるとポニクスが手札からSSし、炎王魔法罠サーチ。
・次にポニクスが破壊されると今度は墓地のガルドが蘇生しデッキからキリンを破壊し蘇生&破壊。
手札のキリンをSSすればレベル8が二体揃い、聖域効果でエタニティ

このように、少ないカード枚数での展開ながらかなりの耐久性と妨害性能があります。

最悪ガルドニクスが除外などで処理されそうになっても、手札のキリンで破壊して逃がすことができ、そのキリンが破壊されればまたガルドニクスも蘇生するので簡単には崩せないというのがこの展開の強みです。


ウルカニクス+炎属性のモンスター

次にちょっと伸びる展開を見てみます。

ウルカニクスを通常召喚し、他の炎属性を破壊してポニクスをサーチ&特殊召喚。そのまま聖域をサーチして孤島までアクセスします。

孤島効果で今度はウルカニクスを割り、デッキからガルドニクスをサーチします。

この時、ウルカとガルドの効果が誘発しますが必ずウルカチェーン1・ガルドチェーン2で使います。(非公開領域のカード効果を誘発させるのは公開領域の誘発効果でチェーンを組むのが全て終わった後にしましょう。遊戯王のルールです。)

ウルカでデッキから旧ガルドをSSし、手札のガルドもSS。そのままガルドの効果でデッキからガネーシャを破壊します。
その後、ガネーシャ②でウルカニクスも蘇生します。

この段階で、盤面はポニクス・ガルド・旧ガルド・ウルカの四体です。

このうち2体で《I:Pマスカレーナ》を作りマスカレーナともう1体で《賜炎の咎姫》を作ります。その後咎姫効果でガネーシャを蘇生しましょう。

ガネーシャ以外の2体(咎姫+1)で《揚陸軍艦アンブロエール》を作ったら展開は完了です。

最終盤面は「アンブロ+ガネーシャ+孤島&聖域、墓地に咎姫・ガルド・マスカレーナ」です。

ではなにができるか?という話ですが…
相手ターンにはまずモンスター効果をガネーシャで発動無効できます。

このときガネーシャでアンブロエールを破壊するとガルドとアンブロが誘発して、ガルド蘇生とマスカレーナ蘇生ができます。

蘇生したガルド効果でデッキのキリンを割ると、キリン効果で墓地のウルカ蘇生&盤面1枚破壊ができます。
蘇生したウルカの効果を誘発させて、ガネーシャを破壊してデッキからキリン(2枚目)をサーチしレベル8に。
ガネーシャの②効果によりさらに炎王モンスターを蘇生できます。

最終的には
・ガネーシャで1回無効
・マスカレーナ→リトルナイトで2回除外
・キリンで1破壊
・聖域エタニティで盤面全破壊
・咎姫で1破壊

ガルドで破壊するカードやガネーシャで何を蘇生するかなどはシチュエーション次第で変わりますが、概ねこれくらいの妨害は出来るわけです。

ただ、この展開はガネーシャに《無限泡影》などの無効を受けてしまうとこちらから能動的にできることが咎姫くらいしかなくなってしまうので、できればキリン等が絡んでいるときにやりたいです。

あくまでも、これくらい伸びるよという参考程度に。



【炎王】の強み

ガルドニクスという継続リソース

既出のとおり、《聖炎王ガルドニクス》は何度でも何度でも墓地から蘇ります

一度ガルドにアクセスしてしまえばポニクスやキリンなどを駆使してモンスターが盤面・手札・墓地を循環しつづけ、一生アドバンテージを取り続けることができます。
理想的なSDGsです。

このループを止めることができない相手は【炎王】とのデュエル中、ターンを跨げば跨ぐほど逐一消費を強いられることになり、いつの間にかアドバンテージ差がついて負けてしまうのです。


妨害位置の分散

これも説明するの何回目なんだって話ですが、妨害位置がバラけているデッキは強いです。

【炎王】で言うなら面にはガネーシャ魔法罠には神天焼墓地にはガルドや咎姫手札にはキリンを抱えておくことができます。

実際に相手の盤面に干渉したり妨害する回数は多くなくても、これらの位置がバラけていることによって簡単に妨害を一気に消されたり無駄に吐かされる可能性がとても小さくなります

