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「発達障害×お片付け」サポートを1年間やってみての課題と現状。

まずは、個人宅の整理収納やお片付けのサポート・コンサルティングを行う上での顧客の種類が3つあります。

A.情報や知識技能を、利用者自身が暮らしに反映することができる

B.数回のサポートを通して、学習し、自身で暮らしを整えることができる

C.自身での環境設定等の組み立てや維持が難しく、定期的にサポートを受けることで最低限の生活が維持できる。(要:福祉としてのサポート)

この3段階のうち、利用者がどの段階者であるか?を見極める必要があります。顧客段階Aの方は、書籍やネットなどの情報で十分なのですが、段階B,Cの方は1回のお片付けサポートでは解決が難しい顧客になります。そして、サポートの利用者の多くはB,Cです。

発達障害を抱えたご家族からの問い合わせが一番多く、他、鬱病等の精神疾患・脳梗塞などの脳疾患が起因し、日常生活が難しくなった…などがありました。そして多くの方が貧困という問題を抱えていました。2018年の4月(正確には3月)から開始したお片付けサポートと「発達障害×片付け」について振り返りたいと思います。

①お片付けサポートの価格設定と顧客層の貧困問題


「サポートを受けたいけれど、2万円が精いっぱいで…。」


という方も多く。私自身も、極力利用者様の負担が減るようにと、格安の交通機関・宿などを利用したり、持ち込みの収納道具のいくつかはサービス品として無償で提供したり…と、予算内でできうる限りのサポートを行いましたが、1日で行えるサポートには限度がありました。


キッチンだけ

クローゼットだけ

という問題ではなく。


家全体を整える必要があるケースがほとんどでした。焼け石に水…に近いケースもありました。精神的な依存から買い物を繰り返し、家の中が大変なことになっている方には「長期的に取り組み、問題を解決しませんか?」と提案する場面も。ボロボロの障子や襖、日々の生活に困っている中で、

「何かキッカケが欲しくてお願いしたいと思います。 一生懸命、お金を用意しましたが、予算としては2万円が限界。」


本当に「片付け」を人生に必要とされている方の多くが貧困という問題を抱えていました。サービスを受けたくても「お金が無い」という問題。


価格設定あるあるですが、

・価格を低価格にし過ぎるとクレーマー等の質の低い顧客がつきやすくなる。

・業界全体の低価格競争が進み、全体的に業界が沈む


私自身も価格設定に悩みましたが、「1年目だから、できること。」として実験的に「通常価格のお片付けサポート」と分け、「発達障害×片付け」の価格を低価格に設定しました。結果として、自営業の先人たちが歩いた同じ轍を踏む結果となりました。

発達障害の診断が出ているけれど、通常価格でサポートをご依頼される方と、発達障害割引でサポートを利用される方。クレームや、こちらからご依頼をお断りする率。ここには、ある種の実験と発見がありました。


・通常価格の利用者からのクレームは、1つも無かった。

・通常価格の半値で対応した「発達障害×片付けプラン」の利用者はクレーマーになる傾向があった。


不思議なことですが、ご病気やご家庭の事情に配慮し、価格を下げた利用者様の方がクレーム率が高く、こちら側が「そういうことは、他の利用者様の迷惑になるので止めて欲しい。」と、再三注意しても迷惑行為を止めないという事例もありました。「お金を取る」こと。「価格設定」と言う部分で「情けは人の為ならず」を骨身に染みるような苦い思いをしました。

クレームの中には


「それは、私の経験不足です。告知・判断・力不足でスミマセン。」


というものも、もちろんありました。

一方、1時間5,000円と聞くと、たいそうボロ儲け…の印象かもしれませんが、

・複数回に及ぶ、事前のヒアリング・打ち合わせ(メール・ライン等のやり取り)

・利用者宅の情報の分析・プラン設計・状況に応じた収納道具等の提案や模索や買い出し等の準備

・ゴミの分別や搬出・リサイクルショップへの持ち込み代行。


現場で作業する時間以上に、自宅や収納道具等のリサーチへ割く時間など膨大な時間を実は消耗しています。1時間5,000円は高いと感じられるかもしれませんが、その1時間だけでなく、その前後に膨大な時間を使い、現場に入ります。現場に入る時間は6時間でも、それ以外のサポートを行うための下地の時間は、6時間ではありません。生活や習慣の改善としてのケアまで考え、提案します。

相場価格より半値の2,500円での「発達障害×お片付け」のサポートでも厳しい…と利用者様から言われてしまうと、「もう、どうにもならない…。」とも感じましたし、2,500円と価格設定したがゆえに理不尽なクレームの対応にエネルギーを消費してしまい、他の利用者様へ連絡ミスなどのご迷惑をお掛けしたことも発生しました。

