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「坐禅(座禅)体験実況中継」シリーズ〜プチ修行のすすめ その3

坐禅を体験するには、禅宗のお寺に行きます。禅宗とは、修行の中心に坐禅を置いたり、坐禅により、道を求める宗派のことで、臨済宗・曹洞宗・黄檗宗の3つを指します。

ただし、坐るときの考え方や手順の部分で宗派により多少の違いがあります。私が参加したのは、横浜市鶴見区にある、曹洞宗の大本山總持寺が毎週日曜日の午後に行なっている「参禅会」と呼ばれる坐禅会です。したがって、ここで紹介した決まり事や手順は、特別な断り書きがない限り曹洞宗の方式に則ったものと思ってください。参禅会の参加費は一回500円です。

参加に関して予約等はいっさい不要で、当日の朝起きて「そうだ坐禅、行こう」と思い立ったら参加するといった感じも全然オッケーなのです。總持寺に限らず、このような坐禅会を行っているお寺は全国にたくさんあります。ネットで調べるとわかります。

私の場合は、坐禅→曹洞宗→總持寺という曖昧な知識だけで、自宅から車で30分ほどの所にある總持寺にふらっと行って「参禅会」の案内をもらってきました。そして次の日曜日には参加していました。

總持寺の場合、このような参禅会の他に、土曜日の夕刻から翌日曜日の午前まで参加する一泊の参禅会も開かれています。もうちょっとヘビーに坐禅を体験してみたいという人にはいいかもしれません。

さて、実際に坐禅会に参加するとどんな事をするのでしょうか。ここでは私が参加している曹洞宗大本山總持寺の「参禅会」を例にその内容を報告します。参禅会の集合は午後1時ですが、初心者はそれよりも30分早い12時30分に集合します。

会が終わるまではお寺の中で過ごすわけなので、お寺内での作法について簡単な説明を受けます。説明をしてくれるのはボランティアのベテラン会員、つまり私たちと同じ坐禅会の参加者の人です。

ただ、作法と言ってもカタク考える必要はありません。昔、学校で「廊下は走るな」と教えられたと思いますが、その程度の難易度です。次にここで靴下を脱ぐよう言われます。お寺の中は素足が基本です。

そして、全員で一列になって「衆寮」と呼ばれる坐るためのお堂に移動するのですが、お寺の中を歩くときは、両手で「又手」と呼ばれる形を作り歩かなければなりません。

これは衣を着たお坊さんが手を下にブラリと下げて歩くと袖がヒラヒラしてだらしないことから、お寺の中で歩くときのルールとして決められています。参加者は衣を着ているわけではありませんが、このルールに従います。

坐禅をする時のファッションについても触れておかなければなりません。總持寺の案内書には「目立たない坐りやすいものを着用」とあります。私の場合、上はスエットやシャツ、下はユニクロのイージーパンツという極めてラフな恰好で参加しました。

作務衣(藍染めのコットン製のお坊さんの作業着)で参加している年輩の方も多くおられました。更衣室が用意されているので、皆さんそこで着替えているようです。それと、腕時計、ピアスの類は外します。

衆寮への移動は、一文字廊下と呼ばれる長さ152メートルの長い廊下を通ります。この際、左側通行と決められています。ぴかぴかに磨き上げられホコリひとつ落ちていない廊下をサッサッサッと歩くにつれ気分も盛り上がって来るというものです。バタンバタンなどとだらしない歩き方は間違ってもできない雰囲気なので、自然とお行儀の良い姿勢で歩いている自分に気付きます。

それと、歩く際にもうひとつ大切なルールがあります。お坊さんや他の参加者とすれ違う時は「合掌低頭」(手を合わせてお辞儀をする)しなければなりません。最初はちょっとばかり照れくさい感じもしますが、2、3度やるうちに気分はすっかり修行僧です。「今のは頭の下げが足りなかったので次はカッコよく決めてやろう」などと余裕も出てきます。

あと、合掌低頭するのは人間が相手の時ばかりではありません。仏様の類(乱暴な言い方ですみません)の前を通過する時も一端立ち止まり正面を向いて合掌低頭します。

始めのうちは頭を下げた相手の仏様がどんな人(?)なのかわかりませんが、ベテランに質問するなり自分で調べるなりして知っておくとより充実した時間を過ごせるというものです。まあ、全部は無理にしてもせめて「佛殿」(禅宗のお寺では本殿とは言わない)のご本尊様の名前くらいは覚えておきましょう。ちなみに總持寺では、禅宗のご本尊さまである「釈迦牟尼如来」が祀られています。

さあ、いよいよ坐禅の開始です。

※最新の情報は、各自調べてください。

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