故にカードの位置がばらけていることが評価ポイントになるのです。
(例∶ガネーシャに無限泡影を受けた→神天焼などで破壊して後でキリンで蘇生すれば良い)

これによって、表面的な妨害数以上の盤面の強さがあるというのが【炎王】の強いところです。


無駄のないコンパクトなギミック

【炎王】のループを行うのに必要なカードはそう多くありません

ガルドも1枚あればいいですし、ポニクスも何度も返ってくるので1でオッケー。
聖域や孤島も基本的に盤面に維持できるので枚数は必要ありません。ガネーシャも同じです。
唯一、ガルドでデッキから破壊したいキリンだけ枚数が多くないといけません

となると、炎王に必要な最低限のカード枚数はこうなります。

もちろん実際には初動率などの兼ね合いで必要なカードが増えては来るのですが、この少ない枚数でメインギミックが完成しているというのもひとつの強みです。


G受けの良さ

【炎王】はとてもG受けが良いです。

ポニクス召喚聖域サーチ→孤島でぽに破壊してガルドサーチ&SS→バロン破壊キリンサーチ

とするだけでも、SS1回で相手ターンエタニティが可能になります。

展開を早めに止めても、破壊をトリガーに展開できるガルドやエタニティのおかげで耐える能力というのが高く、簡単にキルされることはありません

ポニクスのサーチ先として神天焼もあるので、ここにもGやアトラクターの止まりどころがあります。

増殖するGのようなターンスキップ誘発を打たれても比較的早めに展開を止めることができ、かつ耐えられるのでそれほど苦にはなりません。

こういうカードに対してある程度の妥協点を持ち、無防備にターンを返さなくても良いという点も【炎王】の強いところの1つです。


永続系のカードに強い

スキルドレイン》《センサー万別》《サモンリミッター》などの永続罠カードは発動することで現代遊戯王のほとんどのデッキを機能停止させることができる強力なカードです。

しかし【炎王】はこれらを致命傷としません

なぜなら、ポニクスとガルドニクスによって継続的なリソースが約束されており、これらのカードによる制約を受けても問題なくスローテンポのゲームに付き合うことができるから。なんなら【炎王】側が採用するくらいには平気です。

さらに言うと、キリンによってこれらの永続罠をいつでも剥がすことができるので

相手がこれらの永続に手間取っている間に自分は着実にアドバンテージを稼ぎ、いざとなったらキリンで剥がして一気に決める

といったことができる訳ですね。


破壊に対して超有利

炎王は自分のモンスターを破壊することでガルドを起動し展開するわけですが、これはそのまま戦闘や破壊除去に対して非常に強いことを意味しています。

破壊すればするほどモンスターがどこからか湧いて出てくるので除去が追いつきません。

ただ単純に湧いて出てくるというだけではなく、ポニクスやガルドによってアドバンテージもとっていくので、破壊によってテンポをとっていくデッキは【炎王】対面が絶望的になるわけです。



【炎王】の弱点

墓地メタ

墓地メタと言うの、もう何度目かわかりません。いつものことですが、こういうテーマには墓地メタが刺さります。

マクロや裂け目などの永続を貼られればガルドのループもできなくなるし、ポニクスも回収できなくなります。
しかもキリンの②も”破壊され墓地へ送られた場合”に発動なのでこれらを回答できません

ただ炎王には神天焼があり、ポニクスのおかげで比較的サーチしやすいので他テーマに比べればまだ抗いやすい方ではあります。

とはいえ、墓地のガルドやポニクスに対する墓穴やクロウ、リトルナイトなどはやはり重いです。


トップGが間に合う

【炎王】はG受けが良いですが、反面相手のターンに相手が打つGが結構重いという弱点もあります。

相手ターン中にガルドニクスやキリン、聖域エタニティで妨害をするのがメインギミックの妨害なのにそれを行うたびに相手にドローされて手数を増やされてしまう恐れがあるからですね。

