レンタルなんもしない人とイベントに出た時の話
こんにちは。山奥ニートです。
ふだんは山奥でニートしてます。
和歌山県にある人口7人だった集落に、合計35人のニートを移住させました。山奥に住んで、今年で7年目になります。
今は小学校の廃校舎に12人くらいで暮らしています。
家賃がゼロなのと、共同生活することによって、月2万円くらいの生活です。
レンタルなんもしない人とは、今年の2月10日の「ニート祭り」で同じステージに上がった事がある。
この「ニート祭り」にはここ数年毎回呼ばれていて、僕にとっては1年に一度、山奥から東京世田谷まで出てきて、いろんな人に会う機会です。
で、そのレンタルなんもしない人とのイベントの様子は映像作家の成富さんがドキュメンタリーを撮ってくれてます。
100人ドキュメンタリーNo.40-2 山奥ニート2 後編
レンタルなんもしない人 VS 山奥ニート
https://www.youtube.com/watch?v=8NImm3Dr8t4&t=431s
僕はこのイベントの後、一週間ほど落ち込むことになる。
何があったのか。
怖くて今も動画を見れていないので、正確な記憶じゃないけど、ステージ上でこんなやりとりがあったんです。
僕「僕は最近子供欲しいなーと思ってるんですが、レンタルさんお子さんいらっしゃるんですよね。どうですか、ニートが子育てってできますかね?」
これに対するレンタルなんもしない人の答え。
「いや、知らないです」
くだらない質問をしてしまったと後悔した。
イベントのテーマが「ニート的感性」というものだったので、それに沿った話をしないとと思っていたし、せっかく足を運んでくれたお客さんのためにレンタルさんがツイッターでしない話を引き出したいなと思ったんです。
でも・・・なんか僕はその言い方に、普通に傷ついてしまった。
後はもう頭が真っ白。受け答えもしどろもどろ。
これはもうはっきりと、ステージ上で言われたことを真に受ける僕が間違っている。僕にプロとしての覚悟が足りない。
レンタルさんがどこまでキャラを作っているのかはわからないけど、求められるものにきちんと応えていた。「知らないです」とレンタルさんが言ったとき、会場は爆笑していた。
一方で、僕はなんの仮面も被らずステージに上がっていた。
このイベントには、若新雄純さんも出演していた。
若新さんの話は本当にめちゃくちゃ面白くて、こんな話を一番近くで聞けるなんて、山奥から来て良かったなぁ、なんて思っていた。
イベントの最後に、出演者から一言ずつどうぞ、と言われた。
僕はさっきの出来事から立ち直れず、ぜんっぜんまとまらない事を話してしまった。
次に若新さんのお話。最後にレンタルさん。
そのレンタルさんの最後の一言がこれだった。
「若新さん、話長いっす」
その一言で、会場は本日一番ウケた。
確かに、若新さんは一旦話し出したら止まらない。
お客さんも薄々話が長いと思っていたんだろう。
みんな笑っていた。若新さんも。
でも・・・うーん・・・。
最後の一言でそうやっていじりの笑いを取る事が、僕にはどうも正しいとは思えなかった。
自分が上手く話せなかったことと共に、ずっと心にモヤモヤが残った。
時間は遡って、イベントが始まる直前のこと。
スタッフさんたちは劇の準備でてんやわんやだった。
なんせ、スタッフも元ニート・現役ニートが多い。
お客さんを案内する係も決まっていない。
席は満席になり、立ち見をしている人もいた。
そんな中、僕らは会場の一番後ろでパイプ椅子に座って出番を待っていた。
すると、僕らより出番が先の、ミュージシャンの方たちが立って出番を待っていた。3人の若い女性のユニットなんだけど、マネージャーさんであろう高齢の男性の方が1人付いていた。
お客さんが満員だから、余っている椅子はない。
でも、ずっと立ちっぱなしなのはあまりにかわいそうだ。
どうしよう、スタッフさんは近くにいない。
僕は散々迷った挙句、自分が座っていた椅子をマネージャーさんに使ってくださいと渡した。