②自己負担により、サービスの質が低下した問題


・利用者への負担を減らすために、私個人の時間が減り、我が家の家族へ負担を強いる場面があった。

・他の利用者へのサポート格差。

・ストレスからのケアレスミスの発生。

・精神、肉体、金銭的な自己負担が大きく、他のブログ運営・書籍の製作・取材・講演や講座等の仕事へ支障が大きく出た。


などなど。かなり問題が起こり、これ以上はマイナスでしかないと判断せざろうとえませんでした。

③一番の【目的】に繋がらなかった

「発達障害×片付け」のサポートの中で、この1年間、一番残念だったことは、クレームよりも発達障害当事者の担当の主治医や作業療法・言語療法などの福祉の方と繋がれなかったことです。福祉の方と繋がることを目的とし、面談にも時間給が発生しますので、面談等の時間を作るためにも1時間2,500円と設定しました。片付けの作業にはお金を出しても、根幹にある「医療との連携」にお金を出してもよいと思う利用者が現れなかった…ということは、私にとっては悲しい事実でした。

④「自分の得意なこと・好きなことを仕事にする」の実現の問題

発達障害を抱える人が「自分が得意なことを仕事にし、ご飯を食べられるようになる。」ここが、どう社会と繋がりながら実現できるのか?キレイごとではなく、他人に理想論として言うのは簡単ですが、

「あなた自身がそれを実現していますか?」

と、問われて「実現しています。」と言えなければ説得力はありません。自分ができないことを他人に「できる!」と、現実重視の私は、なかなか言えません。私自身3年間、ブログのマネタイズ…というところでフリーランスとして活動しましたが、経営を意識しながら…は、とても大変でした。

「暮らし」と「仕事」はリンクしていますので、暮らしを整えることと、生き方の選択肢として仕事をどう選択しうるのか?仕事を作れるのか?なぜミニマリストなのか?という点も「人生の最適化」が目標で、ミニマルにすることは、その手段でしかありません。

そして、ある程度収益を上げないと、家族への負担になり、私自身が生活していけない!になってしまっては泥沼です(遠い目)「もう、止めてくれ。」と言われかねませんので、収益化はテーマですね。

④問題をシンプルにできなかった(思考の整理の問題)・結果論とゴール設定の問題

片付けを生業にしていると、サポート利用家族の人生の怒り・悩み・苦しみ触れる場面も多く。感情に振り回されてはいけない職業ではありますが、私自身の思考の整理として呑まれてしまった…と言わざるをえません。

①利用者の貧困問題

②福祉との連携

③利用者自身が環境を整えられるようになること

④環境設定等の情報の収集と共有

問題への取り組みとして、優先順位が高いのは③番です。しかし、①~④が複雑に絡み合うため、「あれの解決も、コレの解決も…」と考えることで私自身が疲弊してしまいました。そこは、私自身の思考の整理の問題であり、目標設定をしつつも、目標を複数攻略しようと考えたことがミスを犯したと言えます。

志として、「自分自身の活動が社会全体に寄与することができる。」というのはある種の理想ですが、多くの物事を観察すると、

「自分自身の活動が、社会活動に寄与することができた。」

という【結果】なんですよね。

志し高く高くゴール設定してしまうと(笑)大きく道を踏み誤り、地獄へのルート選択でしかなく。危険である…ということがよく分かりました。

①~⑤を振り返り、現段階で「できること・できないこと」「できていること・できていないこと」を振り分け考える

現段階で私自身のできていることは、サポートの段階Aに関しては、現状問題ありません。

・情報の発信

・適切な収納の選定、片付けの概念、発達障害の特性等を配慮した片付けの思考法の提示

この2点に関しては、電子書籍・講座等。コンテンツの製作には時間を投資する必要がありますが、マネタイズという点で考えるとプラスはあれど、マイナスは発生しません。

顧客段階B,Cに関しては、貧困等の問題など。「私個人が解決できない問題」を抱えているケースですので、これは別問題として、現段階での解決は目指さない。

ゴール設定にしても、「福祉との連携」は難しくても、「情報の収集と共有」

ここは地道に活動を行い、当事者・支援者含め、足を運び直接会いに行くなど草の根的に欲張らず1つ1つをクリアにしていくこと。これが現段階で出来ることではないでしょうか。

個人的には、当事者の方のご自宅を直接サポートしながら解決法をダイレクトに模索していく…というやり方がベストではあると思います。しかし現状壁になっていることは、利用者の貧困問題。私が解決できる問題ではなく。情報収集…という方法で言えば、他の選択肢もありますので、負担の少ない方法を選択していこうと思います。


今年度の活動の方向性としては、

・私自身が集めた情報のアウトプット(作業療法士含む)、出版社との書籍の出版、電子書籍の製作(顧客段階A,Bへの情報の提示)、note、youtube、ブログ、講座等のマネタイズ

・福祉×片付けの連携を作りと情報の収集と共有。共犯者を作る。(←この辺は、講座回りしながら、日程調整し、会いに行く交通・宿泊費など取材費用捻出)

軸をこの2つ絞り、進む予定です。5~10年で計画を立てると、私の場合は現実的でないところへ飛ぶので(涙)今までの経験上、1年設定で短期、中期、長期的に取り組み、また進行具合を報告したいと思います。



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