このため、後攻側のトップドローGが有効札になってしまうという弱点を【炎王】は抱えています。

いっそのこと、対【炎王】は増Gを打たずにあえて抱えておいて自分のターンに使うというのもひとつの手です。


孤島・ガルドニクスへの依存度の高さ

なんだかんだと言うものの、【炎王】は孤島がキーカードです。

孤島はガルド・ガネーシャ・ぽに・ウルカ・キリンといったキーカードに柔軟にアクセスすることができ、必要なタイミングで必要なものを持ってきてくれる継続リソースカードです。

こう聞くと何が何でも剥がさないとダメそうに思えますが、とりあえず孤島を剥がせば【炎王】には勝てるというわけではありません
孤島がなくてもポニクスやガルドニクスさえあれば最低限のリソースは回ります。
ガルドへのアクセスが済んだ後の孤島は便利なカードではありますが、無いと困るカードではなくなるのです。

では結局どういうことなのか?というと、『最初の孤島サーチに妨害を打たれること』がマストカウンターになります。

ガルドニクスに触れられないということはつまり、「キリンやガネーシャを破壊できない=ほぼ全ての妨害とリソースが用意出来ない」ということになります。これが致命傷になるのです。

つまり【炎王】対策で大事なのは「孤島でガルドニクスをサーチさせないこと」「ガルドニクスを除外なりして機能停止させること」の2点だよということです。

リトルナイト最強伝説


手数の少なさ

こう見えて、【炎王】は手数がそれほど多いわけではありません

たしかに破壊されればそれを計機に続々とモンスターが沸いてくるような感覚があり実際そうなのですが、それはつまり破壊を通せないとそれらが手数になってくれないということでもあります。

わりと天敵

結局の所【炎王】のギミックはガルドニクスをSSできるか?デッキから破壊する効果を通せるか?というところに攻め手が集約しており、純構築では後攻の手数が足りないと思うこともしばしばあります。

【スネークアイ】の炎龍のように、ガルドニクスもしこたま働かされる運命なんですね。


妨害バリエーションの少なさ

【炎王】の妨害はキリン②やエタニティ①などの破壊がメインです。というかほとんどそれです。

これはつまり、【ホルス】のような破壊耐性を持つテーマ【ティアラメンツ】【破戒】それこそ【炎王】ミラーのような破壊からさらなる展開ができるテーマ相手にこれらの妨害が機能しにくいということです。

では破壊以外の妨害はあるのか?というと、ガネーシャによってモンスター効果を1回無効にはできますが、逆に言うとそれだけ。

このため魔法罠カードを止めることが困難であり、《烙印融合》のような単体カードパワーの高いものや《心変わり》《拮抗勝負》のような捲り札に対し無防備で受けるしかないという弱点があります。



【炎王スネークアイ】について

最初に少し触れましたが、登場当初の【炎王】は初動の確保がしづらいという欠点を抱えていました。

聖域や孤島の枚数を増やせば初動枚数自体は多くなりますが、モンスターですらないそれらが被ったときに大きなリスクがあるため他のギミックで初動を確保したいのです。

そのため当初はディアベルスターからの原罪宝でポニクスを出したり、《天底の使徒》でサーチしたりという型が多かったのですが、そうすると今度は動きが分かりやすすぎてポニクスや孤島まで妨害を温存されて負けてしまうように。

・初動が少ない
・手数も足りない
・マストカウンターが分かりやすい

というのが【炎王】の課題でした。

ですが炎王ストラクRの発売からしばらくして《蛇眼の炎燐》が登場し、これによって《スネークアイ・エクセル》一枚からポニクスのSSに繋がるようになり注目が集まります。

