アスピリンかわいいよアスピリン
こちらは創薬 Advent Calendar 2017 9日目の記事です。
アスピリンって結構面白いなぁって思ったのでまとめて記事にしてみました。
間違っているところがありましたらご指摘いただいたら幸いです。
化学構造
アスピリンの化学構造はベンゼン環もカルボニル基もカルボキシル基も持っており、Chem3Dなどで描画のテストをしたり量子化学計算の練習をしたりする時にちょうどよい存在ですよね。
薬効
アスピリンはWikiによると薬効は消炎・解熱・鎮痛作用や抗血小板作用があると書かれています。(体温が下がって)汗散る→解熱剤、と暗記したりしたのは私だけでしょうか?
作用機序
さてこんなアスピリンですが実は体内で相互作用する時に共有結合するということをご存知でしたか?抗血小板作用を示す際の標的タンパクCOX-1のセリン残基をアセチル化します。このことはバイアスピリン錠のインタビューフォーム(P.15)にも書かれています。
共有結合している他の医薬品で有名なものはプロトンポンプ阻害薬でしょうか?共有結合する医薬品は強い結合能を持つ代わりに不可逆的なのであまり医薬品設計をする時に積極的に狙わない印象がありましたが、共有結合に関するレビューなども出てきているので色々検討されるようになっていくのでしょうか?
インタービューフォームの関連している引用文献で一番古いのが1978年、Wikiによると発売されたのが1899年なので約80年後に、実は共有結合性の阻害剤だったことがわかったんですね。
ちなみにアスピリンの作用機序自体は1971年に発見しており、その業績で1982年に発見者の3人がノーベル医学賞を受賞しています。
ドラッグリポジショニング
さらに薬効を先ほど紹介したのですが、実はアスピリンは新たに低用量で使うと心筋梗塞や狭心症の再発予防薬として使用することができるのがわかっています(インタビューフォーム(P.9))。
これはまさに既存の薬が別の病気の治療薬と使われるようになる、いわゆるドラッグリポジショニングですね!
このような大変単純な化学構造で昔から使われているアスピリンが、今創薬で期待されているドラッグリポジショニングができるなんて大変驚きです。
さらにさらに現在は大腸がんの予防にも効くのではないか?とさらなる研究がされているところだそうです(参考文献)。
まとめ
身近な薬に思わぬ歴史があったりドラッグリポジショニングとしての未来があったりしました。たまに薬の由来や歴史を紐解くと面白いことが待っているかもしれませんね。
アスピリンかわいいよアスピリン
*お薬は用法用量を守って医師や薬剤師の指導の元服用してください
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