実際に座ってくれたかは見ていない。
椅子を譲られても、別に嬉しくなかったと思う。
でも結果、僕は椅子を失って、地べたに座ることになった。
会場の床は絨毯敷きだから、気持ち良かった。それに、椅子に座るより足を伸ばして座る方が好きだ。
若新さんと、もう一人のゲストである小屋暮らしのかつやさんが椅子に座っているのに挟まれながら、地べたに座っている僕。
僕を見て、お客さんはどう思ったんだろう。めちゃくちゃ変だ。品もない。
一応ゲストとして来ているのに、その役割から外れた事をした。
でも僕はその時、常識や体面に囚われずに、自分が正しいと思う事をやるのが、ニートらしさだと思った。
ニートの反対は、プロだ。自分の役割をまっとうする仕事人。
レンタルなんもしない人は、自分の役割を果たすという点では、間違いなくプロだと思う。期待に応えない事で、期待に応えている。
レンタルさん自身、自分の活動の事を「エンタメ」や「演劇」だと捉えている。
依頼をすることで、依頼者の方が演技に入れる。ぼくが帽子をかぶり、「なんもしない人」を演じていることとも重なります。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/66409?page=4
僕はどうなんだろう。僕も「なんもしない」とよく言う。
だけど、レンタルさんと同じステージに上がって、僕は素人丸出しだった。
テレビや雑誌から期待される「ニートらしさ」にすら上手に応えられない。
僕には「なんもしない」ことすらできない。
僕にとって山奥での暮らしは、エンタメというより日常だ。
備考録として、あるいは単に書くことが気持ちいいから、ブログを書いているだけ。
だけど、レンタルさんを見ていると、なぜかメラメラと嫉妬心が湧いてくるのです。
僕より「レンタルなんもしない人」の中の人の方が、文章が上手い。140文字で一日をまとめて呟くなんて、めちゃくちゃ高度な事ですよ。しかも相手がある事だから、傷つけない表現をしなきゃいけない。レンタルさんは僕よりずっと能力が高いことに疑う余地はない。
だけど、「レンタルなんもしない人」より「山奥ニート」の方が面白いでしょ!!!
社会から要らないと言われたニートたちが山奥に集まる事で、新しい社会ができてるんです。
地元の人の平均年齢は80歳以上だから、あと20年したら完全にニートが征服することになる。
「山奥ニート」だって漫画化やドラマ化、しろよ!
群像劇っぽくさあ! 僕の役をジャニーズがやってくれよ!
いかんいかん、取り乱した。
街でニートやってる時はこういう嫉妬心によく取り憑かれたけど、山奥に来てからはほとんどなくなったんだけどな。
そんな感じで、レンタルさんとのイベントが終わってからも、思い出してはカッカしたり、モヤモヤしたり、落ち込んだりしていた。
それが晴れたのは、レンタルさんのこの記事を読んだ時。
面白いことをしたい欲は人よりあると思います。そのあとも長いこと嫉妬していて、「僕はこだまさんの人生のモブキャラなんだ」と思っていました。
https://ddnavi.com/interview/555999/a/
ああ、レンタルさんも同じだったんだ。
表に出る時は飄々としているけど、同じ人間なんだなって安心した。
僕はこれから本を出版します。
まだちょっと先ですが、発売予定日は5月21日です。
そのとき僕も、レンタルさんみたいに仮面を被るべきなんだろうか。
被ってしまったら、それはもうニートではないんじゃないか。
今も分からずにいます。
ドラマ、面白かったです。はい。
レンタルさんの再現度がめちゃくちゃ高い。
作り手が、レンタルさんの事を本当に好きなんだなと感じた。
冒頭のクリームソーダの話の時点で「あ、これ面白いやつだ」と思いました。
まさかのライバルキャラが出てきて、続きが気になります。
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