そして誕生したのが【炎王スネークアイ】。炎王を語る上でこのデッキの存在は外せません。

一体どこがそんなに強いのか?それを説明します。

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エクセル1枚からの展開が強い

エクセル1枚からの展開を見てみましょう。

エクセルNS。ポプルスサーチ&SS。原罪宝サーチ。
ポプルス→リンクリボー。ポプルスを魔法罠に置く。
エクセルとポプルスをコストにエクセル②効果で炎龍をSS。


この時点で炎龍によってニビルをケアしているのは言うまでも無いですね。

炎龍効果で墓地のポプルスを魔法罠ゾーンに設置。
ポプルスをコストに原罪宝→ポニクスSS。聖域サーチ。

たとえ原罪宝にうららを打たれたとしても、残ったリンクリボーと炎龍によってリンク数爆盛です。

聖域を発動→孤島設置。孤島①を発動してポニクス破壊ガルドサーチ。ガルドSSし効果でデッキからガネーシャ破壊。ガネーシャ効果でポニクス蘇生。

この段階では盤面にはリンクリ・ガルド・ポニクス・炎龍です。

リンクリ・ポニクス・ガルドで咎姫をLS。
咎姫効果でガネーシャを蘇生。

咎姫と炎龍でアンブロエール。
炎龍効果でエクセルとポニクスを蘇生(なんでも良いよ)。
蘇生した2体でマスカレーナ。

炎龍がいなくなりますが、代わりに咎姫で蘇生したガネーシャがニビルケアをしてくれています。
ニビルを打つなら咎姫がガネーシャを蘇生する前のタイミングしかありませんが、そこで打っても炎龍によって2体蘇生から2体目の咎姫が立ちます。


これで最終盤面は「アンブロ+ガネーシャ+マスカレ+聖域+墓地ガルド」と咎姫」です。
最初から最後までニビルを完璧にケアしているのが特徴的ですが、そもそもエクセル1枚からこれだけの展開が可能というのがイカレてます。

このうえでウルカニクスなどが絡んでリンク値が2伸びるとマスカレーナがアポロウーサになったりもするのでもう大変。


誘発耐性&手数の上昇

【炎王】なら孤島やポニクス、【スネークアイ】ならエクセルといったように純構築のテーマは誘発をマストで受ける場所が必ず存在します。

これは混合構築あるあるなのですが、【炎王スネークアイ】はスネークアイ要素で誘発を釣り本命の炎王要素を通すといったおとりの動きが可能です。

しかしそれだけではありません

そのうえでキリンというそもそも誘発を回避可能なカードも採用できるので、単純な複合テーマの手数押し以上の誘発耐性が【炎王スネークアイ】にはあります

これはそのまま後攻の際にも複数の手数で攻めることが可能なのを示しており、【炎王スネークアイ】が先後問わず強力なデッキであることの証左となっています。


展開の自由度が高い

【炎王スネークアイ】は縛りが全く発生せず、その展開力ゆえに最終盤面をどうするかの選択肢が多いというのも特徴的です。

エクセル1枚からの展開を紹介しましたが、他にもキリンやガネーシャ、ウルカニクスを抱えていたりすると誘発の受け方や展開の最大値が大幅に変わります

というか、エクセル1枚からの展開に関しても別の展開がたくさんあります
「アンブロ2ウーサ+聖域+墓地ガルド咎姫マスカレーナ+手札キリン」とかもできます。もちろんエクセル1枚からね。

先行展開は好みでもある

孤島やガルドニクスさえあればデッキの炎王カードには好きなように触ることが出来てしまい、さらに咎姫やサンライトウルフによって炎属性のモンスターなら好きなように回収や蘇生が可能なため、これらを活用することで展開パターンは無数に存在します。

キリンを回収できる偉いやつ

ここが【炎王スネークアイ】の難しいところであり、またプレイヤーの腕の見せ所でもあります。

対戦相手のデッキによってどんな誘発の受け方や最終的な妨害が有効なのかを判断して、適切に実行するということが必要です。

最終的なリンク値はどうなるのか?
手札にキリンを抱えておくにはどうすればいいのか?それをした場合最終的に盤面はどうなるか?
どのタイミングで誘発を受けるのが致命的で、どうすれば被害を押さえられるか
誘発を受けたときに、残りの手数でどこまでいけるか

展開中にこういったことを常に考えなくてはいけない、【炎王スネークアイ】はめちゃくちゃプレイングが出るデッキです。

幸い日本には【炎王スネークアイ】を解説している記事や動画がいっぱいあるので、それらも参考にしてみてください。本当に小技やテクニックが多くてキリがありません。僕が説明しきるのは無理です。ギブアップ~


混合デッキなのに誘発枠がたくさんある

ここが【炎王スネークアイ】とこれまでの混合デッキとの明確な差別化点だと僕は考えています。

混合構築をすることで「それぞれの弱点を補完する」「単純に手数を増やす」というのは、これまでの混合デッキはどれもやってきたことですが、そのなかでも【炎王スネークアイ】は40枚のうち12枚+αの誘発枠を確保することができるのです。

これは決して無理矢理に誘発枠を捻出しているというわけではありません

【炎王】【スネークアイ】どちらも少ないメインスロットでギミックを回すことができ、かつこれらが相互に高い親和性を持つがゆえにその少ない枚数でも十分な安定性があるからこそ為せる技なのです。


【炎王スネークアイ】はこんなデッキ

つまりは

・【スネークアイ】の展開力と【炎王】のリソース、誘発受けのよさ、永続カード耐性をそのまま獲得したいいとこどりの混合デッキ。

・展開力の高さと自由度から様々な場面に対応可能。

・誘発をたくさん積めるくせに誘発受けがいい

ということなんですね。そりゃ強いわけです。



【炎王スネークアイ】の倒し方

前提∶捲り札が通じにくい

特定のデッキを対策しようとなったときに、大抵は誘発か捲り札を採用することになると思いますが、こと【炎王スネークアイ】に対しては捲り札を採用することが現実的ではありません

理由はすでに述べた通り、妨害位置がバラけているから。

結界波や拮抗で盤面を解決したとしても、墓地のガルドニクスや咎姫とそこから広がるリソースを止められません

ガルド・咎姫や原罪宝など墓地に比較的多めのリソースを置いているために一時的に《魂の解放》が流行したりもしましたが、それもあくまでリソースを奪い去ったに過ぎず、盤面を解決できなければ勝つことはできません。(それでも捲り札としてはかなり有効な方なのですが)

なによりも、【炎王スネークアイ】はエクセル1枚から余計なカードを必要とせずにこの強固な盤面を築くことができてしまう(展開にリソース消費を必要としない)ので、残りの手札四枚はフリー。

捲り札でエクセル1枚からの展開をなんとかしたとしても、その残り4枚もどうにかしないといけませんそこは誘発かも知れないし《魔封じの芳香》のような先行札かもしれません

その4枚分の差は埋められるのか?という話です。

なので【炎王スネークアイ】相手に後攻をとり、展開を許している時点でかなり不利ということです。マジで捲れません。


手札誘発は有効ではある

一方で、【炎王スネークアイ】の初動となるエクセルディアベルスター原罪宝誘発でちゃんと止めることができます
サーキュラーやイワトオシのように持たれている時点で1誘発貫通確定!というわけではありません。

なので手札誘発を投げることは、【炎王スネークアイ】のリソースや妨害を奪うことにある程度の期待が持てます

だからといって、【炎王スネークアイ】は誘発1枚程度で止められるデッキではありません
最近の強いデッキはまあだいたいそうですが、メインギミックの重ね引きで誘発を貫通、あるいは受けた上である程度の妥協盤面にいけるということがほとんどです。

仮に誘発1枚で止まることもあるかもしれないけれど、それは偶然噛み合っただけで現実的には1枚で完全に止めきれると判断していいデッキではありません

さっきの構築で適当にドローしてみてください。実感としてそれがわかるはずです。


ならどうすればいいのか?

捲り札は1枚では回答できない。
誘発は1枚では止められるか怪しい。

ならどうすればいいのか?と考えてしまいますが、そんな難しいことはありません。


1枚でダメなら2枚、3枚の誘発や捲り札を打ち込めば良いのです


しかしながら、これができるデッキというのはそんなに多くありません。


限られた初手6枚の中で手札誘発や捲り札を2枚以上引きながら、初動となるカードを引きつつ、12枚以上採用している【炎王スネークアイ】の誘発をくぐり抜けることが可能な手札でないといけないのです

そうなると、【炎王スネークアイ】を倒せるデッキの条件

・強力な1枚初動がある。
・当然初動欠勤事故を起こしてはいけない。(つまり安定感がある)
・誘発や捲り札をたくさん採用できて、高確率で初手に2枚ほど抱えられる。
・誘発を何らかの形で越えて展開を通せるor通しやすいメインギミックをしている。

ということになりますね。さて、その中で最も強いデッキはなんでしょう




そう、【炎王スネークアイ】ですね


別に勝てないことはない

ここまで【炎王スネークアイ】を褒めちぎってきましたが、別にそんな最強無双誰も口を挟めないってわけでもありません

手札誘発を2~3枚かかえながら初動を引いて相手の誘発も弾くという行為はどんなデッキでも不可能ではありません。【相剣】だってやれることです。(勝ち越せるとは言ってない)

ただ、そういうゲームをするにあたって最も勝率を見込めるだけのパワーがあるのが【炎王スネークアイ】になるのです。

【炎王スネークアイ】誘発がそもそも効かないだとか、永続カードでなにもさせてもらえないだとかそういうデッキではありません

あくまでも普通の遊戯王の延長線上であり、その中で最も”強い”というだけです。

他のデッキより
「初動が安定していて」「G受けも良くて」「誘発を貫通しやすくて」
「たくさん誘発を積めて」「展開力がすごくて」
「相手次第でいろんなプランニングができて」
「永続罠とかもわりとなんとかなる」
「こういう要素を全部同時に持ってる」

っていうだけですね。
【炎王スネークアイ】だって事故りますし、無限ヴェーラー1枚で沈むことだってありますし、Gが嫌なハンドの時もあります。何事にも絶対はありません。



MDでの展望

純【炎王】も結構強そう

MDのようなシングル戦では、最近だと純【ホルス】などの永続罠で勝つビートダウンデッキが必ず一定数います

既に説明したとおり、そういった永続カードに対して【炎王】はギミックで耐えられるため、ことシングル戦においてはその長所を存分に発揮できると推測できます。

とはいえ、既に説明した通り純構築の【炎王】は手数の不安がありますし、ガルドニクスに対する墓穴などの"脆さ"が目立ちます。

そういった弱点さえ克服できるのであれば、MDの舞台でも【炎王】は輝くことができるでしょう。YCSJ優勝の看板は伊達ではありません。


【炎王スネークアイ】は規制がきつそう

では【炎王スネークアイ】はというと、MDではスネークアイがかなり先走って先行実装されている関係で既に重めの規制がかけられています。

財宝狩りとエクセル両方が制限の世界線はいまだ人類が経験したことのないものであり、果たして【炎王スネークアイ】がどの程度やれるのかは未知数です。

で、ここからはなんとなくの予想なのですが、ウルカニクスを採用し【炎王】ギミックに寄せた【炎王スネークアイ】が主流になるのかなという感じがします。

こんなかんじなのかなあ

エクセルほどではないにしろ、ウルカからもある程度リンク値が伸びるのは既に説明しましたね。

自由度が高いのが一番の魅力

ただ、確実に言えることは純【炎王】も【炎王スネークアイ】も確実にメタゲームの一角に食い込んでくるということです。

それはなぜか?
【炎王】は構築の自由度がすごく高いからです。

既に書いた通り、【炎王】には縛りがなくまたメインスロットも非常に少ないのでやろうと思えばいろんなデッキと組み合わせることができます。その中で一番強かったのが【炎王スネークアイ】なんですよね。

そしてガルド・咎姫・サンライトウルフなどを使った展開の自由度というものもあり、環境に合わせられる柔軟性が【炎王】にはあります。

MDの環境的に誘発が強くないのであれば、よりギミックに寄せた【炎GS】もアリでしょう。

あるいはMDであればエルフやアナコンダといったモンスターが生き残っているパラレルワールドであり、新たなデッキタイプの誕生もありうるでしょうか。

なんにせよ、現在進行形で環境トップのOCGでのしっかりとした実績があるデッキの実装が楽しみです。



おわりに

毎度お付き合いいただき感謝です。

【炎王】は規制の心配があまりありません。なんでかっていうとメインギミックとなるカードがどれもこれも1枚で回り続けるからです。
【炎王】がどうしてもダメ!となったら一発禁止を出すしかないんですよね。

キリンの枚数を減らされるのがパワーダウンであり、実際それをOCGでされているわけですがそれでも環境デッキとして十分に戦えます。

そういう意味ではわりと持ち得なカード郡かなと思います。

それではまた次回。

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